ところが、それ以降晴れの日が続き、「雨不足」とまで報じられていた。
思えば、これまでも「梅雨入り」が発表された後って、不思議と晴れる日が多いような気が……。これってなぜ?
気象庁の天気相談所に聞いてみた。
「梅雨入りが発表されてから晴れが多いといった印象は、ありません。通常は天候の経過と、この先1週間の予想にもとづいての判断で、梅雨入りが発表されます。今回は2~3日後に、曇りから晴れ間に予想が変わったことで、そのように感じた方もいるかもしれませんが」
そこで、気象庁のHPで、2000年~2012年の「梅雨入り」の日と、梅雨入り後1週間の天気を調べてみた(気象統計情報の「過去の気象データ検索」より/東京)。
「晴れ」が含まれる(晴、曇時々晴、晴後時々薄曇等)日数は以下の通り。
・2000年:6月9日→2日
・2001年:6月5日→2日
・2002年:6月11日→0日
・2003年:6月10日→0日
・2004年:6月6日→1日
・2005年:6月10日→1日
・2006年:6月9日→2日
・2007年:6月22日→2日
・2008年:5月29日→2日
・2009年:6月3日→1日
・2010年:6月13日→4日
・2011年:5月27日→1日
・2012年:6月9日→1日
思ったよりも「晴れ」が含まれる日は少なかったが、かといって、ずっと雨が降っているわけでもなく、曇りを中心になんとなくスッキリしない天気が多そうだ。
こうした状況について、天気相談所ではこんな説明をしてくれた。
「梅雨入り後は、実はもともとそれほど雨が多くなく、しばらくグズついているもの。梅雨の時期はずっと雨が降りっぱなしというわけではないですし、雨量が多くなるのは、梅雨末期なんですよ」
梅雨末期になると、前線の活動が強くなり、しめった暖かい空気が流入しやすくなる。すると、積乱雲をともなった雨雲となり、西日本などでは豪雨となったり、雷が鳴ったりして、前線を押し上げて北上していくことで、梅雨明けとなるのだそうだ。
「雨の降り方も、梅雨の間に、どんどん変わってきます。梅雨に入りたての頃はたいてい曇りが多く、ときどき晴れもあり、末期にかけて雨量が増えていくという動きです。もともと梅雨入りしてしばらくは雨が多いものなのです。ところが、『梅雨=雨季』のようなイメージがあるから、晴れの日があると、そうした印象になるのかもしれません」
季節は徐々に移ってゆくものなのに、「梅雨入り宣言→雨ばかりになる」というイメージが、梅雨入り後の晴れの印象を強めているよう。
ともあれ、「梅雨入り」の発表は、雨の季節が始まると大雨などもおこりやすいことから、防災的な意味あいで行っているもの。
これからの空模様の変化には十分ご注意を。
(田幸和歌子)