年度末の忙殺なスケジュールに追われ、なんとなく精神的ゆとりが感じられない今日このごろ。わたしたちキャリア世代のイライラしている姿ほど、周囲を不快にさせるものはありません(ハイ、反省しています)。

とはいえ、わたしたち大人女性だって部下のミスや仕事のやり方、恋人のひと言に「イラッ」としてしまうことってありますよね。そんな怒りの感情をコントロールすることができれば、どんなに世界は明るいでしょう! そんなことを考えていたとき、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の普及を行う一般社団法人日本アンガーマネジメント協会の、興味深いアンケートを見つけました。

転職を繰り返し、仕事を長く続けられない人の傾向をみると、4年以上在籍している人に比べて3倍以上もイライラしているというのがアンケートの結果です。

イライラを数にすると1日に20回......。そんな日が続くと、仕事はおろか、精神衛生の面からみても少し心配になりますよね。でも、これって他人事ではありません。

イライラの原因は上司が部下に感じるだけではなく、上司が原因で部下がイライラしていることも当然あるのですから。

仕事を続けられた理由は、「上司との良好なコミュニケーション」

たとえば、部下のミスを指摘するとき、声を荒らげる人がいます。相手の意見も聞かず、頭ごなしにお説教をするタイプ。過去、わたしもそんな上司の態度に悩んだものです。それはやがて膨大な怒りとなり、ついには会社を辞めるという結論に達した人もなかにはいるでしょう。

その証拠に、4年以上、同じ会社に在籍し、仕事を続けられた理由は、「上司との良好なコミュニケーション」にあるというのです!

上手に感情をコントロールし、適切な問題解決やコミュニケーションに結びつけることを、「アンガーマネジメント」といいます。

自分自身の怒りやイライラと向き合い、その要因や傾向を客観的に把握することで、怒りの感情を抑制できるように習慣づけることがアンガーマネジメントでは重要です。

日本におけるアンガーマネジメントの認知度は、まだそれほど高くはありませんが、職場の人間関係のトラブルなどを背景に、企業からの注目が高まり、社員研修への導入も広がりつつあります。

アンガーマネジメントは「怒らない」と同義ではない

部下が上司にイライラする理由で最も多いのは、「上司が自分のミスを認めない」ということがあげられます。自分のことは棚に上げ、公衆の面前でいきなり怒声をあびさせる。こんな人が自分の上司だったら、と想像すると恐ろしいですよね。

ビジネスパーソンでもあるわたしたちは、ときに部下を叱らなければならないことがあります。

ここで気をつけるべき点は、怒りと上手に付き合うアンガーマネジメントは、「怒らない(叱らない)」とは決して同義ではないということです。怒りは人にとってごく自然な感情であり、むしろ問題なのは、自分にとって怒るべきことと、怒らなくてもよいことの線引きができていないということです。

また、怒りの解消法としてあげられるのに「誰かに愚痴を吐く」というものがあります。話したほうはスッキリするかもしれませんが、じつはこれ、アンガーマネジメントの観点から分析すると、NGということがわかっています。

怒りの感情には、伝染するという性質があり、ひとりがイライラしていると、その周囲にいる人にもイライラが伝染。結果的に怒りの連鎖は続いてしまうのです。

怒るべき点と、そうではない点の価値観の線引きを自分の中できちんと意識していれば、怒りやいら立ちを誰かのせいにして、反射的に感情を爆発させたりすることは少なくなるはずです。イライラしたときはいったん冷静になり、自分の怒りをコントロールするようにしましょう。

ちなみに、アンケートによると、「1週間の中で最もイライラした日」の結果は1位が月曜日、2位が金曜日となっています。週の始まりはなにかと忙しく、思うように仕事が進まないことからストレスフルになっているのがその理由。

対する金曜日は、週末までにたまった仕事へのイライラ、せっかくのウィークエンドを仕事で終わらせてしまう虚しさなどが理由のようです。


部下との関係を良好に保つためにも、わたしたちキャリア女性が今学ぶべきなのは「アンガーマネジメント」なのかもしれません。

それは、部下のためだけではなく、自分自身にとっても生きてくるはず。

イライラすることが少なくなれば、仕事へのモチベーションも上がり、月曜も金曜も、感情に邪魔されることなく、スムーズに仕事ができると思いませんか?

[日本アンガーマネジメント協会]

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