3日にはじまった、内村光良司会のクイズ番組『優しい人なら解ける クイズやさしいね』(フジテレビ系列)
月曜の『痛快TV スカッとジャパン』に続き、月火の2夜連続で20時台のフジテレビにウッチャンが登板。司会者ばかり注目してしまうが、このクイズ番組、実はすごい発明がある。

「やさしい」の守備範囲の広さ
「やさしいあなたにお聞きします」というフレーズで出題される『クイズやさしいね』は、様々な物事がもつ「やさしい理由」が問いになっている。例えばこんな感じ。
Q「教室の右側に廊下がある”やさしい理由”とは?」
A: 日本人の多くは右利きなので、文字を書く時に影ができないよう窓を左側にしているため
Q「大曲の花火大会で観客が懐中電灯を持つ”やさしい理由”とは?」
A: 花火大会終了後、懐中電灯を振って花火師に感謝を伝えるため
Q「坂が多い長崎市で、バスが始めた”やさしいサービス”とは?」
A: 下り坂を歩いて帰る人のために、片道だけの定期券がある
どれも「やさしい」を切り口にしているのだけど、よく見るとこれらは従来のクイズ番組なら「雑学」のジャンルで出題されていたもの。例えば『クイズ雑学王』(テレビ朝日系)などで取り上げていても全然違和感がない。
雑学系のクイズ番組が「知識の豊富さ」「頭の回転の良さ」を問うのに対して、『クイズやさしいね』は「やさしさ」を問う形になっている。「やさしさ」は誰もが少なからず持っている要素なので、見る側のハードルもぐっと下がる。やさしければ解ける、と言われたら身を乗り出してしまう。
また、「やさしい」の切り口は悪く言えば抽象的でぼんやりしているのだけど、裏を返せば何にでも「やさしい」が言えることになる。誰かが何かのためにこれを作った、という出来事があれば、「何かのため」という行動を「やさしい!」として問題を作れるのだ。回答者もボケたくなったら「やさしい」をお題にしてボケやすい。
番組開始当初は「奇妙な光景」を集めていた『ナニコレ珍百景』が、「○○なネコがいる光景」「○○なエピソードのある光景」など「光景」の範囲を徐々に広げて何でもアリになったように、『クイズやさしいね』も「やさしい」の範囲を広げれば様々な展開が可能になる。
視聴者にも、回答者にも、番組制作側にも「やさしい」。
「やさしい」の切り口はひとつの発明なのだ。
「動く内村」が見られる
『クイズやさしいね』のもう一つの特徴は、「動きまわる内村光良」が見られること。
『世界の果てまでイッテQ!』『痛快TVスカッとジャパン』『スクール革命!』など、各局のレギュラー番組では、内村光良はMC席からほとんど動くことはない。『LIFE!』ではコントで激しい動きを見せるが、スタジオMCでは固定席だ。
『クイズやさしいね』では、内村光良は回答席のあいだを歩き回り、パネラーと会話しながら答えをあけていく。正解のときは「正解ー!」と高らかに声をあげ、蛭子能収には「バカだねぇ」と軽く毒づき、平愛理のお馬鹿回答を再現しようと全身で乗っかる。
コント以外で、内村光良の全身の動きをここまで見られるバラエティは珍しい。出題後に加藤綾子アナから回答をチラッと見せられた時の「やぁさすぃ〜」などのリアクションなど、まるでコントで「クイズやさしいねの司会者」役を演じているように思えるほどだ。
『スカッとジャパン』が「静」の内村光良なら、『クイズやさしいね』は「動」の内村光良。
フジテレビ月火の20時台、ウッチャンの動きにも注目である。
(井上マサキ)