文化放送の謎の覆面パーソナリティ・レコメンダーK太郎が番組降板───。
昨年12月、突如発表された人気ラジオ番組「レコメン!」のパーソナリティ交代のニュース。
なぜ今、交代なのか? そもそもレコメンダーK太郎とは何者なのか? いよいよ28日(水)に番組卒業を迎えるK太郎さん本人に、その真相をうかがいました。

<関ジャニ、AKB、U字工事etc. この番組が「レコメン!」してきたのは「人」>

─── そもそも、なんでラジオなのに覆面かぶってるんですか?

K太郎 いろんな理由をつけてごまかしてきたんですけど、僕もわかってません(笑)。番組が始まる直前に、プロレスラーのザ・グレートサスケさんが岩手県議に当選してマスクを脱ぐ脱がないっていう騒動があって、ただ単にそれに便乗したんじゃないかって説もありますけど、初代プロデューサーから「パーソナリティ養成ギプスだ!」と渡されたのが覆面でした。「これを脱いだ時、お前は一人前のパーソナリティだ!」と言われていたので、覆面を脱ぐことが決まった今、ようやく一人前になれたのかもしれないですね。ラジオって「どんな顔の人がしゃべっているのか」が本来伝わりにくいメディアなんですけど、例えばライブに行った時、「文化放送」とか「K」って書いてある覆面のおかけで、「ひょっとしてK太郎さんですか?」と声をかけてもらえたことが多々あって。ラジオだからこそ、覆面をかぶる意味はありましたよ。


─── 今かぶっている覆面は何代目?

K太郎 8年9ヶ月で、これが13代目です。

─── そんなに!? 

K太郎 半年から1年で変えてましたから。失敗作も入れると30枚くらいあるかもしれません。初代だけ既製品で、2代目からはずっと南千住の職人さんにオーダーメイドでお願いしていました。最後の13代目だけは自身も覆面レスラーである、東中野の職人さんに作ってもらいました。僕が覆面をかぶるキッカケだったかもしれないザ・グレートサスケさんともご縁のある職人さんです。


─── でもザ・グレートサスケから始まった覆面がそこに戻ってきたっていうのはなんかうまいこといきましたね。

K太郎 一番びっくりしたのは、ザ・グレートサスケさんが僕のことを知ってくれていたことですけどね。っていうか、大丈夫ですか、このインタビュー? こんなレスラーでもない人間の覆面話、需要あります?

─── ありますよ。Yahoo!ニュースで取り上げられた男ですから大丈夫です。そのYahoo!ニュースや新聞でも大きく報じられた番組降板が、いよいよ3日後に迫ってきました。

K太郎 ここまできて、まだ実感がないんですよね。
長いこと続いた生活が変わる実感もないですし、卒業の発表が早かったので閉店セールが長くなり過ぎちゃって……。閉店セールが終わらないお店の気分がわかってきたし、「まだ辞めてなかったの?」って言われることも多いです(笑)

─── 新聞報道だと「年齢とともに若いリスナーと話が合わなくなってきたから」というのが降板の理由になってましたが、それが真相?

K太郎 誰が言ったのか知らないですけど、新聞が書いてるんですからそういうことなんじゃないですか(笑)。「レコメン!」って、中・高・大学生の若い世代にとっての“ラジオの入り口”になりたいと思っていた番組なので、入学や卒業など、生活環境の変化とともに、リスナーは番組を卒業し、また新しいリスナーが入ってくる感覚でした。9年近くそのサイクルを繰り返してきて、企画によっては何巡目にも入っていたし、自分だけずっと留年するのも…と、2年くらい前から思ってはいました。ここまできたなら10年!っていう気持ちもありましたけど、とにかく「これだけ長く続いた」ことの方に驚いています。

─── 文化放送の夜ワイドとしては史上最長で続いてきた人気番組です。
長く続けられた秘訣はなんでしょうか?

K太郎 それがハッキリとわかってたらもっと長くやれたかも……(笑)。そもそも、「レコメン!」って急に始まった番組なんです。ラジオの番組改編って普通は4月と10月なんですけど、この番組は7月に急に始まることになって……。定まらないまま始まった部分も多かったので、徐々に肉付けされていったというか、変化が当たり前の番組でした。結果的に、これが長く続けられた理由の一つかもしれないですね。だって、「レコメンド=すすめる」から名付けられた番組なのに、初回放送で早くもタイトルと関係ない内容の放送でしたし(笑)。
良くも悪くも当初はそんな番組でしたけど、徐々にレギュラー陣が「レコメン!」をタイトル通りの番組にしてくれました。当時は芸人を続けるか辞めるかの瀬戸際だったと言っていたカンニング竹山さん。M-1ファイナリストになる前のU字工事。木曜日担当の関ジャニ∞もまだ関西ジャニーズJr.でしたし、AKB48も社会現象になる前でした。レコメン!ファミリーが、番組を続けていく中でブレイクしていく。リスナーも、タイトル通りの番組になったことで、期待感を持ってくれたと思うんですよね。
ゲストも、新人をどんどん紹介していくコンセプトだったので、デビューと同時にレコメン!に来てブレイクした方がたくさんいます。そういう意味で「人」はおススメしてきたと思います。だから、おススメし忘れてた僕もこれからブレイクするんじゃないですか(笑)


<「ウンをつけよう」「リアル桃鉄」etc. いろんな企画をやったけどまだ足りない>

─── 番組の企画で特に印象深かったのは何ですか?

