女優・古川琴音が主演を務める夜ドラ『ミッドナイトタクシー』(NHK総合)が、6月1日からスタートする。

【関連写真】古川琴音がベスト女優賞を受賞した映画『春』の場面写真

「夜ドラ」は、NHK総合で2022年4月に始まったドラマ枠で、毎週月~木曜の午後10時45分から放送される"朝ドラの夜版"だ。
朝ドラより若年層をターゲットとした作品が多く、これまで『ミワさんなりすます』『事件は、その周りで起きている』『いつか、無重力の宙で』『ひらやすみ』など、個性豊かな作品を放送してきた。

そんな「夜ドラ」の最新作となる『ミッドナイトタクシー』は、ミステリアスなドライバーがハンドルを握る深夜タクシーが舞台のドラマだ。昨年、向田邦子賞を史上最年少で受賞した脚本家・兵藤るりによるオリジナル作品で、"心がふたたび動き始める瞬間"を描くストーリーになるという。

古川が演じる主人公・蘭象子は、深夜勤務専門のタクシードライバー。アフリカで生まれ、北欧暮らしを経て、母の祖国・日本に移り住んだが、自由奔放な母に捨てられ、その後は伯母に育てられてきたという複雑な過去を持つ人物だ。

象子は決して話上手ではなく、特別な気配りができるわけでもない。それでも、彼女のタクシーに乗った客たちは、忘れられない時間を過ごし、特別な夜を送ることになる。

静かな心の交流を描きつつ、30歳になる象子が"自分が探しているもの"に少しずつ気づいていくーー。現時点で公開されているストーリー設定だけでは、どのようなドラマになるのか想像がつきにくい。ただ、出演者と制作陣を顔ぶれを見る限り、期待値の高い作品であることは間違いなさそうだ。

まず、注目したいのが脚本の兵藤るりだ。

兵藤は、現在放送中のドラマ『時すでにおスシ!?』(TBS系)を手掛ける注目の脚本家。
2023年の夜ドラ枠『わたしの一番最悪なともだち』、2024年の『マイダイアリー』(朝日放送テレビテレビ朝日系)でも脚本家を務めているのだが、人間の内面を丁寧に描きながら、心に残るセリフをちりばめ、日常を切り取る作風に定評がある。

特に『マイダイアリー』は視聴率で苦戦したものの、文学的で美しいセリフは高く評価されていた。夜ドラ『わたしの一番最悪なともだち』では、主人公が原点回帰する感動的ラストシーンが大きな反響を呼んだ。放送中の『時すでにおスシ!?』も、笑いあり涙ありのストーリーがよく、『ミッドナイトタクシー』も独特の世界観で楽しませてくれそうだ。

主演の古川琴音は、若手女優の中でも唯一無二の存在感を放つ実力派として注目度が高い。主演を務めた短編映画『春』で第20回TAMA NEW WAVEベスト女優賞を受賞。2020年度前期のNHK連続テレビ小説『エール』では、窪田正孝二階堂ふみ演じる夫婦の娘・古山華を長きにわたり演じ注目を集めた。

その後、『この恋あたためますか』(TBS系)ではコンビニで働く中国人女性、大河ドラマ『どうする家康』では武田家の間者、『海のはじまり』(フジテレビ系)では印象的なシングルマザーなど、作品ごとに全く異なる役を完璧に演じてみせた。映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍し、今もっとも勢いのある若手の一人と言えるだろう。

古川の魅力は、耳に残る柔らかい声と、どんな役にもなりきれる高い表現力にある。また、どこか影を感じさせるミステリアスな雰囲気も大きな武器。今回演じる蘭象子は、まさに彼女の個性が最大限に生きる"ハマり役"になりそうである。


『ミッドナイトタクシー』は脇を固める出演者たちも非常に豪華だ。象子の伯母・弥生を演じるのは和久井映見。さらに、中村蒼、元乃木坂46伊藤万理華竹中直人、そしてリリー・フランキーが"声"でレギュラー出演する。また、乗客役のゲスト陣も個性的で、恒松祐里、さとうほなみ、板尾創路小手伸也礼真琴、兵頭功海、山本未來など曲者ばかり。

他にもゲスト出演者が多数発表されているので、乗客がコロコロと変わる構成になることも予想される。テンポが良いドラマになりそうで、さまざまな演技派俳優がみせる"人生の断片"をアンソロジーのように味わうことができそうだ。

前作『ラジオスター』も好評のうちに放送を終え、ドラマファンから大きな注目を集めているNHK夜ドラ。『ミッドナイトタクシー』も、見逃し厳禁な傑作になる可能性は十分にありそうだ。

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