去年、クマ被害が最も深刻だった秋田県。故郷を訪れた記者が目にしたのは、クマの気配を間近に感じて過ごす“異常な日常”でした。

幼いころ遊んだ公園で目撃情報、クマ鈴をつけて登校する小学生…街を歩きながら見えてきたのはクマの影。県民からは「不便」「不安」「心配」の声も。

ふるさとは今どうなっているのか…?

クマが侵入した保育園、50年以上活動するハンター、キャンセルが相次いだ温泉旅館、対策に奔走した佐竹前知事など、MBS能美寧々記者がクマ被害に揺れる秋田県を取材しました。

(MBSテレビ「ガチの門」2026年1月28日の放送内容を記事化しています)

見慣れた景色に異変!?ドアが自動→手動に「クマ出没のため…」

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記者が高校時代によく歩いた秋田駅周辺の見慣れた景色。さっそく異変が…

(MBS能美寧々記者)「薬局の自動ドアが手動ドアになっています。『クマ出没のため手動ドアにしております』と」

クマが侵入してこないよう、あちらこちらで自動ドアが手動ドアに切り替えられたり、閉鎖されたりするなどの対応がとられていたのです。

【秋田のクマ被害】記者が故郷で見た『異常な日常』思い出の公園・見慣れた通学路…街中に漂うクマの気配「昔じゃ絶対ありえない」【ガチの門】
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ちょっとした不便さに、地元の女子高校生も困惑しているようです。

(高校生)「いつも使っていた所が使えなくなって辛いです」

思い出の公園でも目撃情報「ここまで来るのは昔じゃ絶対ありえない」

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街中に漂うクマへの警戒感。秋田駅から徒歩5分の美容サロンで話を聞くと…

「この辺も結構出ているので。すぐそこの公園とか」
―――すぐそこの公園?
「道路を渡って、右側に公園があるんですけど」
―――何という公園?
「たまご公園」
―――たまご公園は私もよく遊んでいました

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クマは記者が幼いころに遊んでいた「たまご公園」でも目撃されていました。

(MBS能美寧々記者)
「マンションが近くにたくさんあるような秋田市の真ん中にある公園。ここまでクマが来るのは昔じゃ絶対ありえない。びっくりです」

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記者が毎日歩いていた通学路で、女性に話を聞くと…

(住民)「そこの施設の前を(クマが)歩いていた。あっという間に逃げていなくなった」

保育園にもクマ侵入「子どもたちが登園してくる前だったので…」

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クマの脅威は、子どもたちの身にも迫っていました。秋田市内の保育園では去年11月、敷地内にクマが侵入したのです。

―――結構大きいですね
(第一ルンビニ園 佐々木真理園長)「そうなんですよ。やっぱり慌ててしまった。子どもたちが登園してくる前だったので無事に済んだ。災害なんだなと」

「チリンチリン」鳴り響くクマ鈴…市立の小中学校の全生徒に貸与

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小学生の登下校も、様変わりしていました。

秋田市では市立の小中学校に通う全生徒に「クマ鈴」を貸与。校長先生も「クマスプレー」を持って警戒していました。

(秋田市立旭北小学校 三浦享校長)「本当に異常事態、非常事態だと思います。誰も経験したことがないことを今やっている」

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―――気をつけていることは?
(小学生)「まずはクマに襲われたりしないように周りを見るとか」
(保護者)「クマがいっぱい学校の周りにも出ると聞いてから心配で、送り迎えをするようにしています」

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街の中で鳴り響く、クマ鈴の音。

――――結構大きいクマ鈴ですね
(住民)「少しでも守れるならと思って、ちょっと高めのやつで」

アメダスならぬ「クマダス」クマ目撃情報のサイトも

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県民が口々に「頼りにしている」と話すのが、「アメダス」ならぬ「クマダス」。

