病院・福祉施設の給食現場で、人手不足を背景に完全調理済食品(完調品)の利用が広がっている。

完調品は、食品メーカーなどが工場で加熱調理した後、冷却・冷凍などを行った食品。
導入することで、施設内では下処理や調理にかかる工程を減らし、解凍・再加熱・盛り付けなどを中心に食事を提供できる。調理業務の負担軽減に加え、調理工程の標準化や品質の安定化につながる点も特徴だ。

完調品にはさまざまなタイプがあり、各社が人手不足への対応や食事の品質維持を意識した商品・サービスを展開している。

■日東ベストの『とかすだけ』シリーズは、冷蔵庫解凍で『とかすだけ』で提供可能


日東ベストは、病院・施設向け冷凍食品「ホスピタグルメ」シリーズを展開する。やわらかく噛みやすい食感の商品で、1人分ずつトレーに盛り付けた「やわらかおかずセット」などをそろえる。

同社では、病院・施設向け冷凍食品の販売が、人手不足による調理従事者の確保難などを背景に伸長しているという。中でも「とかすだけ」シリーズは、冷蔵庫で解凍することで提供でき、加熱工程を必要としない商品として展開している。

同シリーズは、製造工程で微生物を管理し、製造後の検査を経て出荷している。加熱工程を省くことで、加熱調理や中心温度の確認にかかる作業を減らせる点を訴求する。「HGやわらか鶏とごぼうの旨煮」「HGやわらか麻婆ナス」「HGしらす入り卵蒸し」などをそろえる。

以下の写真は、そうめんに解凍した「HGやわらか麻婆ナス」をかけ、刻んだかいわれをトッピングした「ジャージャー麺風そうめん」。
人手不足で病院・福祉施設の「完全調理済食品」利用広がる
日東ベストの『HGやわらか麻婆ナス』を使った「ジャージャー麺風そうめん」
日東ベストの『HGやわらか麻婆ナス』を使った「ジャージャー麺風そうめん」

■フジ産業、安全・安心と味の良さ両立させた真空調理の完調品で直営化も支援


フジ産業は、高齢者施設・病院向けの完調品「クックパック」を展開する。食材を温めて開封し、盛り付ける工程を中心に提供できる商品で、ブランドオーナーのフーヅリンクと合わせて1日約5万食分を製造している。

同商品では、食材と調味料をパックに入れて真空調理する製法を採用。
高温高圧調理機を使用し、食材をパック内で調理することで、開封まで外気や人の手に触れる機会を抑えている。また、食材を柔らかく仕上げるほか、少ない調味料で味を付けられるとして、塩分を控えたメニューにも対応する。

管理栄養士が作成した約4000種類のメニューをそろえ、「治療食」も160種類以上を用意。さらに、施設の給食運営を受託するほか、シフト作成や求人、発注、検品、調理など、給食運営に関する業務を支援するサービスも無償提供している。
人手不足で病院・福祉施設の「完全調理済食品」利用広がる
フジ産業の「クックパック」メニュー例
フジ産業の「クックパック」メニュー例

■メディカデリ、完調品と専門家によるサポートサービスで給食改革を提案


メディカデリは、2023年11月設立の企業で、病院・福祉施設向けの完調品を展開する。一般食に加え、特別食や嚥下調整食などをそろえ、食事の形態や栄養面に配慮した商品を提供している。

嚥下調整食は、学会分類に準拠した柔らかさに加え、食べ切りやすい量や味付けを特徴とする。また、潰瘍食を中心に一般食・特別食に使用できる「UT(ユーティリティ)食」も展開。易消化の食材を使用し、減塩や脂肪量、刺激物などに配慮した設計としている。

同社は完調品の提供に加え、導入施設に対するサポートにも取り組む。完調品を組み込んだ献立作成や厨房設計、作業導線の見直しなどを行い、施設ごとの厨房運営に合わせた導入を支援している。
人手不足で病院・福祉施設の「完全調理済食品」利用広がる
メディカデリの嚥下調整食(ミキサー食)
メディカデリの嚥下調整食(ミキサー食)
人手不足が続く病院・福祉施設では、調理従事者の確保に加え、調理工程の効率化や安定した食事提供が課題となっている。
こうした中、完調品を単に調理工程の一部を代替する食品としてではなく、厨房運営の効率化と組み合わせて活用する動きが広がっている。
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