うん。
行われなかったの。
ここで神奈川に大雨洪水警報。無念の「中止」発表が出されました。
ナタリー - 「FREEDOMMUNE 0<ZERO>」大雨の影響で急遽中止
Togetter - 「写真でみるフリードミューン中止」
この写真なんかを見ると、いやあこりゃ無理だわ、と思ってしまいます。
まず「FREEDOMMUNE 0」ってなんだよ、ってとこからですね。
「FREEDOMMUNE 0」はDOMMUNE主催の東日本大震災復興支援イベント。無料の予約イベントで、夕方から朝までたくさんのステージでライブとDJプレイが披露される予定でした。
出演アーティストは「ジャングル大帝」の音楽などで有名な冨田勲やTK小室哲哉から、FISHMANS+、KIMONOS、テイ・トウワ、ケンイシイ、非常階段、神聖かまってちゃん、国外からもジェフ・ミルズ、ホワイトハウスなどなど、もうジャンルとか考えない、かなり豪華でカオスなラインナップになっていました。
自分もインビテーションカード(無料の予約チケット)を持って品川で「やるのかな……やらないのかな……」と不安に思っていたとき、流れてくる「中止」の文字。最初は情報も錯綜しまくっていましたが、公式発表がtwitterで流れるやいなやあちこちから落胆の声が……川崎駅に行く前の品川駅、喫茶店の中など仲間だらけでした。
延期じゃなくて中止とは。
ところが!
ここからが面白いのですよ。
ネット中、ありとあらゆる形で「何かをしたい」という強烈なアーティスト達の望みが、形になり始めます。
まず、イベントが通常開催された場合中継されるはずだったDMM.comで、トークショーだけでも!と中継開始。神聖かまってちゃんのの子や安部譲二などが入れ替わりできわどい放送をしはじめます。
トークショーは朝までの予定でしたが、諸事情により強制撤退せざるを得ない状態になり、無念の中止。
終わったけどまあ、仕方ないよね。そう思いました。
ところが!
石丸元章と泉美木蘭が撤去中のバックステージに潜り込んで撮影を配信しはじめます。
USTREAM: もくれんGEN-SHOW FREE Stream
そもそもバックステージなんて見ることできない場所ですから、絶対ありえないようなツーショットが映ったりして大変なことに。
ぶっちゃけ話もありの、強烈な放送になりました。
とはいえやはり撤去の勢いには勝てず、一定の時間で終了。
まあ、仕方ないよね。そう思いました。むしろいいもん見れましたよ、これはライブだと見られない。
ところが!
その後、向井秀徳の発案で、七尾旅人の「tavuuuuune」がゲリラ放送。
本当にゲリラ。向井秀徳のノーパソに向かって、トーク出演予定だったPhewと七尾旅人がギターを弾きながら歌い始めます。
もちろんプログラムにありません。思いつきです。執念です。
隠れるようにコソコソと、しかし高らかに絶叫しました。
バックヤードなので、後ろは撤去中のテントとビール缶の山。
結局無理やり一曲やったはいいものの、強制撤去には勝てずあっという間に終了。
この時に「ミュージシャンの逆襲」と言ったときはもう……しびれたね。
中止という「0」。
そこから「何か」やりたいという動きはまだまだ続きます。
深夜3時。
小室哲哉がガチでライブ配信をしはじめます。
Twitter / @Tetsuya_Komuro: 今回の趣旨に賛同して……
「今回の趣旨に賛同して考えた セットリストを朝日が登るまでにぜひ聴いてもらいたい、 という想いから、DOMMUNEさんのチカラをお借りして、 自分のスタジオからライブ配信を決めました。 詳細はスタッフが随時報告します。 目標は午前3時頃からです。 Stay tune!!!!!」
小室哲哉は以前dommuneで14万人以上のネット視聴者を集めました。しかも指から血を流しながらの演奏という伝説付き。
そんな彼が複数台のカメラとたくさんのキーボードを駆使し、手抜き一切なしのガチライブを深夜に披露。
小室哲哉は最近、様々なしがらみなどから抜けだして自由に音楽を演奏しています。満面の笑みで、しかし恐ろしい指さばきで楽しそうに演奏する様を世界に発信しました。
特にキーボードドラムの即興ソロは強烈。たかがキーボードドラムと侮るなかれ。USTの放送が捉え切れない速度で指が動いていました。
昔の名曲「GET WILD」も披露。そして最後はBeatlesの「Let it be」で締め、という豪華な時間でした。
さすがに血は流しませんでしたが、鍵盤を折るという伝説も作ってくれました。
小室哲哉、熱い男。
その後TKからローランドへお詫びのメモも。
小室哲哉、おちゃめな男。
まだまだ終わりません。
まるっきり同じ時間に向井秀徳とLEO今井のKIMONOSもライブ配信を始めました。
なんでかぶせるの!!! わざとでしょ!?
でもそこがいいんだなー。好きな方を見に行ってね、というのはなんともフェスっぽい。
「KIMONOS」のアルバムからの曲はもちろん、細野晴臣やthe Smithsのカバーも披露。
こちらは回線も途切れ途切れだったり固定カメラだったりと派手さはありませんでしたが、酔っぱらいトークもエンタテイメントとして取り入れ、気ままに楽しく演奏をしていました。
印象的だったのは、向井秀徳が突然トイレに行ってLEO今井がヒマを持て余していたとき、「Almost human」の練習をしていた時のこと。弾き語りだったのですが途中トイレから帰ってきた向井秀徳が、クライマックスで自然に合流してセッションを始めたのです。
トイレ行ったのまで仕込みなんじゃないの?!ってくらいの魅せ方。これは絶対ライブでは見られない光景。貴重な映像でした。
これらのライブ配信、当然無料です。
他にも様々な場所でフリーイベントが開かれたりもしたようです。
また、当日公開される予定だったVJもyoutubeにアップされるなど、広がりは増すばかり。
twitterの反応などを見ていると、音楽は人さえいればできる証明になった、ゲリラ的にライブ配信が新しい形態として定着していくのではないか、DIYなパーティーづくりの可能性が見えた、WEBと現実が一体化したイベント作りのひとつの形になった、など色々な意見が数多くあがりました。色々な可能性の見えた一連のハプニングでした。
まさにタイトルの通り開催時間「0」分の、「0」からのスタートになってしまったFREEDOMMUNEですが、傷跡どころか、どでかい一撃を残してくれました。
「必ずリベンジいたします」「是非インビテーションカードは保管しておいて下さい」という言葉を信じつつ、次を待ちたいところです。
とりあえず、飲み代にする予定だったお金を寄付しようかね。
(たまごまご)