その理由は一体なんなのかーー。
■出演者でありながら視聴者目線を忘れない
―関根さん、今日はよろしくお願いします!
関根 いやぁ、週プレは毎週読んでいますよ。もう何十年も前に、女性の裸に動物のペイントをしたグラビアがありましたよね? その頃から大好きなんです。記事も読みやすくて面白い。ホント、素晴らしいですよ!
―そうやって関根さんにホメていただくと、すごく自信が持てます! 関根さんは出演番組で共演者や後輩芸人を盛り上げたりホメたりしていますが、皆さんの気持ちが少しわかりました(笑)。
関根 僕はね、出演者でありながら視聴者でもあるんです。番組で共演している時以外でも、TVで面白い場面を見たりすると、そのタレントさん本人に「面白かったよ」って直接伝えたくなっちゃう。
―嬉しいでしょうね。浅田舞ちゃんも週プレのインタビューで「関根さんと番組共演した時、心に響く言葉をもらったんです」と話していました。(参照記事:3月23日配信の浅田舞インタビュー)
関根 僕のほうこそ、その時、舞ちゃんとお付き合いする妄想をぶつけさせてもらって。そうしたら「胸がキュンとしました!」って言ってくれたんですよ。あれは嬉しかったなぁ。
―関根さんは誰に対しても愛があふれていますよね。
関根 僕は純粋にみんなのファンなんですよ。だから、TVで面白いことをドンドンやってもらいたい。『さんまのスーパーからくりTV』(TBS)に出演していた時も「この場面、浅田美代子さんがクイズで変な答えを言いそうだな」って思うと、僕は解答ボタンを押すのを控えるわけですよ。すると、予想通り美代子さんがメチャクチャなことを言って笑いを取る。
じゃあ、次はオレが…って思うと、今度は(西村)知美ちゃんがボタンを押そうとしている。
―では、反対に関根さんが怒ることってあるんですか?
関根 芸に関しては一切ないんですが、キャイ~ンの天野が僕に一度だけ怒られたとネタにしていることがあって。いつだったか、ゲームセンターで鈴鹿サーキットを走る対戦型のバイクゲームをやった時のこと。何度も勝負をしたかったから僕は小銭を目の前に置いてね。で、最初のバトルが終わって、いざ2回戦という時に天野がなかなかコインを入れない。
―やっぱりダメ出しよりホメたほうがいい?
関根 だって、みんな面白いし、ちゃんとしているから怒るところがないんですよ。
―それは萩本欽一さんからの教えもあるんでしょうか?
関根 それはそうですよ。いろんなことを教わっていますから。今でも忘れられないのが『欽どこ』(『欽ちゃんのどこまでやるの!』、テレビ朝日)にクロ子として出演し始めた時。
『欽どこ』に出させてもらったばかりで、僕は張り切りすぎていたんですよね。皆さんも見た経験があるでしょ? 素人がいきなりTVに出てきて、変なギャグをやってシーンとなること。
―若手芸人だったら気合いを入れようって思っちゃいますもんね。
関根 やっぱりブレイクしたいからね。芸人が売れるのって本当に大変。何万人も芸人がいるし、上には明石家さんまさんを筆頭にザキヤマ(アンタッチャブル・山崎弘也[ひろなり])や、くりぃむしちゅーなど宮本武蔵みたいな手練(てだれ)がゴロゴロいる。そこを勝ち抜くのは奇跡に近いですよ。
―そう考えると、8.6秒バズーカーみたいに1年目で売れるっていうのは本当にスゴいことですよね。
関根 ふたりには頑張ってほしいよね。ひと回りしてからが勝負だと思うけど、なんでも世に出ることは大事なんです。一度も売れていない芸人はリバイバルもないし、「あの人は今」もないからね。
―関根さんのお話を聞いていると、考え方がすごくポジティブですよね。
関根 どんなことでも見方を変えるだけで、すごく前向きになれるんです。学生時代、好きなコに交際を断られたことがあったんだけど…。「あぁ、彼女とは何かが合わなかったんだな。だとしたら、付き合ってもケンカしちゃうだろうしデメリットが多いはず。ハッキリ断ってくれる彼女は本当にいい人だ」って、なるべく自分の都合のいいほうに考えていました(笑)。
イヤなことだって、裏を返せばいいことになるんだよね。悩む時間がもったいないし、いざとなったら開き直ればいいわけだから。
●関根勤(Sekine Tsutomu)
1953年8月21日生まれ、東京都出身。『ぎんざNOW!』の「しろうとコメディアン道場」で初代チャンピオンとなり、デビュー。『欽ちゃんのどこまでやるの!』でラビット関根の芸名から本名に戻す。還暦と芸歴40年を合わせて100年を記念し、映画を初監督
(取材・文/高篠友一 撮影/本田雄士)