2026年7月22日、マレーシア南部ジョホール州イスカンダール・プテリ市議会は、巨大開発都市「フォレスト・シティ」内に設置されていた技術者・起業家向け共同生活拠点「ネットワーク・スクール(Network School)」に対し、事業ライセンスの取り消しおよび同日付での事業停止・施設退去命令を通告した。シンガポールの「チャンネル・ニュース・アジア(CNA)」「ザ・ストレイツ・タイムズ」「アジアワン」、マレーシアの国営通信「バナマ(Bernama)」が報じた内容によると、運営法人「NS0マレーシア(NS0 Malaysia Sdn Bhd)」が商業ライセンスの運用規定違反や未許可区画の利用を行っていたことが行政査察で確定したためだ。


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 同州のオン・ハフィズ・ガジ州首相は自治体による処分を全面的に支持する声明を発表し、マレーシアデジタル経済公社(MDEC)も同社に付与していたデジタル技術企業向け優遇資格の取り消し手続きに着手した。これにより、東南アジアにおける新たな情報技術(IT)ハブとして注目されていた同拠点は事実上の閉鎖に追い込まれることとなった。

 行政当局が実施した合同査察では、運営事業者が許可を得ていた1つのオフィス区画だけでなく、隣接する未許認可区画を無断で連結して営業活動に利用していたほか、地方自治体の規制に反する看板を無許可で掲示していた事実が発覚した。さらに、今回の強硬な行政処分の背景には、ソーシャルメディアを通じて急速に拡大した安全保障上の懸念が存在している。同施設にはマレーシアと外交関係を持たないイスラエル国籍の参加者が第三国のパスポートを用いて入国していたとの疑惑が拡散し、国内で大きな世論の反発を引き起こした。マレーシア移民局の調査では渡航書類自体に直接の違法性は確認されなかったものの、治安当局は参加者の身元特定や不適切な旅券利用の有無について継続調査を行っている。

 施設を設立した米国の暗号資産・IT投資家バラジ・スリニヴァサン氏は規約違反への修正対応を行う意向を示していたが、地元自治体は厳罰姿勢を維持し、ライセンスの即時撤回と事業の完全停止を命令した。

 今回の事業停止命令は、国家の主権や法規制と、グローバルな先端IT投資誘致の調和という重い課題を浮き彫りにした。「ネットワーク・スクール」は従来の国家という枠組みにとらわれないデジタル領域での新たなコミュニティ構築を目指し、世界各地からITエンジニアや投資家を集める野心的な取り組みとして開始された。投資規模は初期段階で約500万米ドルに達し、将来的には1億2200万米ドル(約5億マレーシア・リンギ)を超える拡張計画も提示されていた。不動産開発が進む一方で空室率が高止まりしていたフォレスト・シティ地区において、若手技術者やデジタルノマドの流入による経済的波及効果は大きく、地元商店や事業者からは一定の歓迎の声も上がっていた。

 しかし、国交のない国家からの参加者疑惑という安全保障上の問題や、商業ライセンスを軽視した不適切な運営が露出したことで、政府および政治的警戒感が一気に高まる結果となった。
今後の展望と東南アジア地域のIT産業への影響について、専門家や現地メディアは慎重な見方を示している。マレーシア政府は外資系IT企業の誘致やデジタル経済の成長を推進する一方で、自国の法令順守と国家安全保障を最優先する強硬な方針を明確にした。創設者スリニヴァサン氏はマレーシアへの新規投資計画を一時凍結し、中央政府との協議を求めているものの、すでに中央アジアのカザフスタンなど他地域への拠点移転に向けた協議を始めていると報じられている。

 法規制や地政学的リスクへの配慮を欠いた先端ITコミュニティ構想が新興国で直面した今回の挫折は、国際的な技術投資の推進において、受入国の現地法令の遵守と規制当局との信頼関係の確立が不可欠であることを証明する事案となった。
【編集:af】
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