フランスで電話勧誘の規制を強化。事前に同意を得ていない相手への営業を原則禁止

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 知らない番号から電話がかかってきたので出てみると、保険や通信サービス、住宅関連などの勧誘だった…。なんてことはあるあるだ。

 そんなテレマーケティングにうんざりしている人にとって、フランスで始まる新制度はちょっとうらやましく感じられるかもしれない。

 フランスでは2026年8月11日から、消費者が事前に同意していない相手への営業電話が原則として禁止されることになったのだ。

拒否する制度から、同意しなければ電話できない制度へ

 これまでフランスでは、電話による勧誘を受けたくない消費者は、無料の電話勧誘拒否リスト「Bloctel(ブロクテル)[https://www.bloctel.gouv.fr/]」に自分の電話番号を登録することができた。

 企業側は原則として、このリストに登録された消費者へ営業電話をかけることが禁止されているほか、電話をかけられる曜日や時間帯、頻度なども決まっていた。

 だがこの制度は基本的に、消費者が自分から「電話しないでほしい」という拒否の意思を積極的に示さなくてはならない「オプトアウト方式」が前提だった。

 今回の制度改正では、このプロセスが逆転する。2026年8月11日から導入される「オプトイン方式」では、消費者の同意を得ていない商業目的の電話勧誘は、原則禁止されることになったのだ。

 簡単に言えば、これまでは「断られない限り電話できる」システムだったのに対し、これからは「同意をもらわない限り電話できない」ようになるのである。

電話をかけるには消費者の明確な同意が必要

 では、企業側はいったいどうやって、消費者から「電話してもいい」という同意を得るのだろうか。

 この制度では、国が共通の登録サイトなどを用意してくれるわけではない。企業側が、それぞれ同意を得る仕組みを用意しなくてはならないのだ。

 フランス政府当局の説明[https://www.service-public.gouv.fr/particuliers/actualites/A19003]によると、この同意は「購入時」「店舗への来店時」「フォームを通じて」といった方法で取得できるという。

 その際、企業側は「誰が電話するのか」「どの商品やサービスについて電話するのか」「どの期間電話を受けることに同意するのか」などを明確に示す必要がある。

 具体的な方法は各企業が用意することになるが、消費者自身が明確に「営業電話を受けてもよい」と意思表示したことを証明できなければならない。

 なお、あらかじめチェックが入った同意欄を用意したり、ウェブサイトをそのまま閲覧し続けたことをもって同意したとみなしたりすることは認められない。

 あくまでも消費者自身による明確な意思表示が必要で、同意の有効期間は最長1年間。自動更新も認められない。

 消費者はいつでも同意を撤回でき、撤回方法を同意した際のものより複雑にすることもできない。また、口頭による撤回も認められているそうだ。

 企業は、消費者がいつ、何について営業電話を受けることに同意したのかを電子的に記録し、3年間保存しなくてはならない。

 つまり、営業電話をかける側が、「この人から確かに電話をかける許可をもらっています」と後から証明できる仕組みにする必要があるのだ。

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不特定多数の「見込み客」への電話勧誘はできなくなる

 8月11日以降、営業目的で電話できるのは、基本的に「事前同意を得た相手」か、「すでに契約関係があり、その契約に関連した電話をする場合」のみになる。

 企業が入手した名簿などを使い、不特定多数の人へ営業電話をかける、いわゆる「コールドコール」は、今後は原則としてできなくなる。電話番号を知っていることと、電話営業への同意を得ていることは別だからだ。

 では、過去に接点のなかった「見込み客」を相手に営業をかけたい場合、いったいどうすればいいのだろうか。

 例えば、「この地域に住む50代以上の人に保険の勧誘をしたい」「子育てが終わった世代向けのリフォームを提案したい」といったケースである。

 これまでは何らかの手段で名簿を入手した上で、将来の「見込み客」になり得そうな相手に、片っ端から電話するという手法が使えた。

 だが今後、新たな顧客を電話で勧誘したいと考えるなら、企業はまず電話以外の方法で消費者との接点を作り、営業電話への同意を得得なければならないのだ。

すべての営業電話が消えるわけではない

 ただし、営業電話そのものが全面禁止されるわけではない。すでに契約している企業が、その契約に関連した商品やサービスについて顧客に連絡する場合は、例外が認められるそうだ。

 具体的には、現在の契約に付随する商品やサービスを提案したり、サービスの性能や品質を向上させる提案をしたりする場合などだ。

 また、新聞や定期刊行物、雑誌の購読に関する電話勧誘も例外として残されるとのこと。

 その一方で、高齢者や障がいを持つ人向けのリフォームや、省エネ・再生可能エネルギーに関する電話勧誘については、より厳しい禁止規定が設けられている。

 なお、今回の新制度に違反している電話勧誘をきっかけに、消費者と結ばれた契約は無効になる。

 この違反に対する罰金は、個人の場合は最高7万5,000ユーロ(約1,370万円)、法人の場合は最高37万5,000ユーロ(約6,850万円)が科されるそうだ。

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モロッコでは最大5万人の雇用に影響か

 それなら海外から電話をかければいいのでは?と思うかもしれない。だが、少なくともフランス企業が海外の業者へ電話営業を委託する場合、規制を逃れることはできないのだそうだ。

