今国会は問題法案のオンパレードだが、中でも高市首相肝いりの「国旗損壊罪法案」は群を抜いてロクでもない。16日の参院内閣委員会で、法案を共同提出した自民党、日本維新の会の与党、国民民主党、参政党の4党による賛成多数で可決。
「国旗損壊罪」は、〈人に著しく不快または嫌悪の情を催させるような方法により、公然と国旗を損壊し、除去し、または汚損した者〉に2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金を課すもの。しかし、何をしたらアウトなのか基準はハッキリしない。
どのような行為が犯罪として処罰されるのかを明記しなければならない「罪刑法定主義」を無視し、表現の自由を侵害する恐れがあるだけに、14日の参院内閣委で行われた参考人質疑では、憲法学者から「違憲立法」との指摘が相次いだ。
ところが、与党は可決・成立をゴリ押し。16日の参院内閣委での答弁も酷かった。
先月26日の衆院内閣委で法案提出者として「(国旗損壊罪の)成立を契機に国旗を大切にする気持ちや愛国心が醸成される」と答えた維新の阿部圭史議員は、立憲の杉尾秀哉参院議員から「発言を撤回するのか否か」を問われ、「個人の政治信条を述べた」と主張。まったく質問に答えず、「提案者としての説明と政治家としての個人的な信条の区別が分かりにくかったならば遺憾です」と3回も繰り返した。
阿部議員は「個人の思想や信条を処罰するものではない」とも強調したが、その保証はない。先の参考人質疑で中央大法学部の橋本基弘教授(憲法)は「後出しじゃんけん的な解釈を許すような刑罰法規」と酷評。神戸大学大学院法学研究科の木下昌彦教授(憲法)も「本法案には2つの運命しかない」「最高裁で違憲無効とされるか、自由な言論の喪失の端緒になったと後世の歴史家に記述されるか」と痛烈に批判していた。
専門家が「違憲の可能性アリ」と口を揃える悪法をどうやって運用するのか。
「採決を決める理事会の時、私から『憲法違反であり、立法事実も納得できない』という話をしたら、与党側は『じゃあ、最後は最高裁に決めてもらいましょう』と。専門家が違憲の可能性を指摘する法案を数の力で通しておきながら、最終的に司法判断に投げるとは、立法府としての矜持はないのでしょうか。いくら何でも酷いと言わざるを得ません」
高市政権の無責任、居直り体質には辟易する。
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