北朝鮮と中国の国境地帯で、武装して部隊を脱走した北朝鮮兵士と追跡部隊との間で銃撃戦が発生し、脱走兵1人が射殺されていたことが分かった。デイリーNKの両江道の消息筋が6日までに伝えた。

事件が起きたのは7月中旬。中国と国境を接する両江道恵山市に駐屯する国境警備隊の兵士1人が、武器を持ったまま部隊を離脱した。

脱走を把握した部隊指揮部は直ちに追跡隊を編成し、兵士が通過するとみられる経路を封鎖。「発見次第、逮捕して連行せよ」と指示したという。

しかし、脱走兵は追跡を振り切って国境を越えようとしたところを発見され、追跡部隊との間で銃撃戦になった。脱走兵は追跡隊の集中射撃を受け、現場で死亡したとされる。

部隊指揮部は事件後、脱走の経緯や動機について調査に着手した。ただ、部隊内部では、国境警備隊員が置かれている厳しい生活環境が事件の背景にあるとの見方が出ているという。

特に指摘されているのが、北朝鮮当局による密輸摘発と国境統制の強化だ。

北朝鮮の国境警備隊は本来、中国との密輸を取り締まる側にある。しかし食料や衣服などの補給が十分ではないため、一部の隊員は密輸業者の活動を黙認したり便宜を図ったりする見返りとして金品を受け取り、不足する食料や生活必需品を補ってきた。

ところが近年、当局は国境地域への統制を強化。

密輸への取り締まりも厳しくなり、国境警備隊員にとって事実上の「副収入」になっていたルートも塞がれつつあるという。

消息筋は「国境地域の飯の種だった密輸を過度に圧迫した国家の無理な統制政策が、今回の脱走事件の根本的な理由だとの指摘が出た」と説明。基本的な補給さえ十分ではない中で従来の金もうけの手段まで失われ、「国境警備隊の兵士の間で不満がかなり高まっている」としている。

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