 この制度変更の影響が心配されているのが、これまでフランス企業からのテレマーケティング業務を請け負ってきたモロッコだ。

 フランス市場は歴史的に、モロッコのアウトソーシング業界の売上高の80%以上を占めてきたという。

 モロッコのユネス・セクーリ雇用相は、今回のフランスの規制変更により、国内のコールセンターで4万~5万人の雇用が危険にさらされる可能性を指摘している。

 とはいえ、現在モロッコでは、純粋な電話営業が業界全体に占める割合は15~20%程度まで低下しているとも言われている。

 大手企業は既に、テレマーケティング以外の分野へ主要な業務をシフトするなど、それなりに対策を取ってきているようだ。

 とはいえ、フランス相手のテレマーケティング業務にオールインしてきたモロッコの中小企業にとっては、厳しい状況が待っているのは確かだろう。

 このニュースを知った各国のネットユーザーからは、自国の状況を報告するコメントや、規制の効果を疑う声などが寄せられている。

  • 詐欺電話なんてこれからもかかってくるよ。そもそも犯罪をやってる連中が、「頼まれてもいない電話をかけるのは違法になったのか。じゃあ事業を畳もう」なんて言い出すと思う?
  • この法律で、海外に拠点を置くコールセンターが一気に大量に死んだな
    • 普通に電話してくると思うよ。そんな法律、守るわけないって
    • 海外のコールセンターが気にするわけない
  • 普通なら「本当に電話がかかってこなくなったら信じるよ」と言うところだけど、オランダでも比較的最近、似たような制度が導入された。実際、ここ最近はそういう電話がかかってきた記憶がない
  • 今まで禁止されてなかったの? リトアニアでは何年も前からこの仕組みだから、EU共通の制度なのかと思ってた
  • ベルギーでは一度電話をかけてDNCリスト(Do Not Callリスト)に登録すれば、それで終わり。登録されているのに企業が電話をかけてきたら高額な罰金を科されるから、企業も電話してこないよ
    • でも今度はオランダから電話がかかってくるんだ。しかもベルギーの電話番号は、オランダの「電話しないで」リストには登録できない
  • ドイツ、オランダ、スペイン、オーストリア、ギリシャは、電話営業について厳しいオプトイン方式を採用している。一方で今回の決定以前のフランスやベルギー、イタリア、スウェーデンは、もっと面倒なオプトアウト方式だった
    • そのオプトイン方式の国のひとつに住んでるけど、機能してないよ。迷惑電話みたいな電話攻勢を受けてない人なんて、知り合いにはほとんどいないと思う
  • これは迷惑電話や詐欺電話の話じゃないんだよ。
    そういうものはすでに違法だし、やっている連中も違法だとわかってる。これまでは、大企業がほとんど同じようなことを合法的にやってた。大量のコールセンターを使って、営業電話をかけてたんだよ

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テレマーケティングはすでに時代遅れ?

 日本でもこういった営業電話は特定商取引法で規制されており、消費者が「契約しない」と意思を示した後も勧誘を続けたり、再び電話をかけて勧誘したりすることは禁止されている。

 ただし、フランスの新制度のように、最初の営業電話をかける前に消費者の同意を得る必要はない。

 まお、上のコメントにもあったように、今回の新制度の対象となるのは、あくまでも企業による営業電話であり、詐欺グループなどがかけてくる違法な迷惑電話はまた別の問題だ。

 フランスでは詐欺電話対策として、通信事業者に発信者番号を認証させ、不正に番号を偽装した電話を遮断する仕組みを導入している。

 日本でも海外からの詐欺電話が大きな問題になっており、警察庁によると、2025年に特殊詐欺に使われた電話番号の約75.5%を国際電話番号が占めた。

 警察庁は、海外との通話を必要としない人に国際電話の着信をブロックするよう呼びかけている。

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 私の家でも、固定電話にかかってくる電話の多分99%はテレマーケティングや詐欺まがいのものなので、今では電話に出ることはほとんどなくなった。

 そもそも、電話を使った勧誘という手法自体、今の時代に合っていないのではないだろうか。

 フランスの通信規制機関Arcepが2026年3月に公表した資料[https://www.arcep.fr/newsletters/le-post-new/n-85-mars-2026.html]によると、利用者の92%が、利用者の92%が「知らない番号からの電話には、たまにしか出ない、またはほとんど・まったく出ない」と回答しているんだとか。

 つまり今回の法律以前に、「知らない番号へ片っ端から電話する」という営業手法そのものの効率が、相当落ちていることがうかがえる。

 そんな状況で、今後は事前同意まで必要になるとしたら、フランスでは従来型の電話での営業活動は、ますます難しくなりそうだ。

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