約9000年前の新石器時代、現在のトルコにあたるアナトリア中部では、黒曜石で作られた矢尻が数多く出土しているが、そのうちの一部に、謎の幾何学模様が彫られている。
フランスのエクス・マルセイユ大学の研究チームが調査したところ、意図的に彫られているにもかかわらず、54個発見された矢尻の模様は決まったパターンがなく、すべてバラバラだった。
狩猟の目印なのか?呪術的な儀式なのか?様々な仮説はあるものの、いったい何を意味した模様なのか、考古学者たちはまだ謎を解けずにいる。
この研究成果は『PLOS One[https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0354715]』誌(2026年7月28日付)に掲載された。
9000年前の黒曜石の矢尻に見つかった奇妙な幾何学模様
トルコのアナトリア中部にあるテペジク・チフトリク遺跡などでは、新石器時代の農耕牧畜民が使っていた黒曜石の矢尻が数千個も発掘されている。
黒曜石は火山ガラスの一種で、非常に鋭く割れるため、当時の人々にとって刃物や矢尻の材料として欠かせない貴重な資源だった。
不可解なことに、これら大量の矢尻のうち、ほんの一握りだけに奇妙な幾何学模様が彫られている。
1988年に考古学者が初めて31個の模様入り矢尻について報告して以来、各地の遺跡で少しずつ数が増えてきた。
そして最近、新たに11個が特定され、模様入りの矢尻は合計54個となった。
これらはおよそ9000年前から8000年前にかけて、1000年以上の間使われていたとみられている。
54個すべての模様がバラバラ
大量にある矢尻の中で、模様が彫られたものが54個しかないのは極端に少ない。
発見された場所を調べても、特別な墓や儀式用の場所ではなく、一般的な住居跡や石器を作る作業場などに他の普通の矢尻と混ざって落ちていた。
さらに、使用痕を調べると、普通の黒曜石の矢尻と同じように狩猟や武力衝突に使われていたことがわかった。
最も考古学者を悩ませているのは、54個の矢尻に彫られた模様がすべてバラバラで、共通するモチーフや繰り返されるパターンが一切存在しないことだ。
矢尻の真ん中に模様があるものもあれば、側面に彫られているものもある。さらに、完成する前に模様がつけられたものと、完成した後に彫られたものが混在している。
火打石を使って、意図的に何度も削られた痕跡
この模様は、作っている最中に偶然ついた傷ではない。
黒曜石同士をこすり合わせても、同じ硬さのため傷はつかない。
研究チームが顕微鏡で観察し、実際に再現を試みたところ、遺跡から出土する石の剥片全体のわずか1%しかない、黒曜石より硬い火打石(燧石:すいせき)[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%87%A7%E7%9F%B3]を使わなければ彫れないことが判明した。
古代の職人は、わざわざ希少な火打石を探し出し、黒曜石の黒い表面に白い線がはっきりと浮かび上がるように意図的に何度も削っていたのだ。
中には、複雑な模様を描くために同じ場所を少なくとも20回は削った痕跡が残されている矢尻もあった。
これほどの手間をかけている以上、作った人物には明確な意図があったはずだ。
狩猟の印か?呪術か?模様の意味は謎に包まれたまま
模様の目的については、狩猟者が自分の獲物を示すための「印」として使ったという説が以前から提唱されていた。
しかし、1000年もの長期間にわたって作られ続けたにもかかわらず、模様入りの数が少なすぎること、そしてすべての模様がバラバラであることから、この仮説だけで全てを説明するのは難しいと研究チームは指摘している。
また、カッパドキア産の黒曜石は遠く離れた東地中海沿岸のレバント地方まで広く取引されていたが、模様入りの矢尻が発見されたのはアナトリア中部だけである。
現在のところ、単なる装飾なのか、個人の識別マークなのか、それとも呪術的な意味合いがあったのか、研究者たちも決定的な結論を出せずにいる。
複数の目的が入り混じっていた可能性もあり、 もしかしたらまったく目的がなく、偶然である可能性も完全には否定できない。
今後の発掘で墓から直接見つかるなど、新たな証拠が出ない限り、このミステリーが完全に解明されることはないだろう。
Amazon : 吉井本家 らくらく火打鎌 野宿の匠 切り火セット メタルマッチ 火打金 カスガイ型 火起こし ファイヤースターター フェロセリウム マグネシウム 瑪瑙 火打石 MIXXCPT-Y00207
References: doi.org/10.1371/journal.pone.0354715[https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0354715] / Archaeologists uncover 11 rare marked arrowheads at Tepecik-Çiftlik whose purpose remains a mystery[https://phys.org/news/2026-08-archaeologists-uncover-rare-arrowheads-tepecik.html] / Cryptic Engravings On 9,000-Year-Old Arrowheads Hint At Unique Neolithic Traditions, But Archaeologists Can’t Figure Out What They Mean | IFLScience[https://www.iflscience.com/cryptic-engravings-on-9000-year-old-arrowheads-hint-at-unique-neolithic-traditions-but-archaeologists-cant-figure-out-what-they-mean-84447]











