先日、札幌に行く機会があった。数日間の滞在中、温泉にでも入りたいなと思って調べてみると、さすが北海道、とんでもない絶景の中でお湯に浸かることのできる秘湯が続々検索結果に出てくる。


しかし、そういったところはどこも札幌からは遠い。私はペーパードライバーで運転に自信がないし、もっと近場で……と思って調べ続けてみたところ、「豊平峡温泉」という温泉が札幌市内にあり、広大な露天風呂があって源泉100%の良いお湯だというのでそこへ行くことにした。

札幌市営地下鉄南北線に乗って真駒内という駅まで行く。さっぽろ駅からそこまで20分ちょっと。真駒内から豊平峡温泉までは一日一便の無料バスが出ていて、40分弱で温泉に到着する。

口コミランキング一位の温泉で、なぜかインドカレーが美味しいワケ


札幌の中心街から1時間ちょっとでたどり着いた豊平峡温泉は、札幌市南区定山渓にあり、近くには定山渓温泉という人気の温泉エリアもある。


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受付で入浴料1,000円を支払い、早速お風呂へ。
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豊平峡温泉の温泉は源泉100%かけ流し。その泉質はつるつるしていて「美肌の湯」とも称される。内風呂は源泉に含まれる養分が結晶化した「石灰華」に覆われて洞窟のような雰囲気になっており、「自分は今、すごく体に良い湯につかっているぞ!」という気分にさせてくれる。

露天風呂は200人も入浴可能だというほどの広さ。パンフレットの写真からその雰囲気が伝わるだろうか。

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湯船の周りは山あいの風景で、それをぼーっと眺めながら全身でいい湯を味わい、至福の時を過ごした。ちなみに、豊平峡温泉は旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」の、「行ってよかった 日帰り温泉&スパ」というランキングで2013年度の全国1位に選ばれており、その後も上位にランクインし続けている。

それも納得の、素晴らしいお湯であった!……と、この温泉、それだけでは終わらないのである。というか、ここまで黙っておりましたが、もう入口からすでにやたら美味しそうなカレーの匂いが館内にふわふわ広がっているのだ!

豊平峡温泉のもう一つの大きな魅力は、館内の「onsen食堂」で本格インドカレーが食べられること。
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露天風呂とインドカレー、この不思議な組み合わせに筆者も不思議なものを感じたが、スタッフの方に話を伺ってみるとこういうことらしい。1992年のオープン以来、豊平峡温泉を運営されていた先代のご主人が体力の限界を感じて、現在の主人である2代目に温泉を任せようと考えたのが15年ほど前のことだった。
しかしその当時、現・2代目は札幌市内でインド料理店を経営していた。「温泉を継ぐとしても、この店で働いてもらってるインド人やネパール人のシェフたちを勝手な都合でクビにはできない」と考えた2代目は、なんとシェフたちをそのまま温泉に連れて行くことにしたのだという。

その結果、“本格的な北インド料理が食べられる温泉”という世にも珍しいスポットが誕生したというわけだ。なんともいいエピソードではないか。

メニューは、「ドーキシミキカリー(チキンのカリー、ナスとトマトのカリー)」、「ラムカリー」、「シーフードカリー」、タンドリーチキンもセットになった「タンドリーMIXグリル」など様々なバリエーションがあり、カレーにはすべて焼きたてのナンが1枚付く。

ナンは釜焼きのできたて。
ガラス張りの厨房内部で本場のシェフたちが手際よく焼き上げていく。
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撮影の許可をもらって写真を撮らせてもらうと、キリッとした笑顔を見せてくれた。
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筆者は、「ドーキシミキカリー」をオーダーした。チキンのカリー、ナスとトマトのカリーの2種類のカレーとふっくらモチモチのナンがドーン。
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スパイスを感じさせつつも辛みは抑えめで程よい酸味が絶妙なナスとトマトのカリー。
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大ぶりのチキンがゴロっと入った満足感たっぷりのチキンのカリー。

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どっちも最高。うまい……とひとり呟きながらあっという間に食べ終えてしまった。お昼時だったのだが、食堂はほぼ満席で、スタッフの方によれば、温泉に入らずカレー目当てで豊平峡に来るお客さんも多いそうだ。「というか、カレー目当ての方のほうが多いぐらいです(笑)」と、素晴らしい泉質の温泉よりもカレーが勝つというのだから、この美味しさはお墨付きである。

勢いにのってこちらも名物だという打ち立ての「十割そば」も食べてみたのだが、これもまた想像を超えてくる美味さ。
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その蕎麦と北インドカレーが融合した「がんじす」という名の「インドカレーそば」も食べて見たかったのだが、胃袋のリミットが来てしまった。
悔しい。
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「モモチャ (ぎょうざの具入りナン)」、「ピタナン (ピザ風味のナン)」など、変わり種のナン系メニューもあって気になる。素晴らしい景色を眺めながらダラダラできる休憩室で帰りのバスを待ちながら再訪を誓った。

カレーと蕎麦だけでもじゅうぶんなのに、1月から3月までは巨大なかまくらを作り、その中でジンギスカンを食べることもできるとか!冬にも行ってみたい!

店舗情報:
「豊平峡温泉」
http://www.hoheikyo.co.jp/
住所:北海道札幌市南区定山渓608番地2
入浴利用時間:10:00~22:30 (最終受付 21:45)
食堂利用時間:インド料理 11:00~21:00
そば・ジンギスカン 11:00~14:00 17:00~20:00

(スズキナオ)