売れているのはPILOTのKakunoだけではありません。今年の2月に発売されて以来、じわりじわりと取り扱いが増えている注目のペンがあります。セーラー万年筆の「MY FIRST」です。
Kakunoは子供用の万年筆であるにも関わらず大人も使える完成度というコンセプトでした。
MY FIRSTのケースの中にはペン軸が1本、ペン先が2つ、カートリッジが3つ入っています。カートリッジはブラック、ピンク、スカイブルーの3色。
面白いのは、ペン先が2つ入っているところでしょうか。ひとつはMF(中細)の普通のペン先で、普段使い用。もう一つはペン先が曲げてある特殊なペン先。これらをどちらも同じペン軸で使うことができるのです。
この特殊ペン先は、もともとセーラー万年筆の「ふでdeまんねん」で採用されていました。ペンを寝せて書くと根元を使うことになるので太くなり、立てて書くとペン先を使うので細くなる。
太い字が書けるということは、それだけインクが紙に多く接していることであり、摩擦が低くなるということ。そのため、他の万年筆よりもすらすらと滑らかな書き心地でした。ただ、細かいメモ書きにはあまり向いていないというか、ずっと細いままをキープするのは意外と難しかった。これは僕が普段からペンを寝かせて書く癖があるからでしょう。
もちろんコンバータにも対応していて、カートリッジを使い終わったらいろいろなインクを楽しむことができます。説明書には、コンバータの使い方も載っています。インクの色の変え方や、メンテナンス方法も図入りでわかりやすい。
実は万年筆で一番多いトラブルは、あまり使わなくなってしまってペン先が乾いてしまうことですが、MY FIRSTでは、乾きにくいネジ式キャップを採用しています。乾いてしまっても、ペン先が交換できるので、メンテナンスが容易。また、3色のカートリッジを交換するときにペン先を洗うことで、自然にメンテナンス方法が覚えられるように工夫されています。
これから万年筆を使ってみようという方、ちょっと面白いペンを使ってみたい方は、MY FIRSTから始めてみてはいかがでしょうか。
(杉村 啓)
MY FIRST(amazon)