毎週⽇曜24:30よりTOKYO MXほかにて放送中、各配信サイトにて配信中のオリジナルTVアニメーション『さよならララ』。8⽉29⽇(⼟)にオリジナルTVアニメーション『さよならララ』×琵琶湖博物館スペシャルイベント「びわ博と⾒る『さよララ』」が開催。
琵琶湖博物館が関わった制作の裏側が明かすトークイベントのレポートが到着した。

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【トークイベントレポート】
オリジナルTVアニメーション『さよならララ』の制作に協⼒している滋賀県⽴琵琶湖博物館とのコラボレーションが、8⽉29⽇(⼟)よりスタート。
展⽰初⽇となるこの⽇、同館ホールにて『さよならララ』×琵琶湖博物館スペシャルイベント「びわ博と⾒る『さよララ』」が開催された。本作の監督・⼩出卓史、クリエイティブプロデューサー・森⼭菜⽉に加え、琵琶湖博物館から専⾨学芸員・鈴⽊隆仁、主任学芸員・⽥畑諒⼀が登壇。
制作の裏側から「もし⼈⿂が実在したら」という⽣態考察まで、作品と絡めた貴重なトークが繰り広げられた。

MCの呼び込みにより4名がステージに登場すると、会場からは温かな拍⼿が送られた。⼩出卓史監督、森⼭菜⽉クリエイティブプロデューサーの⾃⼰紹介に続けて、鈴⽊は「琵琶湖博物館の学芸員で、主に⼩さな⽣き物を担当しております」、⽥畑は「僕は⿂の担当をしております」と、それぞれの専⾨を添えて⾃⼰紹介した。

最初のコーナーは「さよララとびわ博」。まずは本作が⽣まれた経緯から話が始まった。⼩出は「アイデア⾃体は5年くらい前から少しずつ作っていました。オリジナルアニメを作りたいとなった時に、⼈⿂姫と、私は滋賀県出⾝なんですけど、その滋賀県を舞台にしたアニメを作りたいと思って、ゼロから始まったところなんです」と振り返り、「琵琶湖を描く、そして琵琶湖のすべての⿂のことを取材する必要があるという中で、琵琶湖博物館さんとご⼀緒させていただくことができました」と、同館との出会いを語った。

滋賀県出⾝の⼩出にとって、琵琶湖博物館は幼い頃から親しんだ場所でもあるそうで「もうこの場所に何回来たんだろうというくらい来ているんですよ。
⼩学校の校外学習でも来るし、親と来たりとか。かなり広くてすごく充実した場所なんです。ぜひこの場所を皆様に知ってほしいなと思っていたので、ここでイベントをやれて嬉しかったです」と笑顔を⾒せた。

森⼭はロケーション取材当時を回想し、「⼈⿂をテーマにした作品をやるにあたって、お⿂周りを⼀体誰に聞けばいいんだろうというところで、⽔産業の⽅や漁業の⽅に電話して聞いていたんです。でも漁業となると獲る⿂しか分からないので、もっと広い枠でいろんな⿂のことを聞くなら『あそこがいいですよ』と、皆様⼝を揃えて琵琶湖博物館さんをおすすめしてくださった。本当に⼤変ありがたいご縁でございます」と、制作陣が同館にたどり着くまでの経緯を明かした。ロケハン時の写真がスクリーンに映し出されると、「初めてびわ博に来て記念に写真を撮る監督ですね。とっても懐かしいです」と⽬を細めた。

⼀⽅、依頼を受けた博物館側にとっても、これは初めての経験だった。鈴⽊は「アニメーションの監修の依頼が来るのは、これが初めてになります」ときっぱり。「教育系の番組でうちの⿂の映像を使いたいとか、『こういった⽣き物を出したいんだけど、この説明で合っているか』とか、学習系の監修はこれまでにも結構ありました」と、これまでの実績との違いを語った。

