〈現役世代を中心とした保険料負担を軽減していくため、日常的な医療に用いる、「OTC医薬品と類似の医療用医薬品」の保険給付の範囲を見直します〉


 政府が来年3月に導入する方針の「OTC類似薬の一部保険除外」について、高市首相は今月22日、自身のXにこう投稿した。「現役世代の負担軽減」を強調しているが、保険外しによる負担増は働き盛りの世代にモロ直撃だ。


 そもそも、OTCの保険外しによって得られる保険料負担の軽減効果は、保険加入者1人あたり月30円程度。吹けば飛ぶような“効果”しかないうえ、保険外しに伴う追加料金(薬剤費の4分の1)が発生することにより、むしろ負担増になるケースも出てくる。全国保険医団体連合会によれば、花粉症患者が内服薬1種類と点眼薬、点鼻薬を処方された場合、月1500円の負担増になる可能性があるという。


 追加料金を課されない配慮対象者は、今のところ①がん患者②難病患者③国の公費負担医療の対象者④入院患者⑤処置・手術などの一環の処方⑥医師が長期使用などが必要と認める場合(通年処方)──の6類型。関節リウマチや花粉症、アトピー性皮膚炎など、慢性症状を抱える患者であっても基本的に配慮対象外。外用薬は保湿剤を除いて対象外、内服薬は通年処方のハードルがあることを踏まえれば、配慮対象はかなり限定的と言える。


 問題は、高齢者だけでなく働き盛りの現役世代が負担増を強いられることだ。保団連が19日に公表した「OTC配慮措置の調査結果」(8月6日~13日実施)によれば、アンケート回答9641件のうち約8割が20~50代の現役世代。20代が980件、30代が2131件、40代が2351件、50代が2075件だった。


 治療中の病気について聞いたところ(複数回答可)、花粉症(3975件)とアレルギー性鼻炎(3535件)、アトピー性皮膚炎(2344件)が圧倒的多数。気管支ぜんそくや便秘、慢性頭痛も各1000件超だった。いずれも高齢者に限らず、現役世代も抱える身近な疾患だ。


 保団連副会長の井上美佐医師は19日の会見で、「負担が増えることによって受診や薬を我慢するということが増えてくる可能性があります」と指摘。こう続けた。


「日本耳鼻科学会の調査では、アレルギー性鼻炎の症状によって集中力がなくなることで労働生産性が低下し、例えば、現在の鼻炎の有病率と給与で換算すると、日本全体で年間約10兆円の経済的損失があると推定されております。患者様も働き盛りの方が多いのでなおさら危惧されるところであります」


 医療費の負担増が受診・薬控えを招き、さらなる労働生産性の低下につながる──。高市首相が言う「現役世代の負担軽減」は、的外れ以外の何物でもない。


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「OTC保険外し」ついて日刊ゲンダイは、長きに渡り高市政権を追及してきた。関連記事【もっと読む】【さらに読む】などでも詳しく報じている。


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