K太郎 U字工事がM-1挑戦のラストイヤーに、「もう実力はあるんだから、あとは運だ!」ということで「ウンをつけよう」と、うん○を3タイプ用意しました(笑)。「まずは犬のうん○だー」と犬の糞をペタペタU字工事の顔に付けて。「次は人間のだーっ」と、赤ちゃんのおむつをスタッフに持ってきてもらったんですけど、想像以上に量が多くてスタジオの異臭がとんでもないことになって。「最後に俺のうん○だーっ」と、実際はただの肉まんの具を差し出しただけなんですけど、フリが効きすぎてるのでU字工事は本気で信じたんです。あとは食べさせた後にネタばらしするという……(笑)。最近では、本物の土佐犬をゲストに呼んだこともありました。ホントに空気を読む犬で、CM中はおとなしくしてるのに本番になると吠えてくれるすばらしい犬だったんですけど、プルプル震えてるなって思ったらスタジオの中でうん○して……あっ、スイマセン、うん○の話ばっかりで。キレイな話もしましょうか?

─── 感動できるやつを。

K太郎 チャレンジ企画を数々やってきたんですけど、「リアル桃鉄」っていう、ゲームの桃太郎電鉄をプレイしながら、ゲームと同じ移動をする企画を何度かやりました。ゲームの中で「目的地は金沢」って出たら金沢駅に行き、そこから三重県の松阪駅に行き、青森駅に行き……というロケを2泊3日でやって、オンエア時間はわずか5分という(笑)。そういう手間は惜しまなかったですね。受験生応援企画として、小島よしおと慶応義塾大学を受けた企画も、1年近く本当に受験勉強しましたし。この番組に関してのほぼ全てがガチンコで、自腹と言えば自腹でした。そのリアリティが伝わったのなら、それも番組が長く続いた理由かもしれないです。オチがなさそうな企画を敢えてやるなら、無理にオチを付けたりしなかったし。ラジオ番組として、それが良いのか悪いのかはわからないですけど、リアルな番組だったとは思います。

─── もうやり残しはない?

K太郎 そんなことはないです。いろんな経験はしましたけど、まだまだやってみたいことはたくさんあります。だから、残り2週間で新コーナーを始めましたし。「チョコボールで金のエンゼルを出す」企画は5年越しでやってきましたが、2800個以上のチョコボールを買ってまだ1個も“金”を出してないんです。本当にスタッフ含めて“引き”が弱くて……。最後の最後に金のエンゼルだけは出したいですね。どんな番組だよ!

─── 森永さんからは何かないんですか? 「いつもご愛顧ありがとうございます」みたいな。

K太郎 こっちが好きでやっていただけで、何もないです(笑)。何か言われたといえば、「リアル桃鉄」をやってた時に、桃鉄を作った本人である、さくまあきらさんから「面白そうなことやってるね」とコメントしていただけたことがあって嬉しかったです。


<こんな覆面を信じて、お前ら将来騙されるなよ>

─── 今後、「レコメン!」という番組はどうなるんですか?

K太郎 「レコメン!」は続きますよ。お笑いトリオ、オテンキ・のりさんが新パーソナリティです。でも、番組タイトルが変わった方が本人はやりやすかったでしょうに。長く続いた分、リスーナーにとってはイメージする番組像があるかもしれませんが、そんなイメージは全部ぶっ壊して、まったく新しい番組として始めて欲しいですね。そうじゃなきゃ、パーソナリティが変わる意味ないですし。

─── じゃあ、特に受け継いでほしいこともない、と。

K太郎 一切ないです。でも、ひとつだけ言わせてもらえるなら「なんで2代目は覆面しないんだ!」っていう(笑)

─── 覆面ともお別れするんですよね。

K太郎 「普通の女の子に戻ります」とマイクをステージに置いたレジェンドのように、マスクをスタジオに置いて…というのがオーソドックスな別れです。でも、この前AKB48の高橋みなみちゃんに「最後、燃やすんですか?」って言われて、「潔くていい!」と思いました。今のところは最終日に燃やすのが第一候補です。あと、最終週には名場面を……まぁ「名場面」なのかはわからないですけど、無茶した回を総集編で流すみたいです。さっきのうん○の回は、U字工事を呼んで絶対に流します! 他にも番組に縁の深い方が来てくれる予定です。

─── 最後にリスナーに何と言うか、もう決めていますか?

K太郎 何か言おうとする……とは思いますが、天然で「また来週」って言いそうです。あとは「K太郎のことは嫌いになっても、レコメン!のことは嫌いにならないで下さい」とか、人の言葉を借りてごまかすかもしれません(笑)。最後に真面目に言わせてもらうと、覆面して顔も見せてないのに、リスナーには心を開いてもらった気がします。こっちが勝手に騒いでる番組で、リスナーと向かい合ってきたとは言えないんですけど、ここ1、2年は特にそう感じます。あとは、僕と小島よしおの慶応受験に影響を受け、当初は受験予定じゃなかった慶応に、今、通っています!っていうリスナーがいたり……。この9年近くを振り返って、誰かの人生のためになったと思わせてくれた瞬間が少なからずあります。たとえ数人だったとしても、誰かのためになれたのなら、この番組をやった価値はあったと思います。でも、「こんな覆面を信じて、お前ら将来騙されるなよ」って心配が残りますけど(笑)
(オグマナオト)