●トイレットペーパーは「2枚まで」 厳しい生活で身についたこと
「我慢することは苦ではないんです」――。モデル、タレント、プロ雀士、Mリーガーに加え、「国士無双LOVE」で歌手デビューを飾った岡田紗佳
いくつものフィールドで第一線を走り続ける彼女の強さは、かつて教え込まれた「我慢」から生まれていた。

中国で祖母と暮らした幼少期は、決して恵まれた環境ではなかった。節約を徹底する生活の中で育ち、言葉が通じず誰とも話せない経験もした。しかし、当時の日々を「全部つながっている」と振り返る岡田。モデル時代の過酷な撮影も、プロ雀士として耐え続ける対局も、その原点には、あの日に培われた忍耐力があった。

フォトエッセイ『おかぴーす! 今日も私は運がいい』(KADOKAWA)の刊行から約2年。今も変わらない「努力することを諦めたくない」という信念、ゲームで心を整える現実逃避、人間関係との向き合い方、そして仕事に迷った時の考え方まで。岡田紗佳を形作る原点を探った――。

○『おかぴーす!』刊行から2年「ベースは変わっていない」

――2024年に出版したフォトエッセイ『おかぴーす! 今日も私は運がいい』を読ませていただいたのですが、ターニングポイントや普段は語られることのないプライベートのエピソードなど、大変興味深い内容でした。岡田さんにとってどのような一冊ですか?

みなさんの知らない私が、たくさん詰まっている本です。最近は、私自身も長い文章を読むことがあまりなくなったので、読みやすい本にしたいとずっと思っていました。

――刊行から約2年が経ちました。
当時と今でご自身に変化はありますか?

ベースはあまり変わっていないと思います。改めて読んでみたら、違うところもあるかもしれないですけど。

――本では、おばあさんと暮らした幼少期についてもつづられています。当時の経験は、現在のご自身にどのようにつながっていますか?

祖母はかなりの節約家でした。トイレットペーパーも「2枚まで」と言われたり、電気のつけっぱなしは絶対に駄目、水も一回ずつ止めなさいと言われたりしていました。だから今、それを全部やらないことが気持ちいいんです(笑)。冷房をガンガンつけて涼しくするとか、そんなことが大人になって一番のぜいたくだなと感じます。アイスも2、3個買ったりとか(笑)。

――大人になっての反動は自分もすごく感じます(笑)。厳しい環境から得たものもありますか?

我慢することが苦ではなくなりました。子どもの時にできていたのに、大人になってできなくなるのはおかしいですから。モデルやグラビアの撮影は、ものすごく寒い時に薄着をしたり、暑い時に厚着をしたりします。
でも、それは全然苦ではなかったです。特にモデル時代は、編集の方から「よく我慢できるね」と驚かれることもありました。

○「我慢しかしていない」幼少期の経験がモデル、麻雀にも

――プロ雀士にとっても、忍耐力は求められそうですね。

我慢しかしていないですね。4分の3ぐらいはずっと我慢。ほとんど我慢です。一局を通して、我慢しかできずに終わることもあります。他の人の攻撃が激しくて、守りに入ったまま終わることもありますから。

――幼少期の経験が、現在の仕事にも生きているのですね。

本当に、子どもの時にいろいろ経験しておいて良かったと思います。中国で暮らしていた頃は言葉が分からず、誰とも話せなかったこともありました。いろいろな経験ができたことで、勉強も進んでできるようになりましたし、青学に入れたことも大きいです。
青学に入っていなかったら、たぶんスカウトもされていなかった。そう考えると、全部つながっていますね。

――厳しい環境の中で、道から外れたくなることはなかったのですか?

外れられなかったんじゃないですか。厳しかったので、それすら許されなかった。その影響で、変な癖も染みついています。カウントダウンされるのが、すごく嫌いなんです。「3、2、1」と言われると、絶対に何かをしなければならない気持ちになるので(笑)。幼い頃は、「何秒以内に片付けなさい」と家でカウントダウンばかりされていました。時間も10分単位で決められて、「あと1分」と言われるような感じでした。その影響なのか、もたもたしている人を見るのはすごく嫌ですね。

――本では「好きよりも嫌いが原動力」と語っていましたね。現在の原動力は何ですか?

