自分が亡くなった後、残った財産を家族だけでなく、応援したい団体などへ寄付する「遺贈」。生前に行う寄付とは異なり、自分が生きている間は財産を自由に使えるという特徴もあります。
なぜいま、相続において遺贈という選択肢が注目されているのでしょうか。
『限りある時間を豊かにする 人生最後のお金の授業』(天野隆/青春出版社)から抜粋してご紹介します。
○相続で「遺贈」が増えている背景

相続において「遺贈」が増えているのは、お金を「ギフト」として誰かのために使う意識の高まりからかもしれません。

寄付(生前寄付)と遺贈(遺言寄付)は、似ているようでさまざまな違いがあります。

寄付は生前に行うものです。つまり、元気なうちに、自分の意思で動かすお金です。

渡した相手と直接会う機会があれば「ありがとう」という反応が返ってくることもあります。また、表彰式に招待されたり、活動の様子を見せてもらったりと、社会貢献の実感を味わえます。遺言を用意する必要がなく、思い立ったときに始められます。デメリットがあるとしたら、「寄付をしすぎて、生きている間に使えるお金がなくなったらどうしよう」くらいでしょうか。

一方、遺贈は遺言による寄付です。

こちらは「亡くなったらお渡しします」という約束を遺言に書いておくもので、生きているうちに本人が感謝されることはありません。
「あなたのお父様もしくはお母様からこのような寄付をいただきました」という感謝は遺族のもとへ届くのです。

本人には何も返ってこないからこそ、遺贈は承認欲求とは無縁の、純粋な意思の表れであり、ギフトだといえます。

付け加えると、お金の心配もいりません。遺贈は「亡くなったときに財産があれば」という条件で寄付をする、というものであり、生きている間は自分の好きに使うことができます。

税金の観点では、寄付先・遺贈先が公益財団法人であれば税制上の優遇措置があり、相続税はかかりません。ただし任意団体では、寄付の場合は所得税の寄付金控除の対象ではなく、遺贈の場合は相続税非課税が使えませんので、注意が必要です。近年は公益財団法人の設立要件が緩和され、遺贈先の選択肢も広がっています。

○『限りある時間を豊かにする 人生最後のお金の授業』(天野隆 /青春出版社)

相続専門税理士として、3万件を超える人生の締めくくりに立ち会ってきた著者は、「もっとお金を残せばよかった」と悔やんでいる人は意外に少ないといいます。 多くの人に共通するのは、「お金の使い方を間違えた」「もっと自分のためにお金を使えばよかった」「もっと人のためにお金を使えばよかった」という3つの後悔。 老後資金や健康面のことを考えると、お金をため込みたくなる気持ちはわかります。 しかし、人生には期限があります。そして、お金にも使いどきがあるのです。
では、「いい人生だった」と言える人は、どんなお金の使い方をしていたのでしょうか? 相続現場で見えてきた事実と、多くの人から得た人生の教訓をもとにまとめた、「人生最後のお金の授業」をお届けします。
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