続いては、学芸員2⼈が選んだ「好きなシーン」。
鈴⽊が挙げたのは、⼈⿂のうろこの描写と、琵琶湖に浮かぶ巨⼤な⿂のようなオブジェが⼝を開くシーンだ。「僕が⼩さな⽣き物を選んでいる理由は、得体の知れないものが多かったり、細かい模様が綺麗だったりするからなんです。今回の作画もよく⾒てみると、ウロコの表⾯がしっかりと描き込まれていたり、ただ⿂の形とはちょっと違う感じに⾒えていたり。⼤きな⿂のようなオブジェの、⼝がニチャッと開く時のあの不気味さがしっかりと表現されていて、すごくグッとくるものがあったので選ばせていただきました」と熱を込める。⼩出は「⽬線が琵琶湖博物館さんの⽬線という感じで、すごくグッと来ました」と喜び、森⼭も「 ”⽣物的な部分でグッとくる” ので ”
このシーンが好き” 、というご意⾒はなかなかないですね」と続けた。

⽥畑が選んだのは、第6話に登場する同館のトンネル⽔槽のシーン。だが、その理由は思いがけないものだった。「左に出ているビワマスという⿂、これちょっと本物と違うんですよね。あぶらびれというヒレがサケ科にはあるんですけど、無いんですよ」。会場がどよめく中、「リサの専⾨分野が『環境DNA』と書いてあったのをご覧になりましたか。僕もDNAの研究をしているんですけど、⿂の組織を切り取ってそこからDNAを読むんです。もしかしたらこのビワマスは、あぶらびれを切り取られているんじゃないかなと」。
さらに「実際、うちの⽔族展⽰室にいるアユモドキという⿂は、この前僕がDNA分析⽤に全部の個体のヒレを切ってから展⽰しています」と明かすと、会場は爆笑に包まれた。

制作サイドの⼩出も「そういうことです! ⾃信を持って⾔えます。さすが監修です」と便乗しつつ、「ちょっと⾔い訳をすると、あの⿂の動きを描くのがすごく⼤変なんですよ。表⾯のテラッとしたところとか、実物は本当に輝かしい、光をまとっているんです。それを再現しようと苦⼼した結果です」と苦笑した。

後半は「びわ博が⾒る『さよララ』 ~もしも⼈⿂が存在するなら~」と題したコーナーへ。「もし実際に⼈⿂がいたらどんなものなんだろう」を専⾨家と制作陣が本気で考える、夏休みの⾃由研究にぴったりの企画だ。

まずは科学者から⾒た「⼈⿂」について。鈴⽊は「⼈⿂は基本的にフィクションの⽣き物ですので、『こういう⽣態で』という話が論⽂になっていることはありません。ただ⺠俗学や歴史学のところでは、実際に滋賀県には⼈⿂のミイラがあったりもします」と切り出し、江⼾時代の絵師・川原慶賀が⽣き物を克明にスケッチしていたことにも触れた。⼩出も「滋賀県で⼈⿂の作品を作るとなった時に、真っ先に調べました」と応じる。
鈴⽊は「⺠俗学の担当学芸員に調べてもらったところ、滋賀県で⽇本の中では⼀番古い⼈⿂が⾒つかっていたりします」と、この地ならではの背景を紹介した。


続いて話題は、ララが眠っていた沖島周辺の環境へ。展⽰されている湖底模型を前に、鈴⽊が「沖島のすぐ北側は北湖と⾔われているあたりで、特に突然ストンと深くなっています。逆に東側の陸に近い側は、わりかし浅いところが続いている。南北ですごく環境が変わってくる島になっています」と解説すると、⼩出は「ちょうどこの場所を⼀番最初にロケハンさせてもらった時に⾒せてもらって、360度カメラを回して撮っていたんですよ。『あ、ここから出るんだ』って。うちのアニメは湖底を描くことも多いので、すごく参考になりました」と制作時のエピソードを重ねた。

森⼭と⽥畑はは準備段階の議論も披露する。森⼭が「『ララが出てきた時に⽔草が本当は引っかかっていたんじゃないか』という話を結構していたんです。」と切り出すと⽥畑が「でも沖島のあたりは、北の⽅はほとんど⽔草が無くて深くて、岩場がゴロゴロしている場所なので、岩の隙間からポンと出てきたら⽔草は被ってないよね、と」と続ける。鈴⽊が「南湖あたりの⽔深は4~5メートルで、それに対して北湖は平均40メートルと⾔われています。そうすると底の⽅はほとんど真っ暗」と補⾜すると、⼩出と森⼭は「本当に勉強になります」と笑った。

