【芸能界ぶっちゃけトーク】


 このところ、女優の志穂美悦子の姿をSNSなどで立て続けに見ることがあった。


 僕らの世代にとって彼女は、1970年代の映画「女必殺拳」シリーズの主演など女性アクションスターとしてよく知られた存在。

かなり高齢のはずだが、今も元気で若々しい印象だ。


 僕が実際に彼女を取材したのは、まだ駆け出しのスポーツ紙記者の頃。映画かドラマの製作発表の席で、取材陣の隅っこから「映画の通りのアクション女優だなあ」と感心していた覚えがあり、それっきり縁がなかった。


 というのも、大物歌手の長渕剛と結婚して早々に引退してしまったからだ。当時、耳にしていたのは長渕の暴れっぷりだが、志穂美と本気で大ゲンカすると圧倒的に彼女の方が強いという話だった。さすがは故・千葉真一さん直伝の空手だと妙に感心してしまった。


 その後、長渕家に勤めていたというお手伝いさんと話をしたことがあって、「ご主人さま(長渕)は個性的でハッキリとした強い方でしたが、志穂美さんはその上を行く強さでした。もちろん、ご主人にはということで、私たちには優しかったですよ」とニッコリ話してくれた。ケンカの強さがそのままになっているのかと、思わず笑ってしまったものだ。


 ところで、長渕との交際が報じられた頃、僕は志穂美を取材で探し回ったことがある。夜になって、彼女が住んでいるというマンションが判明し、インターホン越しに「日本テレビですが、志穂美さんを取材したい」と言うと、女性の声で「上に上がってください」という返事があった。



ドアを開けてくれたのは、なんと故・市原悦子さん

 カメラを回しながら部屋のチャイムを鳴らすと、ドアを開けてくれたのは、なんと「家政婦は見た!」の故・市原悦子さん。

驚いて、「えっ、あの、シホミさんを訪ねてきたのですが……」と言うと、市原さんは「私、主人が塩見で、塩見悦子が本名なんですよ。あっ、アクションの方のシホミさん。残念でしたね」と笑ってくれた。


 僕は「本当に失礼しました」と逃げ帰ったが、すぐ直後、市原さんが映画賞か何かを受賞した際にインタビューをお願いした。「今日は仕事がないので、直接自宅に行ってくれ」と事務所に言われたので先日のマンションに行くと、目の前の公園で待つよう指示された。すぐに姿を見せた市原さんは僕の顔を見て、「今日は〈私で〉大丈夫ですよね」。


 そう言って大笑い。気さくで、テレビで見るよりずっと上品な市原さんのことが忘れられない。


(城下尊之/芸能ジャーナリスト)


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