秋田県が運用するクマの目撃情報をまとめたサイトで、外出する際には「クマダス」でクマ情報を確認するといいます。

去年10月の1か月間だけでも、多くのクマ目撃情報などが確認できました。

「クマには勝てない」5日間も家に居座られ…足に噛みつかれる

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人身被害も相次ぎました。

県南部に位置する湯沢市では、5日間にわたって民家にクマが居座る事案も発生。クマに居座られた男性は玄関先で襲われたと言います。

男性の脚には今もクマに噛まれてできた傷跡が残っています。

(男性)「開けたらクマが右脚に噛みついてきた。ドアを開ける時、少し開けてから顔を出して見ますね。クマには勝てないからね」

ハンターは語る「人を怖がらないクマが多くなっている」

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また、隣の東成瀬村では去年10月、男女4人が次々にクマに襲われ、うち1人が        死亡しました。

50年以上この村で活動するハンターは「異常事態」だと話します。

(東成瀬村猟友会 佐々木謙吉副会長)「人を怖がらないクマが結構多くなっていると感じます」

「なぜクマを殺すのか」県は安全対策を強化→多くの苦情電話も

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こうした中、秋田県では猟友会の後方支援にあたるため、自衛隊が派遣されるなど     クマの捕獲を強化。去年の捕獲数は2500頭を超えました。

しかし、県民の暮らしと安全を守ろうと取り組む行政に対しては、「なぜクマを殺すのか」などといった苦情の電話も数多く寄せられたといいます。

苦情に対して「クマを送るから住所送れ」物議醸した前知事の発言

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こうした苦情はクマの出没が相次いでいた2年前にも問題になり、当時の佐竹敬久秋田県知事からはこんな発言も。

(秋田県 佐竹敬久知事《当時》)
「私にもし(苦情の電話が)来たら完全に相手を威嚇します」
「お前のところに(クマを)今送るから住所送れ、と」
※2024年秋田県議会 議会中継より

この発言は物議も醸しましたが、改めて前知事本人に尋ねると。

(秋田県 佐竹敬久前知事)
「職員が(苦情の対応で)仕事にならないんだよ。人命優先。もっと言ってもいいよ」

「怖いから来ないと」“クマ禍”に悩む店…売上は例年の2割減

【秋田のクマ被害】記者が故郷で見た『異常な日常』思い出の公園・見慣れた通学路…街中に漂うクマの気配「昔じゃ絶対ありえない」【ガチの門】
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クマ騒動の影響は街の経済にも及んでいます。秋田最大の繁華街・川反では、普段より人通りが少なくなっていました。

秋田県の郷土料理などを味わえる店では、例年の同じ時期と比べて2割ほど売上が下がったと言います。

(割烹 かめ清 女将 雑賀友子さん)「『怖いから来ない』と。

深刻ですね。コロナみたいに出歩かないという状況で、本当に我々ではどうすることもできない」

コロナ禍を乗り越えた矢先の“クマ禍”に、頭を悩ませます。

【秋田のクマ被害】記者が故郷で見た『異常な日常』思い出の公園・見慣れた通学路…街中に漂うクマの気配「昔じゃ絶対ありえない」【ガチの門】
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繁華街を訪れる人にも、不安はあるようです。

(繁華街の客)「歩いて帰れる距離だけどタクシーを呼びます。なかなかタクシーが捕まらなくて、それで控える人も多かったみたい」

キャンセル相次いだ旅館…ロケット花火で対策「クマとの知恵比べ」

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影響は温泉街にも。目の前に大自然を望める露天風呂が人気だという旅館では去年、クマ出没を理由にしたキャンセルが相次いだといいます。

(阿部旅館 阿部司代表)「『すいません。今回はキャンセルでお願いします』と。『クマ騒動が落ち着いてから行かせてください』と」

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こうした中、旅館が始めたのが「ロケット花火」の打ち上げです。

クマは火薬のにおいや大きな音が苦手だとされることから、クマの出没が相次いでいた時期は、ほぼ毎日打ち上げていました。

(阿部旅館 阿部司代表)「クマを近づけないためにはどうするか。クマとの知恵比べだと思うんですよ」

記者が目にした、ふるさと・秋田。

そこにあったのは、クマの気配を間近に感じながら過ごす“異常な日常”でした。

(2026年1月28日放送 MBSテレビ「今田・橋下とニュースショー ガチの門!!~ニッポン、このままで大丈夫なのかSP~」より)

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