そしていよいよ、⼈⿂の⽣態考察へ。スクリーンにララのアニメ設定と場⾯カットが並ぶと、⼩出が制作側の意図を明かす。
「我々アニメを作っている⽴場としては、なるべく真剣に考えられるところは真剣に作っているんです。撥⽔性がある髪の⽑だったり。だから茉⾥は濡れると髪の⽑がズブズブになるんですけど、ララは⽔から出てきてもツルッとしている。涙も、本来⽔の中で涙を出してもそのまま分散してしまうと思うんですけど、少し油分が⼊っていて、⽔の中の油の滴みたいに排出するんですよね」。そして「どう思われますか?」と学芸員に投げかけた。

鈴⽊は「よくこの⼿の質問で『⼈⿂はいますか?』と聞かれると『いないです』と答えるんですけど、今回は『います』から始まります」と前置きし、真顔で考察を始める。「⽑に撥⽔効果があるかというと、実はアザラシの仲間、海獣と呼ばれるやつですね。⽔を弾いて、できるだけ⽑と⽑の間に⽔が残らないようにしている。撥⽔する⽑を持っているというのは、体温保持の上で⾮常に重要になってきます」。涙についても「⿂類は基本的に涙を流さない。それに対してイルカは眼球の保護のために粘液を出しますので、⽔と混ざり溶けないようになっている。そういった意味では、こうやって涙となって⾒える可能性は⼗分あります」と説明した。


議論が⽩熱したのは、ララが哺乳類なのか⿂類なのかという⼀点。鈴⽊はララの誕⽣シーンを取り上げ、「⼈⿂は下が⿂っぽく、上は⼈間っぽい。⿂っぽい下半⾝を⼿に⼊れた⼈類に近いものなのか、⼈類っぽい上半⾝を⼿に⼊れた⿂なのか。これによって卵で⽣まれるのか⼦供で⽣まれるのかが変わってきます」と切り込む。さらに「学芸員で話していて出た、⾮常に恐ろしい説がありまして。⿂の中には卵を守るために卵を⾙の中に⼊れて、その⾙の中で育つやつがいるんです。ひょっとしたら⾙の中に産んで、⼦供はその⾙を⾷べて育つのではないかと。最後に⾙柱を⾷いちぎって、パカッと開いたら⽣まれてくる」と語ると、会場からは驚きの声が漏れた。⼩出は「よく調べてみないと分かりませんね。私も中を⾒たことが無いので」と苦笑いを浮かべた。

泳ぎ⽅の映像が流れると、鈴⽊の⾒⽴てはさらに具体的になる。「最初はイルカの尾っぽ的な感じで考えていたんですけど、明らかに関節があるんですよね。どう考えても太ももとふくらはぎと。おそらくあの中には融合した⾜が⼊っているのであろうと」。ウロコについても「僕が気になっているのは、ウロコに放射状に線が⼊っていること。⿂のウロコは基本的に年輪状に模様が⼊りますので、そういった意味ではセンザンコウ、アルマジロみたいな⽣き物ですね。あれは⽖とか髪の⽑の成分が固まったウロコになっているので、放射状の線が⼊りがちなんです。哺乳類的なウロコの形になっているのかな」と、哺乳類説へ傾いていった。

ところが、ここで⽥畑が反論する。「哺乳類やイルカの仲間もみんな肺呼吸をするので、息のために1回⽔⾯に上がらなきゃいけない。ララがそうやって息をするために上がっているシーンって、多分ここまで無いですよね」。⼩出が「無いですね」と認めると、「となるとエラ呼吸の可能性が⾼い。ララは実は⿂側じゃないのかなと僕は思っています」と主張。鈴⽊も「これが哺乳類説を推す上で⼀番痛いところで。イルカやクジラは、⻑い時間海で過ごしているにも関わらずエラは無いんです。⼀度エラを失った⽣き物はエラの再獲得はしなかった。どうしようか」と頭を抱え、会場の笑いを誘った。

