アサヒグループ食品は2026年9月7日、グミタイプの栄養サプリメント「グミナチュラ」を発売する。発売に先駆け、8月24日に「ヘルスケア マーケティング戦略説明会」を開催した。
健康意識が高まる一方、サプリメントの摂取率が伸び悩む日本市場において、同社はどのように新たな需要を取り込もうとしているのか。その戦略を聞いた。

○日本人のサプリ摂取率は約30%、「健康への義務感」をどう取り除く?

マーケティング三部長の岩崎琢也氏によると、日本人のサプリメント摂取率は約30%にとどまる。同社はその背景に、価格だけではなく、サプリメントに対する心理的なハードルがあると分析している。

「現在、国内の健康意識はコロナ禍以降で最高水準にありますが、実際のサプリメント摂取率は約30%と横ばいです。米国市場の70~80%と比較しても、大きな開きがあります。その原因を調べたところ、薬のような義務感や人工的な印象といった心理的な障壁が根強く残っていることが分かりました」

そこで同社が新たな成長領域として着目したのが、食とサプリメントの中間に位置する市場だ。健康に役立つだけでなく、おいしく、無理なく続けられる価値を打ち出すことで、これまでサプリメントを習慣的に摂取してこなかった層の開拓を目指す。

背景には、健康を意識すること自体に負担を感じる消費者の存在もある。同社が実施したインタビューでは、「健康を意識しすぎて疲れている」といった声が多く聞かれたという。

岩崎氏は、こうした消費者に対して「サプリメントを頑張って飲むものから、楽しんで食べるものに転換することが重要だ」と説明した。健康のために我慢して続けるのではなく、日常の中で自然に取り入れられる商品を提案することで、サプリメント未経験層にも裾野を広げる考えだ。

○なぜグミなのか? 新商品「グミナチュラ」に込めた思い

新商品「グミナチュラ」が飲料や錠剤ではなく、あえてグミを選んだ背景には、「手軽に、おいしく栄養を摂ってほしい」という思いがある。

同社の調査によると、健康食品の形状について、グミは「食品に近く、安心感がある」と評価された。サプリメントの薬っぽいイメージを和らげ、これまでサプリメントを摂ってこなかった人にも手に取ってもらいやすい。

一般的なグミ市場も、前年比120~130%と伸長している。こうした市場の広がりを背景に、サプリメントを家で飲むものから、外出先でも気軽に食べるものへと変え、新たな健康習慣として定着させたいと考えている。

その商品開発を支えるのが、サプリメントブランド「ディアナチュラ」で培ってきた知見だ。さらに、「アサヒ酵母」やカルピス由来の乳酸菌など、グループ独自の素材も強みとなる。

一方で、成分や機能だけを追求しているわけではない。食品メーカーとして特に重視したのがおいしさだ。どれほど優れた成分が含まれていても、続けられなければ日々の健康習慣にはなりにくい。そこで、これまで培ってきた味づくりの技術を生かし、栄養を補う機能と、毎日食べたくなるおいしさの両立を目標にした。

マーケティング三部の北山奨吾氏は、長年サプリメントの商品開発に携わる中で、日本人のサプリメント摂取率が伸びないことにもどかしさを感じてきたと振り返る。


「いかに、お客様が抱くケミカルな抵抗感を商品の力で解消できるかが長年の課題でした。『グミナチュラ』は、わが社の技術を結集し、サプリメントを始めるハードルをできる限り下げることを目指した商品です」
○「グミナチュラ」が狙うのはサプリ未経験の7割

「グミナチュラ」が狙うのは、現在サプリメントを摂取していない約7割の層だ。

「単なる新商品の追加ではなく、これまでサプリメントを利用してこなかった方と栄養との新しい接点をつくる商品だと考えています。開発では、初めての方でも迷わず手に取れる商品設計を徹底して追求しました」
○長澤まさみさんを起用、積極的にプロモーション

サプリメント未経験層へのアプローチを強化するため、9月7日の発売に合わせてプロモーションにも力を入れている。ブランドアンバサダーには長澤まさみさんを起用し、積極的に広告を展開する予定だ。

広告を通じて提案するのは、サプリメントを「家で飲むもの」から「外へ持ち歩いて食べるもの」へと変える新しい習慣だ。グミだからこそ、場所を選ばず気軽に栄養を摂れる。その手軽さを訴求することで、これまでサプリメントになじみのなかった層にも商品を浸透させる狙いだ。

北山氏によると、発売前から販売面での手応えも感じているという。

「流通側からの期待も高く、導入見込みは目標比130%に達しています。販売チャネルは当面、ドラッグストアのサプリメント売り場が中心ですが、将来的にはお菓子売り場への展開も選択肢の一つです」

サプリメント売り場だけでなく、お菓子売り場にも販路を広げることができれば、健康食品を目的に来店していない消費者との接点も増える。今後の商品展開についても、大容量化よりフレーバーの充実を重視し、選ぶ楽しさをつくることで継続的な購入につなげていく方針だ。
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