今年3月、NHK BS8Kで放送され話題となった亀梨和也主演「銭形平次」が、8月21日、NHK総合に登場する。


「銭形平次」といえば、昭和の名作家・野村胡堂が生み出した江戸・神田明神下の岡っ引き。

映画全盛期には、トップスター長谷川一夫をはじめ、嵐寛寿郎、里見浩太朗らが平次役に。ドラマでは、大川橋蔵が1966年から84年まで全888話休まず出演を続け、「テレビの1時間番組世界最長出演記録」としてギネスブックに認定された。以後、風間杜夫、北大路欣也、村上弘明も平次を演じてきた。ドラマ「VIVANT」のロケ地としても知られる神田明神には、架空の人物ながら、長く愛される平次親分と手下のがらっ八(八五郎)の石碑が建てられている。


 人気の理由は、抜群の推理力と、いざとなると飛び出す百発百中の「銭投げ」の技。いつもは穏やかだが、弱い立場の人たちのため、時には身分を超えて悪を追及する正義感も大きな魅力だ。


 その平次の魂を受け継ぐ亀梨版の事件の発端は、神社の境内で発見された男の死体の懐から、建物の図面のような紙切れが発見されたこと。同僚の岡っ引き・三ノ輪の万七(後藤剛範)が物取りだと断定する中で、違和感を抱いた平次は、南町奉行所筆頭与力笹野新三郎(高橋克実)の依頼で探索を始める。事件の裏には、幕府転覆を狙う大陰謀が!?


 一方、平次は、近ごろ人気の旅一座「花影社中」の舞台を八五郎(奥智哉)と静(生田絵梨花)と見に行った。看板芸人つばめ(山田杏奈)はアイドルとして大評判だったが、その後、彼女の熱愛が瓦版に載り、江戸庶民も、誰が情報源なのかを疑う一座の者たちも不穏な空気に包まれる。そして、さらなる殺人事件が起きる。


 注目したいのは、この平次が身体能力が高い上に好奇心旺盛で、医学や化学、数学などの禁書を読み、独学でオランダ語も習得しているというところ。

体力と豊富な知識が事件解決にどんな形で生かされるのか。また、過去の平次作品では「愛妻」として登場していたお静は、本作ではまだ友達以上恋人未満の存在。しっかり者のお静が、妻とは違う立場で二枚目平次とどう接するのかも見ものだ。おっちょこちょいだが、熱血漢の八五郎、思い込みが激しい万七、平次を見守る笹野など、「銭平」に欠かせないキャラとのやりとりも楽しみだ。そして銭投げも、かつてない投法に。


 近年、NHKは、森山未來の「丹下左膳~大岡越前外伝~」、長谷川博己の「眠狂四郎」など、新たな主役で名作を送り出してきた。亀梨がどんな推理と十手さばきを見せるか。令和の「銭形平次」の活躍に注目だ。


(ペリー荻野/時代劇研究家)


編集部おすすめ