北朝鮮で記録的な猛暑による被害が深刻化し、熱中症による死者が100人を超えたと伝えられている。デイリーNKの平安南道の情報筋によると、災害防止省が6月1日から2カ月間の被害状況をまとめたところ、熱中症患者は全国で約4300人に達し、うち約100人が死亡したという。

猛暑の中、北朝鮮メディアは昨年オープンした金正恩総書記肝いりの「元山葛麻海岸観光地区(葛麻ビーチリゾート)」が活況を呈していると伝えた。レポーターがスタジオで現地映像を背景に合成しているとみられる場面もあり、華やかなリゾートの様子を演出している。しかし、その裏では猛暑による深刻な人的被害が広がっていた。

事態を受け、内閣は8月2日に緊急会議を開催。各道に20項目からなる「猛暑時の行動指針」を通達した。炎天下の日中は屋外作業を避け、氷を入れた冷水を供給し、比較的涼しい早朝や夕方に作業することなどを求めた。

内閣は「これ以上、猛暑による死者を出してはならない」と強く警告したというが、現場からは冷ややかな声が上がっている。平安南道の農場員や建設労働者らは、猛暑の中でも労働を続けさせておきながら「大勢が死んでから、ようやく対策を立てるのか」と反発。塩や解熱剤など基礎的な物資や医薬品すら不足しているという。

現場の幹部も、作業量は減らされない一方で「死者は出すな」と命じられ、対応に苦慮している。華やかなビーチリゾートの光景とは対照的に、北朝鮮の記録的猛暑は住民の生命を脅かす事態となっている。

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