ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、実効支配を続ける北方領土・択捉島を初めて訪れた。この突発的な現地入りは、日本の政界および外交関係者に計り知れない衝撃を与えた。
ロシア国営テレビが放映した映像では、プーチン氏が最新設備を備えた水産加工場を視察し、地元産のイクラを笑顔で試食する姿が映し出された。まるで同島が古くから自国領であるかのように振る舞うその姿は、ウクライナ戦争が長期化する中、日本の政治と世論を揺さぶるための冷徹で計算された演出にほかならない。

その他の写真:北方領土イメージ

北方領土問題は、2010年代の安倍晋三政権下で大きな転機を迎えた。当時、圧倒的な支持率を背景に外交成果を求めていた安倍首相は、プーチン氏と27回もの首脳会談を重ねた。「ウラジーミル、同じ未来を見つめよう」と語りかけ、個人的な信頼関係を構築することで歴史的な領土交渉を前進させられると信じていたのである。

日本側はロシアへの大規模な経済協力を全面的に打ち出し、従来の「四島一括返還」から「まず二島返還を受け、残りは継続協議する」という実質的な方針転換に踏み切った。誠意を示せばロシアの態度を軟化させられるとの期待があった。

しかし、ロシア側の反応は冷淡だった。日本の経済支援や技術協力を受け取りつつ、自国の利益を確保するだけにとどめた。そして2020年、ロシアは憲法を改正し「外国への領土割譲を全面禁止する」条文を追加した。将来の返還可能性を自ら法的に閉ざしたのである。

安倍政権後、北方領土をめぐる対話は完全に停滞した。
決定的だったのは2022年のウクライナ侵攻である。日本が欧米と歩調を合わせて厳しい制裁を科すと、ロシアは平和条約交渉の中断を一方的に宣言した。

これにより、元島民の墓参事業や民間交流はすべて停止し、現地との往来は完全に閉ざされた。今回のプーチン氏の択捉島訪問は、制裁を続ける日本への強烈なメッセージである。「日本が返還を叫んでも、島々は永久にロシア領だ」という拒絶の意思を示し、日本国民に諦念を植え付けようとしている。

安倍外交が描いた「首脳同士の友情による領土返還」という理想は、ロシアの現実主義の前に阻まれた。結果としてロシアの支配を強固にする「負の遺産」だけが残った。故郷の島を願い続けた元島民は高齢化し、悲願を果たせぬまま次々とこの世を去っている。外交の見通しの甘さが招いた厳しい現実を直視し、日本外交は重大な試練に直面している。
【編集:ソムチャイYASUMA】
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