『聖闘士星矢』のハリウッド実写化が発表されました。Yahoo!ニュースのトップでも取り上げられるほど、注目を集めているようです。
実写化については昨年からファンの間では、話題になることもありましたが、まさか実現するとは……。漫画の実写化は日本ですらファンを満足させることが難しいのに、ハリウッドとなると不安以外の要素が見当たらないというのが正直なところです。案の定、困惑が広がっています。
そこで、昨年本コラムで取り上げた北朝鮮の星矢ファン・趙さん(東アジア滞在中)は、このニュースをどう見たのか!? さっそく連絡を取ってみました。
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――お久しぶりです。『聖闘士星矢』のハリウッド実写化が決まりましたね。
「ものすごく期待していますよ! もう期待しかないでしょう」
――えっ、本当ですか? 日本では、どちらかといえば不安 が広がっているようですが……。
「僕、楽観的すぎますかね?」
—――具体的に、何を期待しているんですか?
「配役からラストシーンの美術効果まで、全部ですよ! とても挑戦的な着想だと思いますよ」
――確かに、聖衣などはちゃんと作ってほしいと思いますが、世界観が壊れないか不安です。同じく『ドラボンボール』が実写化された際には 、かなりのファンが失望していたのは事実ですから。
「世界観って、実写化したからといって、そんなにたやすく壊れるものですかね? CG技術が補ってくれると、僕は思っているんですが。『ドラゴンボール』が失敗したのは、投資額が少なかったからではないですか?」
――資金さえうまく集まれば、成功すると?
「基本ですよ、やっぱり。CGは 、お金がかかりますから」
――実は、過去に日本でも『星矢』舞台化しているんですよ。
「誰が何役を演じているのかわかりませんね、これは(笑)」
――中央の右側が星矢です。
「(笑)」
――実写化するということは、こういうことなんです。
「だからこそ、ますます期待できるじゃないですか! 過去の失敗だけで、未来を否定することはできませんよ。ところで、日本のファンは『聖闘士星矢Legend of Sanctuary』(2014年公開のフルCG映画)についてはどう思っているんですか? 僕、中国でちょくちょく見るんですけど」
――これは評価が分かれましたね。おおまかには、「もはや別の作品として見るべきだ」という声と、「これはこれで良いんじゃないか」という声の2つ でした。
「そうですね(笑)」
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短いやりとりしかできませんでしたが、日本のファンと違って、純粋に期待している様子でした。
何よりも「過去の失敗で、未来を否定することはできない」という車田 マインドを体現するかのような発言は、星矢ファンとして大切なものを思い出させてくれました 。
余談ではありますが、先日、某脚本家と話していたら「展開が強引な車田作品は、ボリウッドにこそ適している」という話になりました。
たとえば『リングにかけろ』 で主人公がギャラクティカ・マグナムを放つと背景に宇宙空間が広がり、次のシーンで対戦相手が体育館の天井を突き破るといった車田作品特有のジェットコースター感を表現するには、ボリウッドが適していると。確かに、ボリウッドメイキング版なら、しっくりくるかもしれません。
ともかく、実写版が成功してくれることを、私もファンのひとりとして願っております!
●やす・やどろく
ライター、編集者。都内大学院の心理学部在籍中。元朝鮮青年同盟中央委員。政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。