「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明監督が総監督を務め、大ヒットを記録した怪獣映画の金字塔「ゴジラ」シリーズ第29作目『シン・ゴジラ』が2016年7月に公開され、今月で10周年。今回は『シン・ゴジラ』劇中で飛び出した、思わず声に出したくなるような名ゼリフの数々をプレイバック!

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 日本製作のゴジラ映画としては約12年ぶりで、さらに特撮に造形が深い庵野監督がメガフォンをとるということもあり、公開前から注目度が高かった本作。

いざ公開されると、300人を超えるオールスターキャストのみならず、各キャラクターが早口でまくしたてる膨大なセリフ量、「読ませる気ないでしょ!?」という長大なテロップの数々、そしてゴジラ襲来という未曾有の事態にてんてこ舞いになる政府首脳をメインとする濃厚な人間ドラマが評判を呼び、SNSでも考察合戦が開幕。「総辞職ビーム」や「水ドン」といったネットミームも誕生した。気づけば4ヵ月を超えるロングラン上映となり、シリーズ最高の興収80億円以上を稼ぎ出した。

■ 根拠のない楽観は、禁物です

 物語の序盤、本作の主人公、長谷川博己演じる矢口蘭堂・内閣官房副長官が放ったセリフ。巨大不明生物(ゴジラ)についてうかつな楽観論を口にした閣僚という目上の人物に対して「大臣、先の戦争では、旧日本軍の希望的観測、机上の空論、こうあってほしいという発想などにしがみついたために、国民に300万人以上の犠牲者が出ています。根拠のない楽観は、禁物です」と諌めるシーンだ。

 映画は始まったばかり。言われた大臣のみならず、12年ぶりのゴジラ新作にお祭りムードだった観客各位(私もです)の中にも、このセリフ1つで「あ、この作品はガチだ。心して観なければ」と、気を引き締めた人が少なくなかったのでは?

■ 「想定外」4連発

 こちらも序盤。ゴジラの出現に閣僚らがさまざまな反応をする中、金井光二・防災大臣(中村育二)は、「想定外だ。よくあることだろ」に始まり、「こいつは思ったより想定外すぎるぞ」→「想定外の事案だ。仕方ないだろ」→「あぁ、全く想定外の大きさだ」と、「想定外」を計4度も発した。
「この人物は、想定外かどうかを判定しているだけではないか?」というおかしみで劇場に笑いを起こすとともに、過度な前例主義のせいで、前例のないゴジラ出現を前に思考停止に陥った政府を象徴する人物として、序盤を盛り上げた。

■ どうするんだ。「上陸はありません」と言っちゃった後だぞ

 金井大臣と同じく、序盤で印象に残るのが大杉漣さんが演じた大河内清次・内閣総理大臣。国民に向けた記者会見にて巨大不明生物の日本上陸はないと明言してしまい、その直後に大田区蒲田上陸の報を受け、言い放ったセリフだ。首相にまで登り詰めた人物らしく、やはり前言と食い違ってしまったことが政治家として失点だと感じたのだろう。

 また大河内総理については、記者会見を開くと決まって即座に放った「防災服と原稿を用意してくれ」も挙げておきたい。災害時の記者会見は防災服で、という形から入る様が「政治家」としてよく訓練されていることがうかがえ、ニヤリとさせられるセリフだった。

 なお、劇中では自衛隊の出動要請にも中々踏み切れないなど、終始頼りないように見えた大河内総理だが、ゴジラが都心に侵攻した際には国民を置き去りにできないと官邸を去ることを一度は拒むなど、基本的には責任感のあるいい人だったことは忘れないでおきたい。

■ 出世に無縁な霞ヶ関のはぐれもの、一匹狼、変わり者、オタク、問題児、鼻つまみ者、厄介者、学会の異端児

 前例のないゴジラ出現に対応するため、政府は急きょ「巨大不明生物特設災害対策本部」(巨災対)を設置する。このセリフは、設置に際して集結したメンバーに対して森文哉・厚生労働省医政局研究開発振興課長(津田寛治)が放ったセリフだ。要は、今までの慣習や前例、常識にとらわれない独創性を有したメンバーを選んだ、ということだ。もちろん一見では覚えきれないが、妙に聴き心地のいい津田のセリフ回しは、記憶に残ったという人も多いのでは?

■ 矢口、まずは君が落ち着け

 ゴジラの熱線によって東京都心は壊滅。
からくも生き延びた矢口が自身の不甲斐なさにいらだち声を荒らげた際、盟友の泉修一・保守第一党政調副会長(松尾諭)が放った頼もしいセリフ。矢口の胸のあたりにミネラルウォーターを押し当てながら放ったこともあり、ネット上で通称「水ドン」と呼ばれるシーンだ。野心的で上昇志向をギラギラさせているキャラクターを演じた松尾は、本作でブレイクした。

 なお、泉についてはその後、「フランス政府にパイプがある。裏で交渉してみるよ」という頼もしいセリフも放つ。そんなセリフ、自分も一度は言ってみたいよ!

(文・神尾祐介)

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