JR西日本が、2017年から運行する豪華クルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」について、旅行代金や運行開始日を発表。JR他社のクルーズトレインより「高額で低額」な列車になっているほか、この列車ならではの特徴が与えられています。

最高は2名1室2泊3日、250万円

 JR西日本が2016年11月29日(火)、来年からの運行を予定している豪華クルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(トワイライトエクスプレスみずかぜ)」について、その旅行代金や運行開始日などを明らかにしました。

「瑞風」のデビューは2017年6月17日(土)。申込みの受付は2016年12月5日(月)午前10時以降、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風 ツアーデスク」などで行われます。

JR西日本の豪華列車「瑞風」、クルーズトレイン最高&最低額に...の画像はこちら >>

10両編成、30人程度の定員を予定している「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」用の87系気動車(2016年8月、伊原 薫撮影)。

 旅行代金が最も高いのは、5種類設定されている「瑞風」のコースのうち運行距離や時間が最も長い、京都・大阪駅から2泊3日で山陰・山陽を一周し京都駅へ戻る「山陽・山陰コース(周遊)」の、3クラス中で最上級の客室「ザ・スイート」利用の場合で、120万円(2名1室利用における1名分代金、第1期9月出発分は季節料金で125万円)。同列車の標準的な客室である「ロイヤルツイン」では、50万円です(2名1室利用における1名分代金、第1期9月出発分は季節料金で55万円)。

JR他社のクルーズトレインと比べると…?

 なお「瑞風」と同時期、2017年5月1日(月)にJR東日本が運行を開始する豪華クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トランスイートしきしま)」で旅行代金が最も高いのは、東京(上野駅)発着で東北、北海道を周遊する3泊4日コース、最上級客室「四季島スイート(メゾネットタイプ)」利用の場合で、95万円です(2名1室、びゅうトラベルサービス取り扱い分)。

 また2013年10月に登場し、日本におけるクルーズトレインの嚆矢(こうし)ともいえるJR九州の「ななつ星in九州」で旅行代金が最も高いのは、博多駅発着で九州を周遊する3泊4日コース、最上級客室「DXスイートA」利用の場合で、95万円です(2名1室、JR九州クルーズトレインツアーデスク取り扱い分、第10期)。

JR西日本の豪華列車「瑞風」、クルーズトレイン最高&最低額に ならではの特徴も

JR西日本の来島達夫社長らが出席し、「ホテルグランヴィア大阪」で「瑞風」の運行開始日などが発表された(2016年11月29日、恵 知仁撮影)。

 JR西日本の来島達夫社長は「瑞風」の料金設定について、他社のそうした列車と比較したというより、客室設備や車内でのおもてなし、食事、沿線での立ち寄り観光といった「瑞風」のサービスの内容にふさわしい価格として設定したと話します。

 なお、これらの代金は1人あたりのもので、2名1室で実際に利用する場合は倍額です。また1名1室利用の場合、1人あたりの代金はより高額になります。

最低価格も「瑞風」 ほかの列車にはない特徴も

 JR西日本の「瑞風」は、JR他社のクルーズトレインと異なる特徴を持っています。ひとつが、さまざまなニーズに応えられるよう導入したという客室「ロイヤルシングル」で、2泊3日の「山陽・山陰コース(周遊)」は1名1室62万円(第1期9月出発分は季節料金で67万円)。1人あたりの料金が、2名1室「ロイヤルツイン」を2人で利用する場合の12万円増しに抑えられ、ひとりでも乗車しやすくなっています。

「周遊コース」のほか「片道コース」があるのも、ほかにはない「瑞風」の特徴です。京都・大阪駅と下関駅(山口県)のあいだを瀬戸内海側の山陽本線、もしくは日本海側の山陰本線を経由して1泊2日で移動するもので、「旅の一部にクルーズトレインを組み込む」といったことがしやすくなっています。

 片道コースの「山陽コース」「山陰コース」は、ともに下関駅へ向かう「下り」、大阪・京都駅へ向かう「上り」があり、合計4種類の設定。

旅行代金はそれぞれ最上級客室「ザ・スイート」利用で75万円(2名1室、第1期9月出発分は季節料金で78万円)、標準的な客室「ロイヤルツイン」で27万円(2名1室、第1期9月出発分は季節料金で30万円)、1名1室利用の「ロイヤルシングル」で33万円(第1期9月出発分は季節料金で36万円)。この片道コースの「ロイヤルツイン」2名1室利用が「瑞風」で最も低額です。

 なおJR東日本の「四季島」で最も旅行代金が低額なのは、甲信越などを巡る1泊2日コースの「スイート」客室で32万円(2名1室、びゅうトラベルサービス取り扱い分)、JR九州の「ななつ星」の場合は北部九州を巡る1泊2日コースの「スイート」客室で30万円(2名1室、JR九州クルーズトレインツアーデスク取り扱い分、第10期)です。

 またJR西日本の来島社長は、このたび行われた「瑞風」の旅行代金などに関する記者会見において、高級志向の「瑞風」とは別に、より気軽に鉄道の旅を楽しめる長距離列車の新たな運行を検討していることを明らかにしています。

【図解】1両独占 「瑞風」最上級客室「スイート」

JR西日本の豪華列車「瑞風」、クルーズトレイン最高&最低額に ならではの特徴も

世界的にも希少な構造という1両1室の「ザ・スイート」にはプライベートバルコニー、リビング・ダイニング、寝室、バスタブ付バスルームなどが備えられる(画像出典:JR西日本)。