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発端は2026年6月30日、広州市のJinan Universityで開かれた学術シンポジウムだった。南京大学や中国社会科学院などの研究者が、フィリピンによるバタン諸島の施政に「歴史的・法的根拠は存在しない」と断定し、同諸島を「台湾の自然な延長」と位置づけ、中国に帰属すると論じた。この主張が報道されると、フィリピン政府高官から即座に反発が噴出。テオドロ国防相はマニラでの安全保障会合で「根拠は皆無で、まったくのジョークだ」と一蹴したうえ、「閉鎖的な中国社会では偽りの物語が真実として信じ込まれる危険がある」と警告し、国際学界に否定を呼びかけた。フィリピン軍(AFP)や国家安全保障会議(NSC)も「バタン諸島はフィリピン共和国の不可分な領土」と声明を発し、周辺海域での哨戒・監視を強化した。
バタン諸島は約10の島々から成り、人口は約1万9000人。ルソン島と台湾の間に位置し、南シナ海と太平洋を結ぶ重要な国際シーレーンに面する。台湾から南へ約190キロメートルと近く、安全保障上の要衝である。1907年にカガヤン州の準州に指定され、1909年には独立州として法的に認められた歴史があり、先住民族イバタン人の文化もフィリピン本土と深く結びついている。中国が主張するような台湾や大陸との統治関係を示す証拠は存在しない。ベラ・ファイルズやフィリピン通信社(PNA)は、今回の動きは中国政府が直接声明を避けつつ反応を探る「観測気球」であり、台湾海峡や周辺海域の緊張時に領有権主張の口実を積み上げる「スライシング戦略」の一環と分析している。
フィリピン政府は近年、南シナ海での中国の進出に対抗し、米国や日本との安全保障協力を強化。バタン諸島でも補給港整備や共同演習を進めてきた。中国は台湾有事で北部が拠点化されることや太平洋進出路が阻まれることに危機感を抱いているとされる。テオドロ国防相は「南シナ海にとどまらず太平洋全体を支配しようとする中国の野心の表れだ」と強調し、「強引な主張はフィリピン国民の結束を強め、反発心をあおるだけだ」と批判した。2016年の南シナ海仲裁裁判で中国の歴史的権利主張が退けられて以降も対立は続いており、現地メディアは「国家全体で厳重に対抗すべき課題」と報じている。バタン諸島をめぐる動向は地域安定を左右する重要な焦点となっている。
【編集:Eula】








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