ディーン・フジオカと武井咲がW主演する連続テレビドラマ『今からあなたを脅迫します』(日本テレビ系)が、10月15日から放送を開始した。ディーンは今作が民放連続ドラマ初主演であり、武井は7月期の連ドラ『黒革の手帖』(テレビ朝日系)から2クール連続で主演を務めることに加え、9月にEXILE・TAKAHIROとの結婚および妊娠を発表したばかり。

同ドラマにも注目が集まるかと思われたものの、初回の平均視聴率は8.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と1ケタ台に留まった。

 小説家・藤石波矢氏の同名小説(講談社タイガ)を原作とした同ドラマは、警察や探偵などでは取り扱えない事件を“脅迫”によって解決する千川完二(ディーン)と、お人好しかつ“変人級の善人”である女子大生・金坂澪(武井)という真逆の2人が紡ぐ“脅迫エンターテインメント”。

 第1話では、澪のもとに「脅迫屋」と名乗る男が「振り込め詐欺で騙し取った金を返さないと恋人を殺す」として“恋人”の佐藤貴志(稲葉友)に銃を突きつける映像が収められたDVDが届く。しかし、澪は詐欺や恋人に心当たりがなく、人違いされていることが判明。とはいえ、見ず知らずの佐藤が殺されてしまうのも見過ごせない澪は、自分が金を払うので彼を助けてあげてほしいと提案するのだった。

 その後、千川の仲間・目黒(三宅弘城)や栃乙女(島崎遥香)、澪の隣人・京田カオル(劇団EXILE・鈴木伸之)らが登場しつつ、千川の今回の目的が明らかになったり、澪が何やら秘密を抱えていそうな描写もあったが、これといって印象に残るような盛り上がりや“ハラハラ感”はナシ。
それよりも、千川が口にする微妙なギャグや、目黒との掛け合い、栃乙女(というか島崎)のギャル設定に基づいた喋り方や態度などが、薄らサムいことにばかりが目立った。

 また、BAR「青龍」の従業員・ロビン役に蛭子能収を起用しているのも奇をてらったつもりだろうが、演技力を無視して話題性を優先した日テレの配役にはガッカリである。蛭子は2日にスタートした『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)の初回にもゲスト出演していたけれど、あちらでは“本人役”だったし、その程度がクスッと笑えてちょうどいいだろう。

 一方、澪が佐藤の家を訪ねたシーンでは、カメラには彼女の表情しか映っていなかったものの、明らかにお腹を殴られたとわかる瞬間があった。演技とはいえ、妊娠中の武井がお腹を殴られるという描写はショッキングであり、見ていて気分のいいものではない。武井は11日に放送された『笑ってコラえて!秋祭りSP』(日本テレビ系系)にドラマの番宣で出演していたが、この時ネット上では「顔色が悪い」などと心配されていただけに、関係者はもっと彼女を気遣ってあげてほしいものだ。


 ちなみに、今年の同局「日曜ドラマ」枠で放送された連ドラの初回視聴率を比べると、1月期の『視覚探偵 日暮旅人』と4月期の『フランケンシュタインの恋』は11.2%、7月期の『愛してたって、秘密はある。』は8.2%だったので、『今からあなたを脅迫します』は、話題性があったわりに今年のワースト記録となってしまった。しかも現状、この先の展開に期待はできないので、数字低迷が懸念される。
(文=美神サチコ/コラムニスト)