結婚式で新郎が号泣するのは珍しくない?「男が泣くなんてみっともない」時代から変化
(c)T&G

かつては「大の男が人前で泣くなんて…」という風潮があったように思えるが、今の時代、男も思いっきり人生の晴れ舞台で泣くシーンが、当たり前のように見られるようだ。

テイクアンドギヴ・ニーズ(T&G)が行ったウェディングプランナーへのアンケート調査では、「結婚式で泣いている新郎を見たことがある」が90%以上もいることが分かった。
なぜ新郎はここまで堂々と泣くようになったのか。その背景やリアルな現状を、ウェディングプランナーの有賀明美さんに聞いた。

新郎が泣いているのを見たプランナーは9割以上


T&Gが行った調査は、全国の約500名のウェディングプランナーを対象にしたもの。2016年~2017年の過去一年間で「新郎が結婚式で泣いているのを見たことがあるか?」の問いに対し、「泣いているのを見たことがある」と答えたプランナーは90%以上いたという。そのうち「号泣」は67.4%だった。

結婚式で新郎が号泣するのは珍しくない?「男が泣くなんてみっともない」時代から変化
「新郎が結婚式で泣いているのを見たことがあるか」
出典:T&G ウェディングプランナー500人 アンケート調査 Vol.9


T&Gは、多くの新郎が涙する瞬間として次のシーンを挙げている。
・新郎新婦が結婚式当日、初めてお互いの姿を披露する「ファーストミート」のとき
・母親とバージンロードを歩いているとき
・母親への感謝の手紙を読んでいるとき

新郎が泣くようになったのはなぜ?


業界で有名なウェディングプランナーの有賀さんによれば、このアンケート結果は、10年前では見られなかった数値だという。そして有賀さん自身、結婚式で涙される新郎が増えてきていることを実感しているそうだ。

果たして、なぜ新郎は結婚式で号泣に至るほど泣くようになったのか。
結婚式で新郎が号泣するのは珍しくない?「男が泣くなんてみっともない」時代から変化
ウェディングプランナー 有賀 明美さん

1. 親に感謝の気持ちを伝える場面が増えた
「昔の結婚式では、“手紙は花嫁が読むもの”という固定観念があったため、新郎が結婚式の中で親御様に感謝の気持ちを言葉で伝える場面がありませんでした。そこで、『なぜ新婦だけが感謝の言葉を伝えて新郎は想いを秘めたままなのだろう』という疑問がウェディングプランナーの中で生まれ、積極的に新郎に対し『手紙を読んでみては?』などと働きかけるように。そうして素直に気持ちを伝えるきっかけが増えたこともあり、近年では涙する新郎の姿が多く見られるようになったのだと思います」

2.親兄弟との関係に不器用な新郎が多い
「たくさんの新郎新婦とお話をする中で、家族とのコミュニケーションが不器用な方は新郎に多く見受けられます。兄弟と喧嘩したまま口を利かなくなって10年以上経っていたり、親に反発し、半ば勘当のような形で家を出たまま今に至っていたり。いつか機会があれば謝りたいと思いながらも、その機会がないまま結婚式を迎えることになった方も多いようです。
そうした中、核心をさらけ出すことで、初めて自分の素直な気持ちに気づき、感極まってしまうこともあるのではないでしょうか」

3.男も泣いてOKな風潮に
「昔は『男が人前で泣くなんて…』という概念があったように思いますが、最近はテレビや映画でも男性が感情的に泣くシーンなども増えたこともあり、人前で涙を見せることに抵抗が少し無くなった傾向はあると思います。また、ゲストとして参列した結婚式で、友人である新郎が涙を見せた姿を見て、『あ、男が泣いてもいいんだな』という連鎖も働いている気もします」

新婦は新郎の泣く姿を見てどう感じている?


ところで、新婦は隣で号泣する新郎を見てどう思っているのか。

「普段、なかなか感情を表に出さなかったり、泣く姿を見せることがなかったりする新郎が、感極まって涙する姿を見て、誰よりも嬉しそうな表情をされているのが、隣にいる新婦です。
時には新婦から『新郎を泣かせたい』とサプライズの依頼を受けることもあります。微笑みながら新郎の涙を拭いてあげたり、背中をポンポンとさすってあげたり、そんな二人の姿もゲストにはとても微笑ましくうつります」

新婦としても、新郎が泣くことに抵抗はなく、むしろ泣かせようとする新婦すらいるようだ。このことも新郎が思いっきり泣ける理由の一つかもしれない。

(石原亜香利)

取材協力
有賀 明美(ありが あけみ)さん
これまで17年間に渡り、1000組以上の国内外のウェディングを監修・担当してきたウェディング業界のカリスマ的存在。そのクリエイティビティーは高く評価され、数多くの芸能人・アーティスト・スポーツ選手から指名を受け、結婚式を手掛けてきた。
有賀明美 公式サイト:http://akemi-ariga.com/