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「陽性かくにん!よかった」小保方晴子の実験ノート。本来は何が書かれているべきだったのか

2014年5月9日 10時00分

ライター情報:青柳美帆子

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『君たちに伝えたい3つのこと』(中山敬一著/ダイヤモンド社)
5月7日に公開されたSTAP細胞ねつ造疑惑の小保方晴子氏の「実験ノート」に、非難と疑惑が集まっている。でも実際、実験ノートって、どのようなことが書いてあるべきだったのだろう?

「陽性かくにん!よかった」

STAP細胞のマウス実験のさいの実験ノートにはこう書かれていた。ねつ造疑惑を晴らすために小保方晴子氏の代理人弁護士が「実験が行われた証拠」として5月7日に公開したものだ。疑いを晴らすために公開に踏み切ったのだという。

いわば切り札の実験ノート。しかし、見た瞬間、「あ……あれ?」と首をひねってしまった。
PCが普及している今だからこういうのもアリなのかも。偶然あんまり詳しくない部分を抜き出してしまったのかも。いろいろ研究事情を想像してはみるものの、ぱっと見た感想としては「中学生の理科の授業ノートみたいだ……」に尽きる。

理系の研究者や学生以外は、「実験ノート」それ自体になじみが薄い。実際、実験ノートはどのようなことが書かれているものなのだろう。

理系の学生に向けたメッセージ本『君たちに伝えたい3つのこと』(中山敬一著/ダイヤモンド社)では、「研究を面白くする秘訣は実験ノート」として、実験ノートの構成を紹介している。ポイントは「実験ノートを『プチ論文』にする」こと。

(1)タイトル
(2)日付
(3)実験目的
(4)材料・方法
(5)実際におこなった手技
(6)結果
(7)考察


イメージは「優れた企画書」。それだけで人を説得できるようなノートを作るのが、よい論文を書くコツでもあるし、素晴らしい発見にもつながる。きちんとしたノートがあれば、似たような実験をするときに再現することができる。

著者は、医学部を卒業し、医者にはならずに研究者になった。大学の教授でもあるので、実験ノートにまつわる学生の失敗ケースも書いてある。

「ほとんどの学生は指導しないと、ノートには(5)実際におこなった手技、だけをちょこっとメモ程度に書くだけしかしません」
「(5)実際におこなった手技、についてもほとんどの学生はうまく書けていませんね。私は、実際におこなった手技は、どんな小さなことでも記載します。(中略)毎回毎回具体的に記載します」
「プロトコール(実験手技をまとめたもの)にサインペンで書き込みをしてあるだけでノートはつけていない、という学生にしばしば出会いますが、きちんとした初期教育を受けていないんだなぁと思ってしまいます」
「量についても適当に最終濃度だけ書いてあれば良い、というものではありません。20マイクロリットル系と1ミリリットルの系では、同じ組成でも反応の進み方はかなり違うことは、私は経験を通じて知っています」

もちろん、このノートの作り方が日本の共通ルールというわけではない。

ライター情報

青柳美帆子

フリーライター。1990年(平成2年)生まれ。オタクカルチャー・イベントレポ・明るいエロス・少女革命ウテナなどを中心に執筆しています。

URL:青柳美帆子のまとめ

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