国公立大学に合格する力を習得できる中高一貫校や高校はどこか。「卒業生1人当たりの国公立大学合格力」を基に、全国の中高一貫校・高校をランキングし、ベスト2286校を選出した『ダイヤモンド・セレクト2015年8月号 中高一貫校・高校ランキング 2016年入試版』

ここでは、全国ベスト10校を紹介する。

 いわゆるアベノミクスの効果で最近は経済に明るい兆しがあるが、過去10年以上の景気低迷は、進学に対する若者の志向を大きく変えた。

「家計への経済負担の少ない国公立大学に進学したい」「日本経済への不安を考えると理系(特に医学部)の方がいいのではないか」と考える若者や保護者が増えているようだ。

 高校でも、「就職でも、総合的に学んで5教科の試験を受けた国公立大学の卒業生の方が有利と聞くので、生徒には国公立大学への進学を勧めている」という学校がある。

 そうした社会の動向を踏まえ、経済誌「週刊ダイヤモンド」では5年前から、「国公立大学の合格力」で高校を評価する特集を組んできた。昨年からは別冊でこの企画を継続している。

類似の企画は多くの総合週刊誌で毎春、掲載されているが、本誌は独自の分析で、全国の高校の大学合格力を比較しランキングしている。

 具体的な方法は、次の通りである。まず高校ごとに、主な国公立大学100校の偏差値と、その合格者数を掛け合わせたものの合計を算出する。

 次に、その値を各高校の卒業生数で割り算し、それを国公立大学合格力と称してランキングするのだ。

 つまり、「卒業生1人当たりの国公立大学合格力」によるランキングである。

 このランキングには、幾つかの特長がある。

 まず、国公立大学は1人1校1学部しか合格できないから、高校の学力が比較的、正しく表れる。私立大学のように優秀な学生が幾つもの大学・学部に合格して、その高校の見掛け上の合格者数が大きくなるということがない。

 また、卒業生数を勘案することで、学校の規模の大小に影響されない。

 東京大学や京都大学など有名大学の合格者数でランキングする企画は、他誌やウェブサイトでも行っている。それはそれで意義があるが、単純な合格者数だと、生徒数が多い高校が有利になる。

 今年の東大の合格者数は開成が185人でトップ(34年連続1位)、筑波大学附属駒場(筑駒)は112人で2位だが、開成の卒業生は399人で、筑駒の卒業生は157人。

現役・浪人を問わなければ、開成は卒業生の46%が東大合格となるが、筑駒は71%にもなる。

 卒業生数を勘案すると、平均の比較となり個人の実像に近くなる。豊かさを国のGDP(国内総生産)ではなく、1人当たりGDPで比較するような感じだ。

 こうした方法で、全国の高校からベスト2286校を選出し、ここではそのベスト10校をランキングしている。また、本誌では全国ベスト200校、さらに2286校を都道府県別にランキングしている。この都道府県別ランキングが本企画最大の特長である。

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