黒木華主演の映画『日曜のあと』が、11月20日より公開されることが決定。ティザービジュアルと特報映像、黒木をはじめとするキャストと加藤拓也監督のコメントが解禁された。



【動画】静かに張り詰めていく夫婦の距離 映画『日曜のあと』特報

 子どもを授かり、新たな人生の節目を迎えた麻衣と洸一。互いに望んだ幸せであるはずなのに、言葉にできない何かを2人の間に抱えたまま、旅先での5日間が始まる…。

 本作は、劇作家・演出家の加藤拓也が、自ら脚本を書き下ろし、監督を務めた長編映画の最新作。演劇と映画を行き来しながら、ゆるやかに交錯する世界観と表現を展開してきた俊英が、本作で向き合うのは、これまでも描いてきた“夫婦”の関係だ。誰よりも親密な他人同士だからこそ、深く理解し合おうとすればするほど、見失ってしまう相手との距離。一見シンプルで平易な会話の行間ににじむ棘、相手の話に重なる声、口にされなかった言葉が心の揺らぎを増幅させていく演出は、人と人が共に生きるうえで、どうしようもなくすれ違ってしまう感情を浮き彫りにする。

 妊娠した妻・麻衣を演じるのは黒木華。2014年に『小さいおうち』で第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞し、若くして国内外で高い評価を受けた実力派が、作品ごとに積み重ねてきた表現によって育まれた深みをまとい、その存在感を発揮する。

 夫・洸一を演じるのは、加藤の手がける舞台でたびたび主演を務め、作品世界を支えてきた橋本淳。2人の呼応が、繊細なズレの積み重ねから徐々に高まる緊張感、そして引き返せない思いの発露までを、一片の綻びも許さない密度で紡ぎ上げた。

 さらに、2人の危機に立ち会う麻衣の伯母夫婦を吉田羊と古舘寛治が演じる。演劇界と映画界をまたいで存在感を放つ実力派4人が、緻密に構築された端正かつ危ういカルテットを奏でる。


 加藤監督は、2023年に劇団公演「ドードーが落下する」で第67回岸田國士戯曲賞を受賞。長編第2作『ほつれる』では、第45回ヨコハマ映画祭〈森田芳光メモリアル新人監督賞〉、第45回ナント三大陸映画祭コンペティション部門〈DISTRIBUTION SUPPORT AWARD〉を受賞し、さらに2024年にはスペインのバレンシア国際映画祭で最高賞〈Luna de Valencia〉に輝くなど、その作家性は国内外で高く評価されてきた。

 本作のメインロケ地には、洗練された建築デザインが特徴のホテルを全面的に使用。俗世間から隔離されたかのような舞台設定を存分に生かすだけでなく、湖や木々など映画ならではの自然のロケーションも取り入れ、そこに身を置く登場人物たちの焦燥や孤独を映し出す。

 また、世界16の国と地域で1位、92カ国でトップ10入りを果たし、配信2週目にはNetflix週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)1位を獲得したNetflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』の原案を手がけた俳優・今井隆文が、本作『日曜のあと』で初めて映画の企画・プロデュースを担当した。

 今回解禁されたティザービジュアルは、スチールを木村和平、デザインを大島依提亜が担当した。どこか遠くを見つめる妻。その隣にいるはずの夫の気配だけが欠けている。「近くて遠い、隣のあなた」というコピーとともに、夫婦でありながらも分かり合えない2人の距離感と、静かな空間に漂う説明しきれない寂しさや余白。その感情を観る者に委ねるビジュアルに仕上がっている。

 あわせて解禁された特報映像では、静かなプールや霧に包まれた湖、夜の集いなど、美しい非日常の風景が映し出される。一方で、鏡越しに向き合う麻衣と洸一、荷物を手に立ち去る夫と、その場に一人残される妻の姿も描かれる。
穏やかに見える旅先での時間の中、言葉にできない感情が2人の間に少しずつ積み重なり、夫婦の距離が静かに張り詰めていくことを予感させる特報映像となっている。

 映画『日曜のあと』は11月20日公開。

※キャストと監督のコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■加藤拓也監督

 いずれ決めなければならないことは沢山ありますが、この映画が追っているのはその決断ではなく、それを口に出せないまま並んで過ごしている数日間です。同じ部屋で寝て、食事をとり、隣で歯を磨く。そのどの瞬間にもずっと、言えていないことが2人のあいだに置かれたままになっている。この映画にあるのは、夫婦が丁寧にもてなされながら、言えていないことが2人のあいだに積み重なっていく時間です。
 企画が始まってから4年が経ち、ここまで長く付き合ってくださったプロデューサーとキャスト、スタッフの皆さんに、この場を借りて御礼を申し上げます。秋、劇場でお待ちしています。

■黒木華

「夫婦」という、いちばん小さなコミュニティ。近い存在だからこそ言えないこと、不満、少しずつ生まれていく距離。その繊細な感情を、加藤さんは驚くほどリアリティのある台詞で描き出しています。
だからこそ、一つひとつの言葉が鋭く胸に刺さるのだと思います。

■橋本淳

 相手を思って紡いだ言葉は、受け取る側によっては暴力にもなり、癒やしにもなる。それぞれに正義があり、どちらも間違ってはいない。しかし、その正しさが交わらなければ、言葉はただの攻防になってしまう。

 本人たちは必死に言葉を重ね、分かり合おうとする。そんな張り詰めた光景を少し引いた視点から眺めると、どこか滑稽で、思わず笑ってしまいそうになる。

 その可笑しさと切実さが同時に存在していること。そして、リアリティのある緊張感の中で、登場人物たちの真意を探り続ける時間。それらすべてが、この作品の魅力なのだと感じています。

 安藤忠雄建築に360°囲まれた空間。その中で流れる一瞬一瞬の空気。目の前で刻々と変化し続ける黒木華さんの繊細な揺らぎ。
表現を削ぎ落とした先を見つめる加藤拓也監督。その世界を、各部署が刹那の機微まで掬い上げていく。宝物のような美しい光景が、映像作品となることでさらに輝きを増していました。

 この作品の一端を担えたことに、心より感謝申し上げます。どうか、この作品が一人でも多くの方のもとへ届きますように。

■古舘寛治

 自然と人工物の間でいつも人間は悩むのだ。この異様なホテルと青々とした自然。快適さと野生。いいとこ取りなど本当にできるのだろうか? 私はできるだけ自然に寄っていたい。そう、あのままもっとずっとカヤックで釣りをしていたかったのです(あ、カヤックは人工物だ汗)。

■吉田羊

言葉と身体の裏腹を
山あいのホテルに封じ込め
声にならない言葉たちを
カヤックのペダルでたきつける

女の心と身体
男の心と肉体
その溝は埋まるのか
なんてことを考えながら
試写を観た

加藤監督が作る極上の静謐
ぜひ映画館で
五感を研ぎ澄ませてご覧ください

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