バッグも色々あるわけで、私も今まで何点か紹介してきた。“和紙でできたバッグ”だったり、“新聞でできたバッグ”だったり。


そして、今回紹介するのも非常に斬新極まりない。丸枡染色株式会社が手がけるブランド『モノマトペ』から、“折り紙みたいに畳めるバッグ”が発売されている。

それって、なんだ? 評判だけ聞いてもいまいち実感がわかないので、取り寄せてみて体験してみました。
そして、届いた。ペタッと畳まれた状態になっているが、これを広げてみると想像以上に大きいトートバッグ。まさに“折り紙みたいに畳めるバッグ”!

早速、手にとってみると紙っぽいというか、ビニールっぽいというか、私にとっては初めての質感。
表面には三角形の柄が施されており、この模様に沿って自由に折り曲げることができるみたい。
この機能を活かして“クシュッ”と潰したり、“ピッ!”と立たせたり、クシャクシャに丸めたりして、楽しむことができる。ただ、どんなに無茶苦茶やっても、三角の部分は形をキープしたまま。紙のような質感も面白いのだが、ペッタンコに折り畳める機能性も、使い勝手の良さとして評価できるだろう。
そして、こんな質感なだけに超軽量。本当に紙みたいな、異様な軽さなのだ。
だからこそ、そんなに詰め込んでもいいものか不安……。と思ったが、内側はいかにも頑丈そうな生地になっていた。試しに結構な量の荷物を入れてみたが、問題なし! 

このバッグを手に取ったが最後、折ったり立たせたりして夢中に色々アレンジしてしまう。なんというか、思わず子どもに戻ってしまうのだ。まさに、折り紙で遊んでるみたいな。そんな新バッグでした。


といった実体験を経て、同社に質問をぶつけてみた。まず、このようなバッグを開発したきっかけは?
「わが社は創業110年の歴史を持つ染色加工会社なのですが、当社の4代目・松川和広が中心となって社内の若手達で新しいデザイン商品を開発する決意をいたしました。資源や燃料の高騰、そして斜陽産業である繊維業界の中で危機感もありまして……。独自技術力とデザインでこだわった製品を作ることにしたんです」(担当者)
流行や競争が激しいのがファッションの世界。だからこそ選んだのは、持ち運びができる小物類であった。「ファッションではなく、個性的で他にないプロダクト(小物類)であれば、いい物は残っていく」という、綿密な戦略も立ててのバッグ開発。


しかし、驚きなのがこの機能と質感。なんでこんなことが可能になる?
それは、どうやら生地に秘密があるらしい。『モノマトペ』に採用しているのは、綿の生地に特殊な樹脂を加工したもの。そして、表面に硬い部分と柔らかい部分を作ったため、立体感を維持させることができる。どんなにイジくっても三角形の部分をキープさせている理由は、これ。開発に4年の歳月をかけた、独自の技術だ。


また、軽さも特筆もの。トートバッグの重量はたった160グラムで、実に卵約3個分。しかし、耐荷重量は約15キログラムを誇っている。不意をついてのタフガイっぷりだが、内側にはサウナスーツと同様の素材が使用されているらしく、それも納得。
「表面はポップで、内部はハイテクです」(担当者)

じゃあ具体的に“このバッグだからこそ”というメリットや実用性には、何がある?
「今年の1月に発売したバッグ等に関して言えば、畳むと小さくなっていくという使い方があると思います。そして4月に発売された文具類(ペンケース、コインケース等)は、物を入れることにより立体になるという楽しみ方ができます」(担当者)

まさにオンリー・ワンな技術を活かしたシリーズ。
これらのアイテムへの反響には、どのようなものが届いているか?
「折り紙のようで日本らしくていいというスウェーデンから応援のお電話や、パリのブランドから生地を売ってほしいと問い合わせもあります。『海外販売するべき。絶対イケる!』と激励もされます。同業の方からは、新しいことを始めた当社に『面白いことやってるじゃねえか!』と、シンパシーを感じてくれてるみたいです」(担当者)

この『モノマトペ』は、同社の専用サイトなどで販売中。価格は、トートバッグが12,700円、ポーチが3,800円、ストール(オススメ!)が11,500円。
4月より販売中の第2弾にはトラベルケース、ペンケース、コインケース、ブックカバーがラインナップされている。

このバッグたち、是非とも手にとって体験してもらいたい。これを“オンリー・ワン”と言わずして、何を“オンリー・ワン”と言うのか。面白いことやってるじゃねえか。
(寺西ジャジューカ)