「年収の壁」「住宅ローン控除」「エコカー減税」家計に関係する...の画像はこちら >>


2025年12月に閣議決定し、2026年3月に国会で成立した「令和8年度税制改正」。

主に「年収の壁」の引き上げに注目が集まったが、それ以外にも日々の生活に関係しそうな改正がいくつか盛り込まれている。

トランス税理士法人の代表税理士・中山慎吾さんに解説してもらった。

「年収の壁」160万円から178万円に引き上げ

■物価上昇局面における基礎控除等の対応

「多くの人が気になっている『年収の壁』の引き上げにつながる改正です。これまで所得税が発生する基準の所得額は160万円でしたが、2026年度分から178万円に引き上げられます」(中山さん・以下同)

2年ごとに「消費者物価指数(総合)」に連動して「基礎控除(本則)」「給与所得控除の最低保障額」が引き上げられる仕組みが導入され、2026年度においては直近2年間の物価上昇率6%を踏まえ、それぞれ4万円ずつ引き上げられる。

●物価上昇局面における基礎控除等の対応のまとめ

「年収の壁」「住宅ローン控除」「エコカー減税」家計に関係する税制改正


さらに、2026年・2027年の時限措置として、中低所得者(合計所得金額489万円以下、給与収入665万円以下相当)を対象に、「基礎控除の特例」を42万円まで引き上げ、「給与所得控除の最低保障額」も5万円引き上げられる。

これらの合計によって、「年収の壁」が178万円に引き上げられる。

この改正を受けて、「配偶者控除」「扶養控除」などの所得判定基準もそれぞれ4万円引き上げられ、「ひとり親控除」の控除額は3万円引き上げられる。

「所得税と同様に、個人住民税が発生する基準に関しても『給与所得控除の最低保障額』や『配偶者控除』などの所得判定基準が4万円引き上げられ、『ひとり親控除』の控除額は3万円引き上げられます。ただし、『基礎控除』に関しては、所得税と異なって引き上げられません」

所得税と個人住民税、それぞれで基準額が引き上げられる部分は異なるが、「年収の壁」が上がることに変わりはない。ただし、大きな影響があるかというと、そうともいえないそう。

「所得税に関しては、控除額が年間18万円増えるという改正なので、会社員でバリバリ働いている人に関しては大きな影響はないでしょう。パートやアルバイトで『年収の壁』を意識して働いている人にとっては、昨年より18万円多く働いても所得税が発生しないので、多少働きやすくなるでしょう」

ただし、注意すべきポイントがある。今回の改正は所得税、個人住民税が発生する基準の引き上げであり、社会保険料が発生する基準は引き上げられていないという点だ。

「社会保険料が発生する壁は『106万円』『130万円』から引き上げられていません。

所得税の壁である『178万円』まで働くことにより、社会保険料の負担が増す可能性があることを把握しておきましょう」

省エネ性能の高い中古住宅の「住宅ローン控除」が拡充

■住宅ローン控除の拡充
適用期限が5年間延長され、2030年入居分までが対象になった。また、既存住宅の利活用の促進や省エネ性能の向上の観点から、省エネ性能の高い中古住宅に関しては借入限度額が引き上げられる。

●住宅ローン控除対象の借入限度額の変化

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※年齢40歳未満であって配偶者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者または年齢19歳未満の扶養親族を有する者。

■固定資産税・不動産取得税 免税点の見直し
物価高への対応として、固定資産税、不動産取得税の免税点が引き上げられる。

●免税点の変更

「年収の壁」「住宅ローン控除」「エコカー減税」家計に関係する税制改正


「物件価格の上昇に伴い、固定資産税と不動産取得税の免税点が引き上げられたので、これまでよりは住宅購入や保有の際の負担が軽減されるのではないでしょうか」

「エコカー減税」見直しによる自動車購入への影響

■自動車重量税のエコカー減税の見直し
電気自動車の一層の普及促進を図るため、減免区分となる燃料基準の達成度を引き上げたうえで、2年間延長される。

●エコカー減税の見直し

「年収の壁」「住宅ローン控除」「エコカー減税」家計に関係する税制改正


■自動車税の環境性能割の廃止
自動車取得時の負担を軽減、簡素化することを目的に、2026年3月31日をもって環境性能割が廃止。

「環境性能割が廃止された一方で、エコカー減税の基準が少し厳しくなるので、結果的に変化はあまりないかもしれません」

「教育資金の一括贈与」の非課税措置は廃止に

■教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の廃止
子どもが直系卑属(両親や祖父母)から教育資金として一括贈与を受けた際、1500万円までは非課税となったが、2026年3月31日をもってこの措置が廃止。

「既に廃止されているので、知らずに1500万円贈与してしまい、贈与税が発生してしまうということがあるかもしれません。2027年1月からNISAが拡充され、0~17歳の子どももつみたて投資枠を利用できるようになります。親や祖父母が資金を出しても税金は発生しませんし、非課税で保有・運用できる制度なので、贈与ではなくNISAで備えてほしいという国の思いがあるといえそうです」

「年収の壁」以外にも、住宅や自動車、教育費などに関する改正もあった。関係がありそうな項目は念のためチェックし、影響を受けそうか確認しておくといいだろう。
(取材・文/有竹亮介)

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