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堺雅人から中谷美紀への厳しいダメ出しも「ひまわりと子犬の7日間」

2013年3月18日 10時00分
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3月16日(土)に新宿ピカデリーで行われた初日舞台挨拶には、ひまわり役の「イチ」も駆け付けた。

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先週土曜日より全国ロードショー中の映画『ひまわりと子犬の7日間』。巨匠・山田洋次監督のもとで20年にわたって共同脚本・助監督を務めてきた平松恵美子が初メガホンをとり、2007年に宮崎県で起きた実話を映画化した作品だ。

堺雅人演じる主人公の神崎彰司は、もともと動物園の飼育係として働いていたが、8年前に動物園が閉鎖し、現在は保健所の職員として働く毎日。動物園で出会い結婚した妻・千夏(檀れい)を5年前に交通事故で亡くし、里美(近藤里沙)と冬樹(藤本哉汰)という2人の子どもを男手ひとつで育てている。

ある日彰司は、畑を荒らした野犬の母子犬を捕獲する。生まれたばかりの子犬を守ろうと、人間を威嚇し続け吠え止まない母犬。保健所の規則では、収容してから7日間の間に引き取り手が見つからなかった場合、その犬は殺処分になる。凶暴な母犬に引き取り手が見つかるとは思えず、そうなれば乳離れもしていない子犬の命も助けることができない。しかし、懸命な母犬の姿を見た娘の里美から「子犬とお母さんを一緒にいさせてあげて」と懇願され、彰司は母子犬の命を救うと約束する――。

去年3本の映画と2本の連続ドラマで主演を務めた堺にとって、2013年1本目の主演作となるのが、この『ひまわりと子犬の7日間』だ。人格破綻者の天才弁護士を怪演した『リーガル・ハイ』や、美しい所作で大人の色気全開だったドラマ・映画の『大奥』とは一変し、本作で堺が演じているのはごく普通の男。

「普通」が求められれば求められるほど、説得力のある芝居をするのは難しくなるように思う。一歩間違えれば絵に描いたような「善良な人」を演じてしまいそうなところだが、ゆるんだ表情とさりげない佇まいで彰司の朴訥とした存在感を体現した堺の力量に、改めてうならされる。

作品の舞台である宮崎県出身の堺は、3月16日(土)に行われた初日舞台挨拶で「宮崎の言葉でお芝居をするのが長年の夢でした。自分にとって家宝のような作品です」と語った。パンフレットのプロダクションノートによれば、クランクイン前の打ち合わせの際、堺はその場で5段階の宮崎弁を披露し、どの段階の訛りでもできますと言い切ったのだという。

のんびりとした口調の宮崎弁は、この映画の重要なファクターだ。本作では、動物愛や親子の絆とともに「保護犬問題」というシビアなテーマも描いている。目を背けてしまいたくなることもごまかすことなく描写しているにも関わらず、物語全体がなんとも言えない温かさで包み込まれているのは、宮崎弁の優しい響きのおかげなのだろう。

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