国民的人気を誇る「サザエさん」。テレビアニメは1969年からスタートし、作者の長谷川町子氏の死後も続く長寿番組となっている。そのサザエさんで恒例になっているのが1991年に始まったエンディングの「じゃんけん」。

そのじゃんけんを徹底的に研究し、約82%の驚異の勝率を誇るサイトが「サザエさんじゃんけん研究所」だ。さまざまな角度からサザエさんの手を予想し、最近ではTwitterでも情報を発信している。


サザエさんじゃんけん研究所誕生の背景


同サイトによると、アニメ版サザエさんは、91年の秋までサザエさんがクッキーを飲み込んで詰まらせるシーンが番組のエンディングに使われていたものの、突如じゃんけんに変更になったため、多くの視聴者に衝撃を与えたという。

事態を重く見たアスキーネットMSXの会員有志が対策を検討した結果、パソコン通信BBS上に「サザエさんじゃんけん研究所」が設立され、番組内で行われるじゃんけんに関する学術的な研究記録を後世に残すことになったそうだ。それ以後、この研究所の活動は新アスキーネット(当時)、インターネット上のウェブサイトに引き継がれて現在に至っている。

驚異的な勝率を誇る「サザエさんじゃんけん研究所」の中の人にインタビューしてみた
長きにわたりデータを蓄積している


手の決定方法


サイトでは91年からのじゃんけん記録を掲載しているほか、同研究所が刊行する同人誌「サザエさんじゃんけん白書」の電子版も無料公開している。同書には、蓄積された膨大なデータを分析して編み出した「勝率が最大になる手の決定方法」が記してある。その内容は以下の通り。

・次回はクールの初回(※1月、4月、7月、10月の第1週)またはFNS27時間テレビの実施回か?→サザエさんは高確率でチョキを出すため、グーを出す

・サザエさんは前々回と前回に同じ手を出したか?→サザエさんは3回連続で同じ手を出すことはほとんど無いため、前回のサザエさんの手に負ける手を出す

・サザエさんは前々回がチョキで前回にグーを出したか?→サザエさんは高確率でチョキを出すため、グーを出す。

この法則に当てはまるかどうかを上から順に照らし合わせ、いずれにも該当しなければ「サザエさんは高確率で前々回とも前回とも異なる手を出すため、その手に勝つ手を出す」そうだ。

驚異的な勝率を誇る「サザエさんじゃんけん研究所」の中の人にインタビューしてみた
これが手の決定方法


ちなみに「クールの初回」と「FNS27時間テレビの実施回」の法則は2006年に発見したものとのこと。それら以外にも「アニメ版と観月ありさ主演の実写版が同じ日に連続して放送される場合」にはチョキを出すという特有のクセが存在するという。

中の人はどんな人?


いろいろと調べてみると、中の人は高木啓之(※高木さんの高は旧字体)さんという人物で、過去にはサザエさんじゃんけんの専門家として、ラジオやテレビなどにも出演した経験がある。Excite bit コネタの記者がサイトに質問を送ってみると、メールでインタビューに応じてくれた。

高木さんは、91年にアスキーネットで予想大会があった頃からサイトに参加している古参中の古参で、今ではサザエさんじゃんけん研究所の所長を自称している。アニメの放送は見逃してしまうこともあるそうだが、エンディングのじゃんけんに関してはほぼリアルタイムで視聴しているそうだ。普段はシステムエンジニアの仕事をしているとの回答を頂いた。

色々聞いてみた


このサイト、20年以上開設しているので、今まで何か面白い反響はあったか聞いてみると「世間一般では『どうでもよいこと』と思われているためか、冷やかし系の反応の方が多く、特に印象的なものはありません」とのことだった。サザエさんは声優の高齢化などを理由に、ここ数年でフネさんや波平さんの声が変わるなど多少の変更があるが、この変化については「交代により最初は違和感がありましたが、イメージは大きく変わらないので良い人選だと思います」と一視聴者として評価をしているようだ。

最後に「じゃんけんの手を決定している人に会ってみたいか」と聞いてみると「会いたいとは思わない」とのことだった。

ちなみに、記事公開前の2015年10月11日と18日の回では1年10カ月ぶりの連敗を喫してしまっているため、相手側がサザエさん研究所の予想を見ている可能性があることを考慮し直前まで出し手を公開しないとのこと。結果が気になるところだ。
(やったー麺)