『闇に葬られた「怪死」の真相』(宝島社)は、数々の謎に満ちた“死”を取り扱った一冊だ。女優・岡田有希子の飛び降り自殺や、陰謀論がささやかれる日本航空123便墜落事故など18編の“怪死”に切り込む。



 14年、小保方晴子氏の一連のSTAP細胞騒動では、小保方氏の師であった笹井芳樹氏の自殺に大きな衝撃が走った。小保方氏との怪しすぎる“師弟愛”を大々的にバッシングされるなど、執拗なマスコミの煽りに心が折れた結果、自殺したとされているこの事件。本書によれば笹井氏を追い込んだ黒幕は、理研そのものであるとされる。

 では、どうして理研が笹井氏を殺したといえるのか? 戦中、原爆を作っていたとされる理研。競争相手のアメリカに先を越されたうえに、原爆を落とされたことに当時の関係者は「文字通り腹を切る時がきた」と、悔しさを露わにしたという。のち、理研は解体されるのだが、すぐに民間企業として復活。
前・理研のメンバーが新・理研にそっくりそのまま所属した。

 その結果、理研は、戦中の空気を維持したまま今日まできているという。組織の保身のために責任者を死に追いやる空気があり、それを察知した笹井氏が「文字通り腹を切る時がきた」と、騒動に決着をつけたと本書では結論付けている。

 1986年4月8日、女優の岡田有希子が飛び降り自殺するショッキングな事件があった。当時のマスコミは大々的に報じて、お茶の間に生々しい岡田の遺体の映像が流れた。50名を超える後追い自殺など、社会問題になった。


 当時、岡田の自殺現場にかけつけた芸能記者の中野信行が、その死の真相は“90分の空白”にあると語る。自殺の動機は、峰岸徹に失恋したからだとウワサされたが、峰岸は「ユッコとは不純な関係は一切ありません」と告白している。

 岡田は、当日飛び降りる前に、自宅で自殺未遂を起こしている。治療後所属事務所に行き、自殺未遂を起こしたことを強く責め立てられて、責任感を感じて飛び降りたという説も。

 しかし、不可解なのは、救急隊が岡田の自宅に駆けつけてからマスコミに「自殺未遂」の連絡が入るのまで90分かかっていることだ。その後に所属事務所ビルの屋上へ上がり、飛び降りている。
この90分に何かがあったのだと中野は推測している。

 ほか、“怪死”の現場に駆けつけた記者による生々しいレポートが多数。なぜ彼らは、死ななくてはならなかったのか? 真相はいまだに闇の中だ。