数年前、SNS上で「エアコンを24時間つけっぱなしにしていたら、電気代が劇的に下がった」という投稿が爆発的に拡散されました。しかし、その翌年以降には、今度は「節約になると思ってエアコンをずっとつけっぱなしにしていたら、高額な電気代の請求が届いてとんでもないことになった」という悲鳴のようなSNS投稿もちらほらと見かけるようになりました。


このような相反する情報が飛び交う現状を見て、「いったいどちらの情報を信じたらいいんだ!」と頭を抱え、疑問に思っている人も非常に多いのではないでしょうか。

今回は、実際の生活において本当に電気代の節約になるのは、エアコンを「つけっぱなしにする」のと「こまめに切る」のどちらなのか。家電メーカーによる実験データをもとにご紹介します。

■エアコンの電気代の仕組みと「つけっぱなし」のメリット
そもそも、なぜ「つけっぱなしの方が安くなる」という現象が起きるのでしょうか。その理由は、エアコンが電力を最も多く消費するタイミングにあります。

エアコンは、「電源を入れた直後から、部屋の温度を設定温度まで一気に下げるとき」に最大のパワーで運転するため、最も多くの電気代がかかります。一方で、一度部屋の中が設定温度まで冷えてしまえば、その後は室温を維持するだけになるため、ごくわずかな電力しか消費しません。

つまり、「こまめに切る」という行為は、室温が上がった状態でエアコンを起動させる回数を増やすことになり、結果として無駄な電力を多く消費してしまう可能性があるのです。しかし、だからといって何時間もの外出時までつけっぱなしにしておけば、当然ながらその間の待機電力や維持電力量が積み重なり、電気代は高くなってしまいます。ここで重要になるのが、「何分までの外出ならつけっぱなしの方が得なのか」という具体的なボーダーラインです。

■メーカーの実験で判明した「外出時間のボーダーライン」
前述したSNSでの大論争を受けて、いくつかのエアコンメーカーが実際にどれほど電気代に差が出るのか検証実験を行い、その結果を公表しています。

例えば、空調大手であるダイキン工業が実施した実験結果によると、以下のような非常に興味深いデータが示されています。


・日中(9:00~18:00)の場合:外出時間が「35分まで」ならつけっぱなしがお得
・夜間(18:00~23:00)の場合:外出時間が「18分まで」ならつけっぱなしがお得
そのほかのメーカーの実験結果も、多少の差こそあれ、おおむね似たような結果に落ち着いています。

ここで時間帯によって分けている理由は、「外気温」によって条件も変わってくるからです。

日中は外気温が非常に高いため、一度エアコンを切ると室温が急激に上昇します。そのため、再びエアコンをつけた際の消費電力が跳ね上がり、35分程度であればつけっぱなしにしていた方が安く済むのです。一方で、夜間は外気温が日中ほど高くならないため、エアコンを切っても室温の上昇は比較的緩やか。そのため、エアコンを再度つけたときの負荷が少なく、短い外出でも「こまめに切る」方が電気代を抑えられるという結果になるのです。

■実生活で迷わない! 覚えるべき目安は「30分」
メーカーの実験によって時間帯別の詳細な数値が明らかになったものの、私たちの実際の日常生活の中で「今は外気温が◯度だから、◯分までつけっぱなしにした方がお得だ!」などと、細かな条件を覚えるのは現実的ではないでしょう。

そのため、普段の生活で損をしないための大まかな目安として、「30分」という時間で覚えておくことがいいのではないでしょうか。

・30分以上エアコンから離れる場合は、電源を「切る」
・30分以内に戻れるならば、「つけっぱなし」にしておく

近所のコンビニへ行く、ゴミ出しに行く、あるいは近くのスーパーへ素早く買い物に行くだけであれば、多くの場合は30分以内に戻れるはずなので「つけっぱなし」が正解です。30分を超えるような外出であれば、部屋を出る際にしっかりと電源を「切る」選択をするのが、エアコンにおける最も手堅い節約法といえます。

■風量設定は「自動」にしておくのがおすすめ
さらに電気代を賢く抑えるための使い方として、風量の設定を「自動」にしておくことが非常に効果的です。

電気代を気にするあまり、風量をずっと「微風」や「弱」に固定して運転している人もいますが、実はこれは逆効果になってしまうことも。
風量を「自動」に設定しておけば、運転中に設定温度になったら自動的に超微風に切り替わり、わずかに運転している程度の最小限の電力に抑えてくれます。エアコン自体が最も効率がよく無駄のないパワーにコントロールしてくれるため、触らずに任せておくのが一番の節約になるのです。

ご紹介したように、エアコンの「つけっぱなし」と「こまめに切る」の論争は、どちらか一方が常に正しいわけではなく、離れる時間によって正解が変わるというのが結論です。「30分以内の短い外出ならつけっぱなし」「30分以上の外出なら消す」というシンプルな基準を心に留めつつ、風量設定を「自動」に任せることで、エアコンの持つ本来の省エネ性能を最大限に引き出すことができます。

実生活の中でこの目安を上手に取り入れて、快適な室温を保ちながらスマートに電気代を節約していきましょう。
編集部おすすめ