ちらほらと桜の開花情報が全国各地から届きはじめ、季節はもう春。

花冷えや桜を散らす春の雨が心配な時期だが、そんな本物の花と違って“散らない桜”もある。

それは京都の平安神宮で見られる春の風物詩。春限定で登場する、ちょっと珍しい“桜”なのだ。

その桜が用意されているのは平安神宮内の広い境内、神楽殿のちょうど目の前。それは遠目に見れば小振りな桜の木に見える。

実はこれ作りもの。自分で花を増やすことのできる桜の木なのだ。


その方法、まずは境内で桜みくじと呼ばれるおみくじ(初穂料300円)を引く。普通なら真っ白な紙で作られているおみくじだが、これに限ってはその名の通り、綺麗なピンク色の用紙。

それを結びつけるのは、神楽殿の前に3本用意された特別な結び木だ。
可愛いおみくじなので、思わず持って帰りたくなってしまうが、結べば願いが叶うとも言われているので、願いを込めつつどうぞ。
結び木にピンクのおみくじが結ばれ、色づく様子は桜が満開となっていくよう。これが、散らない桜の正体だった。


このおみくじ、始まったのは平成18年度とまだ比較的新しいものの、すでに噂となって毎年春には多くの人がこの木におみくじを結びつけていくという。
その数、例年3万枚ほど。枝いっぱいにおみくじが付いて無事に満開となったら、願いが叶うように神宮が祈願をしてくれるそうだ。
願いが叶うから人気とも聞くが、何よりその見た目が可愛らしく春の京都にはピッタリの新名物だ。
そんな桜みくじ、期間は例年3月後半から4月中頃まで。今年は3月27日から4月18日頃を予定しているそうで、もちろんその期間の間は、神宮周辺に咲く本物の桜も満開に。


桜は散るからこそ美しいとも言うが、綺麗なものはいつまでも散らずに眺めていたい。何よりこの桜は見るだけでなく、自分の手で花を増やすことができる楽しみも。

京都の春はこれからが本番。近くまで立ち寄ったら、自分の手で桜に花を咲かせてみませんか。
(のなかなおみ)