先日、近所のスーパーで買ったバラ売りのバナナを翌朝食べようとしたら、黒く変色していた。そのときは深く考えず、さっと捨ててしまったのだが、後から、「さすがに買った翌日だし、お店にいえば新しいものと交換してもらえたのでは?」と気になった。


後日、そのスーパーに問い合わせると、今からでもレシートを持ってくれば返金または代替商品を渡せるとの回答。現物がなくてもよいという。

また、以前、別のスーパーで買った小麦粉の袋に穴が開いており、翌日新しい商品と交換してもらったことがある。実はこのときレシートを忘れたのだが、商品のみで対応してくれた。

いずれのケースも店は非常に丁寧な対応であったが、店からすれば私がウソをついている可能性も否定はできないはず。ウソとはいわないまでも、小麦粉の袋の穴は私が開けた可能性もゼロとはいえない。
まあ、疑いだせばキリがない気もするが、いったい巷のスーパーでは、どんな基準でクレームや返品に対応しているのだろうか? 

国内の某スーパーチェーンにて、レジ部門を担当するチェッカーチーフの社員に詳しい話を聞いた。
「(前述の)バナナのような例はすべて対応しています。レシートと商品があればベストですが、レシートを捨ててしまうお客様もいるので、商品を持って来れば、返金または代替商品を渡すようにしています」
とくに野菜や果物などは、切ったり、開けたりしてみないと、傷んでいるかどうかわからないため、レシートがなくてもOKとしているそう。
「レシートがない場合、お客様が昨日買ったといえば、基本的にはそれを信じるしかないですね……。実際には、お客様をみれば、うそをついているか、単なるクレーマーか、あやしいかどうかは大体すぐにわかります(笑)」
そのあたりは長年の経験で培われた勘の働かせどころのようだ。
「ただ、レシートも商品も何もないけれど、このあいだ買ったみかんが傷んでいた……といった例は丁重にお断りし、次回はすぐに現物とレシートをお持ちくださいと案内しています」
もちろん、店や担当者によって対応は違うため、これはあくまで一例だ。


ところで、不良品でなくても返品したいときもある。衣料品などは30日以内なら返品可などという店も多いが……?
「うちの店でも衣料品や住居関連商品はレシートがあれば、一定期間内なら返品できますが、食料品は例外。一度店から出たものは、たとえ隣の家のお客様で、買って10分しか経っていないといわれても返品不可です」
同店では、生鮮品だけでなく、缶詰や醤油など口にするすべての商品はレシートがあっても返品不可。すべて断り、例外は作らないようにしているそう。
「それで怒って帰られる方や、なかには商品を“捨てといて!!”と投げつけて帰られる方もいます……」
うーむ、想像するとちょっと怖い。

ちなみに、品質に関する苦情は店からメーカーへ送って調べてもらっているとのこと。

「なかには、本当に申し訳ないと思うこともありますが、クレームの半分以上はお客様の思い込みや勘違いだったりするのが現状です」
以前のように、客側の言い分がすべて正しいという風潮はなくなっているようだが、
「震災以降、放射能汚染など、お客様自身がいろいろなことに敏感になっており、些細なことを、まあいいかと流せる時代ではないのも確かです。消費者の目が以前よりシビアになっているぶん、クレームも多くなっているかもしれません」

いずれにせよ、日々のクレームはかなり多いようなので、店の不備を指摘する前に自分の勘違いや思い込みでないかも注意したいところだ。
(古屋江美子)