「負けたくない」に近いです。
サボらずにやっていきたいですし、怠けたくない。徐々に人にお願いできる立場にもなってきましたが、自分でできることは全部、自分でやっていきたい。麻雀に限らず、努力することを諦めたくないですから。経験を重ねると、サボる方法をどんどん覚えていくと思うので、何事もサボらずにやっていきたいです。

●仕事を続けるか辞めるか…迷った時に勧める“頭の整理法”
――真面目でストイックなところも、岡田さんの魅力的なところだと感じます。

とにかく、不真面目が嫌いなんです。自分の中に不真面目な部分は、あまり思いつきません。人から見たら分からないですけど。

――不真面目は、クーラーをつけっぱなしにするところぐらいですかね?

それは自分で責任を取っていますからね(笑)。確かに、割とストイックな方かもしれませんね。でも、もっともっとやれるはず。最低限のことは、やり遂げたいです。

○10年前の『ポケモン』で現実逃避「そういう時間がないと…」

――「現実逃避の時間を大切にする」という考えは、今も変わっていませんか?

現実逃避は、ゲームの時間ですね。10年ぐらい前の『ポケモン』を今もやっています。新しく発売された作品もやりますが、昔の作品をもう一度やるんです。最近は“剣盾”(『ポケットモンスター ソード・シールド』)をプレイして、昔の図鑑をずっと埋めています。「何のためにやっているんだろう」と思いながら、ずっと図鑑を埋め続けています(笑)。

対戦はあまり好きではなくて、収集したり、コンプリートしたりするのが好きです。プレイ時間を見たら30時間ぐらいになっていて、「何をしているんだろう」と、ふと思う時もあります。でも、そういう時間がないと、やっていけないのかもしれません。

――生活において、没頭する時間も貴重ですよね。悩んだりすることはありますか?

めちゃくちゃありました。今は少なくなっています。悩みの8割ぐらいは人間関係だと思うので。
最近は、たまたま人間関係で悩むことがなかっただけなんですかね。自分が付き合っていきたい人、関わりたい人が分かるようになったから、悩むことが少なくなったのかもしれないです。

悩みごとは考えていてもどうにもならないことが多いので、もうAIに聞いたらいいんじゃないかな(笑)。私もたまに聞きますよ。参考にはすごくなるんですけど、AIって冷たいんですよね(笑)。でも、「まあ、そうだよな」ぐらいには思えるようになっています。

○最後は「勘」で決める 人に相談することで気づく“自分の答え”

――新卒の方々など、経験が浅く仕事に悩んでいる人も多いと思います。そのような方々に向けてアドバイスをするとしたら、どのようなことを伝えたいですか?

仕事で悩むのは、大体、メリットとデメリットをうまく整理できなくなるからだと思います。

例えば、今の仕事を続けるか、辞めるかで悩んでいるとします。今の仕事を続けるのは楽だけど、こういうストレスがある。でも、新しい仕事を始める場合のメリットとデメリットがよく分からず、踏み出せなくなってしまう。

でも、自分の中できちんと整理できていれば、悩むことがなくなるというか、どちらを選ぶのかはおのずと見えてくるはずです。

一度、全部を書き出して、自分の頭を整理してみる。両方のメリットとデメリットを、きちんと把握することが大事だと思います。

――確かに、どんな選択肢にも、メリットとデメリット両方の側面がありますよね。

そうですね。一番良くないのは、片方のメリットと、もう片方のデメリットを比べることです。

――岡田さん自身も、選択する際にはメリットとデメリットを整理するのですか?

私は全然。勘です(笑)。結局、勘なんですよね。経験値がたまったからこその勘だと思います。一度は考えてみるんです。でも比べた上で、「やっぱりこっちがいい」と思うことがあるじゃないですか。そうなったら、もうそちらでいいと思います。

――最終的には自分の中に答えがある、ということなのかもしれませんね。

女性同士で「どっちの服がかわいいと思う?」と聞くことがあるじゃないですか。相手が答えた時に、「うーん」となることがありますよね。そういう時は、もう自分が選びたい方が決まっているんです。

ただ、本人はその答えにまだ気づいていない。相手が逆の方を選んだ時に、初めて、「あっ! 自分はこっちが好きなんだ」と分かるんです。

だから、人に「どちらがいいと思う?」と聞いてみるのもいいですよね。相談することで、自分の中ではすでに決まっていた答えに気づけるかもしれません。

■プロフィール
岡田紗佳(おかだ・さやか) 1994年2月19日生まれ、東京都出身。青山学院大学在学中にファッション誌『non-no』の専属モデルとして活動し、2017年に日本プロ麻雀連盟所属のプロ雀士となる。Mリーグでは「KADOKAWAサクラナイツ」のメンバーとして活躍。モデル、グラビア、タレントなど幅広い分野で活動し、2026年7月22日にシングル「国士無双LOVE」で歌手デビューを果たした。
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