議論は「哺乳類か、⿂類か」から「両⽣類ではないか」へと発展。鈴⽊が「カエルは⽔の中にいる時はエラ呼吸で、カエルになると肺呼吸になる。エラ呼吸を残したまま肺を⼿に⼊れれば、エラと肺の両⽅を持った⽣き物が出来上がるわけです」と提案すれば、⽥畑は「両⽣類だとウロコが無いです」と即座に切り返す。そして「肺⿂やシーラカンスは⿂類なんですけど、⾁鰭類という⾁のヒレを持つ仲間で、哺乳類や両⽣類に進化する系統で、普通の⿂の系統とはちょっと違うんですね。僕はシーラカンス、肺⿂系を推しておきます」と⾃説を貫いた。あまりの⽩熱ぶりに、⼩出が「これアニメのイベントですか? 不思議なイベントになっております」とツッコミを⼊れると、会場は⼤きな笑いに包まれた。

コーナーの締めくくりに鈴⽊は、「現実になかなか⾒ることのない⽣き物がどういう⽣態かを⼀度想像してみるのは、⾯⽩い機会だと思います。⼈⿂に関わらず⾊んな幻想の⽣き物で『こんな⽣態だったら⾏けるんじゃない?』と考えてみるのも⾯⽩いんじゃないかなと。特に本作は結構しっかり作り込まれていますので、何かしら理由付けしようと思えばできる。皆様もぜひいろんな説を考えてみてください」と来場者に呼びかけた。

トーク終了後には、作品の最新情報が続々と発表された。この⽇より琵琶湖博物館でスタートしたコラボ展⽰では、第6話を中⼼とした制作資料に加え、リサとコータの等⾝⼤スタンディが登場。⼀部には貴重な制作資料も並ぶ。開催期間は10⽉31⽇(⼟)まで。さらに、翌8⽉30⽇(⽇)より第9話が放送・配信開始となること、滋賀県で開催中の周遊デジタルスタンプラリーが9⽉21⽇より第2弾に突⼊することも告知された。

また、本作を題材にした⾃由研究を募集する企画「さよララ 夏の⾃由研究」の応募締切が8⽉31⽇(⽉)に迫っていることもアナウンス。受賞作品は⼩出⾃らが選出するといい、「Xで皆さんが投稿してくださるのを⾒るのがいつも楽しいです。皆さん本当にすごいなと思っています。あと、この締切がリアルすぎてちょっと怖いですね。夏休みの終わりの……なんか頭が痛くなってきます」と笑わせた。

イベントの最後には、登壇者⼀⼈ひとりから来場者へメッセージが贈られた。

⽥畑「皆さん楽しんでいただけましたでしょうか。この後、博物館に『ララ』に出てきたシーンがいっぱいありますので、展⽰の⽅を⾒ていただければなと思います。今⽇はありがとうございました」

鈴⽊「今⽇のトークショーは、本当にアニメのトークショーだったのかなと(笑)。好き放題喋らせてもらいましたし、アニメを⾒ながら『このへんどうなのかな』と思いながら喋り放題喋れましたので、少なくとも私は満⾜しております。皆様も楽しんでいただけましたら幸いです。ありがとうございました」

森⼭「琵琶湖博物館さんを初めて取材した時から、館内を⾒て、案内してもらって⾊んな話を聞いて、もう何⼗時間も過ごしているんですけれども、今⽇この場で聞いた話でもまた新たに⾯⽩い話がある。本当に材料が尽きないです。ぜひ『ララ』を⾒てほしいというのと、プラスアルファで博物館の⽅も堪能していただければなと思っております。本⽇は本当にありがとうございました!」

⼩出「本⽇はちょっと珍しいイベントでしたけど、お越しいただきまして本当にありがとうございました。展⽰の⽅もすごく⼒が⼊っていて、バックヤードにリサがいるんじゃないかと思ったくらい、ちゃんと作り込まれています。展⽰だけじゃなくてこの博物館、本当に何時間いても充実した展⽰がたくさんあるので、皆様もぜひ楽しんで⾒ていってください。本⽇は本当にありがとうございました!」

最後は本作恒例の挨拶で締めくくり。MCの「せーの!」の合図に合わせ、登壇者と会場が声を揃えて『さよララ~!』と⼿を振ると、⼤きな拍⼿の中、イベントは幕を閉じた。

(C)キネマシトラス/「さよならララ」製作委員会
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