アイデアはどうすれば出てくるのだろうか?
アイデアを出すための強力な武器とヒントになる本12冊を紹介する。

ジェームス W.ヤング『アイデアのつくり方』
原書は1940年、日本では1988年に出版され、いまだに売れ続けるロングセラー。

文字も大きく本文50ページちょいしかない。あっという間に読めてしまう。
“アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何物でもない”という基本原理をコンパクトに解説している。
アイデアを出すのは以下の5ステップ。
1.データ収集
2.データの咀嚼
3.孵化の段階
4.アイデアの誕生
5.アイデアの具現化・展開段階
アイデアを出す基礎に立ち返るために、手元に置いて読み返すべき古典的名著。

米光一成『自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法』
“コツや近道ではない。
本当の発想力を身につける王道を学べ。
「ぷよぷよ」を作った人気ゲームクリエイターが、若手育成カリキュラムの中から生み出したトレーニング法を公開!”
自分の本だが、いい本なので紹介。
アイデアを出す方法ではなく、アイデアが浮かんでしまう体質に改善するトレーニング法を書いた。
自分の発想の根っこを短いフレーズにして徹底的に洗い出す弾丸化トレーニングからスターする。1日10分間のトレーニングで、意識のスイッチを入れることで、日常生活すべてが発想のトレーニング場に変わる。
この本に書いたことを発展させた奥義を披露するイベントを、2014年7月7日大阪のロフトプラスワンで開催するので、ぜひ来てね。
発想力トレーニング講座「想像と言葉」

フレドリック・ヘレーン『スウェーデン式 アイデア・ブック』
アインシュタインが学生に試験問題を配ったときのエピソードからはじまる。
“「教授、これは前回と同じ問題ではないですか?」
「その通り」と、アインシュタイン。
「問題は同じだが、今回は、答えが違う」”(P8)
「いつものやりかた」を超えるためのヒントが30項目。
カラフルなイラストとエッセイで楽しめる大人のためのアイデア・イラストブック。

フレドリック・へレーン/テオ・へレーン『スウェーデン式 アイデア・ブック2』
“子供のように絵を描けるようになるまでは一生かかった”
最初の項に、パブロ・ピカソの言葉が引用される。『スウェーデン式 アイデア・ブック』の第二弾、テーマは「子供のように」。

お父さんが撮影している様子を見ていた女の子が「パパ、どうして写真はすぐに見られないの?」と質問したことが、ポラロイド・カメラ発明のきっかけだったというエピソードなど、さまざまな子供に関わる自由奔放な発想が紹介される。

安達裕哉/白潟 敏朗『天才に勝てるアイデアのつくり方』
サブタイトルは「5人の凡人が1人の天才を負かす」。
1人でアイデアを出すのではなく5人集まって、アイデアを出すエッセンスを紹介した本。
アイデア出し会議のメンバーは5~7人程度がベストだ
メンバーの中には「ぼけぼん」を入れてはいけない
「笑い」と「やる気」が考え方のバリエーションを広げていく
など、ブレインストーミングのハウツーがしっかり。
ちなみに「ぼけぼん」というのは、ぼけた凡人の略で、こんな人だ。
1:後ろ向きな人
2:自分を天才だと思っている人
3:人の意見を聞かない人
4:なんでも一番でないと気がすまない人

「おちまさとプロデュース 企画の教科書」をつくる会『企画の教科書』
放送作家・プロデューサーおちまさとがプロデュースした企画の本。

・企画を立てる前にまず自分の背骨を見つけよう
・自分フィルターを機能させる
・「記憶」は企画の構成パーツ
・ひとつの企画の中に、真面目な部分と狂気の部分を共存させる
といったキャッチーなフレーズが連発。読むと元気とやる気がでてくる一冊。

「おちまさとプロデュース 企画の教科書」をつくる会『企画の教科書2企画火山!』
「企画は火山だ!」がキーフレーズ。
企画を火山にたとえ、何度も何度も噴火させるハウツーをまとめた本。
章タイトルを紹介しよう。
序章 企画は何度でも噴火させよ!
第一章 熱い企画マグマを生産せよ
第二章 マグマ溜まりは企画のベース!
第三章 マグマ圧、急上昇!
第四章 きれいな火口の作り方
第五章 なぜ噴火しないのか?
第六章 企画火山にまつわるエトセトラ
歴史上の名火山

『ブレーン 特別編集 合本 トップクリエイターのアイデア発想法・企画プレゼン術』
嶋 浩一郎(博報堂ケトル)、秋山具義(デイリーフレッシュ)、須田和博(博報堂)、佐藤可士和(サムライ)、長嶋りかこ(博報堂)、螺澤裕次郎(電通)、稲船敬二(ゲームクリエイター/コンセプター)など、たくさんの人の発想法を結集した本。
それぞれの人のメモやノートの写真が掲載されているのが嬉しい。

中西泰人/岩嵜博論/佐藤益大『アイデアキャンプ』
“遠足で食べるお弁当は格別に美味しく感じるものです。お気に入りの音楽を聞けば、気分が乗ってきます。カメラを手にして街を歩けば、良い被写体を探し始めるものです。道具と環境が変われば人は変わるのです”。(P7)
“いつもとは違う場所へ出かけ、多彩な顔ぶれの仲間そして自分自身と対話を重ねながら、課題をさぐり解決案を出す”という「アイデアキャンプ」という方法の解説本。

キャンプというのが比喩ではなく、本当に自然の中やいろいろな場所へみんなで行ってアイデアを出そうというところが素晴らしい。チームサイズ文具の紹介や、合宿キャンプ、コミュニティキャンプなどの実践方法や、発想技法など。
“文具と街と自然の使い方に着目”し、“「オフィスを離れ、発想のキャンプにでかけよう!!」”という提案。

大野晋/浜西正人『類語国語辞典』
「語彙分類体系表」にしたがって言葉が並んでいるシソーラス辞書。
たとえば、「中心」を引くと、「真ん中」「中程」「中央」といった類語はもちろんだが、「端」「先」「間」「隅」といった項目が目に入る。さらにページをめくっていけば、「底」「奥」「入り口」「上下」「前後左右」「内外」と、どんどん言葉が拡がっていく。
調べた言葉が、言葉のネットワークの中のどのあたりに、どのように配置されているかを知ることができる。
キーとなる言葉を引いて、関連する言葉の海を冒険することで発想が刺激される。

Jane Fulton Suri+IDEO『Thoughtless Acts?: Observations on Intuitive Design』『考えなしの行動?』
足の間に荷物を挟んで置く、膝裏に手を入れて手を温める、など、無意識にふとやってしまうちょっとしたことのスナップ写真集。
日本の電車内の写真もたくさんあって「あるある!」と思いながら、世界を再び新しい視点で見直すきっかけになる。アイデア出しに詰まったら、気分転換にパラパラと観るといい小さな本。

間羊太郎『ミステリ百科事典』
ミステリやホラーのトリックや描写を、眼、血、首、氷、手紙、遺書などの項目を立てて紹介した本。それぞれのキーワードの突飛なギミックが満載で脳がワクワクしてくる。巻頭に、北村薫×宮部みゆきによる「まえがき対談」あり。

出すクセをつければ、アイデアはどんどん出てくる。
どんどん出てくれば、それが楽しくなり、アイデアで状況や環境が変えられる。
そうなると、もっとアイデアが出やすくなる。グッドなループが続く。
そのループを生み出すためにも、刺激的な本を読もう。(米光一成)