寝癖がつく原因って何? 皮膚科医にメカニズムと直し方を聞いた

毎朝、寝癖がひどくてやってられないという人はいないだろうか。確かに寝癖がひどいと寝癖直しに朝の時間がとられ、効率が悪い。
さらに寝癖が直らない場合もあるからたちが悪い。このにっくき寝癖は、どうすれば防ぐことができるのだろうか。
そのメカニズムに迫ってみた。

寝癖はなぜつくのか


皮膚科医で、美容皮膚科と毛髪を専門とする高橋栄里先生に聞いたところ、寝癖がつく一番の原因は「濡れたまま寝る」ことにあるという。
なぜ髪が濡れたままだといけないのだろうか。

「寝癖は、髪が乾いていく最中につきます。お風呂で髪を洗った後、完全に乾かないうちに寝てしまうと、乾かしながら頭を枕に密着させて、その髪の状態が固定されてしまい、その形状が記憶されてしまうことで、寝癖になります」

では、なぜ乾いていくうちに、寝癖がつくのだろうか。
髪の内部では、いったい何が起きているのか。

「髪は乾いていく最中に、髪の分子が『水素結合』というものを起こします。
そもそも、髪は水に濡れると、実は髪の内部で、結合が切れます。よく、髪を濡らすと髪がうねりますよね。この状態は、髪の内部がフリーになって、結合が切れている状態です。そして、髪が乾いていく最中に、また水素結合が起きます。

要するに、髪が乾く過程で、髪を変なかたちにキープされてしまうと、その変なかたちのまま、水素結合が起きるため、変な寝癖がついてしまうのです」

なるほど。寝癖というのは、水分が乾いて結合しつつあるときにつくものであるということだ。つまり、寝癖がつかなくするためには、完全に乾かして、水素結合を済ませてから寝ればいい。実に単純なメカニズムであった。

ちなみに高橋先生によれば、髪のかたちが作られるもののうち、水素結合の他にも3つほどあるという。髪にはこんな理由で切断、結合していたとは驚きだ。



水素結合 水によって切断され、乾燥で再結合する
シスチン結合 パーマの1剤によって切断され、2剤で再結合する
塩結合(イオン結合) 等電点が外れると切断され、戻ると再結合する
ペプチド結合 アミノ酸による結合。強いアルカリ性や強い酸などで切断される


寝癖を速攻でとるには?


寝癖がつく原因って何? 皮膚科医にメカニズムと直し方を聞いた

ところで、ついてしまった寝癖は、どうすれば手早く取れるのだろうか?

「髪を濡らして、また水素結合を解くことです。直接濡らすこともできますが、蒸しタオルを乗せる方法はおすすめです。実際、美容院でも行っています」

寝癖の原因は、水素結合にあった。そして、寝癖を制するには、また水素結合を行えばいい。とにかく水素結合のことだけ考えて、髪とうまくつきあえば、寝癖は防ぐことができるだろう。
毎朝、寝癖に悩まされている人は、ぜひこのことを踏まえて、対策を取ってみよう。
(石原亜香利)

監修・取材協力
皮膚科医 高橋栄里先生
専門:美容皮膚科、毛髪
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