うるま市の米陸軍貯油施設「金武湾タンクファーム3」のPFAS流出事故を受けて米軍が作成した報告書から浮き彫りになったのは、環境や人体に及ぼす影響を軽視する姿勢だ。
 事故は2021年6月10日午前9時46分に発生。
前日の雨で消火用貯水槽に雨水が流入。貯水槽上部から水があふれ、基地外の排水溝へと流出した。
 貯水槽にはPFASを含む泡消火剤溶液が混ざり込んでいた。
 報告書によると在沖米軍は事故前、こうした貯水槽や配管を廃棄し新たに水を使った消火システムを構築する予定だった。
 しかし予算は措置されず、そのまま流出事故が起きている。
 事故後に県、日本政府、米軍の三者による調査では貯水槽から「国の指針値(1リットル当たり50ナノグラム)」の1700倍もの異常な高濃度で検出された。
 米軍は事故直後、地元などに対し「環境への影響はない」と説明していた。一方、事故後3時間余りでまとめられた報告書では土壌への浸透があったとした上で「影響の程度は現時点で不明」と明記している。
 PFASは自然に分解されることがない。土壌や人体に蓄積されるようなことがあってはならない。
 事態を安易に捉える米軍の対応は、前年20年に起きた普天間飛行場での流出事故でも明らかとなった。
 保管していたPFASを含む汚水を独自に処理して下水道に放出すると日本側に打診。
県や宜野湾市が認めていないにもかかわらず、一方的に6万4千リットルを放出したのである。
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 対応を後回しにする米軍の姿勢は日本側への通報でも明らかだ。
 事故発生は、報告書が作成された時すでに上級司令部に報告されていた。
 一方、米側から日本側へ通報があったのは事故の翌日だった。防衛省を通じて県やうるま市に連絡があったのはその日の夕方になってからだ。
 背景には、県内世論をはじめ日本側の感情が悪化することへの警戒感がある。
 報告書には「(流出事故が)敵対的報道、抗議とデモ、日本政府や沖縄県、市民団体からの情報要求を引き起こす」などと記入されている。
 こうした姿勢がPFAS汚染の原因究明を困難にしていることは明らかだ。
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 マスコミへの情報開示にも後ろ向きな対応が目立つ。本紙は事故から17日後に報告書の情報開示を請求したが、米軍が開示に応じたのは今年6月25日だった。
 開示まで実に5年を要している。隠(いん)蔽(ぺい)したかったのではないか。

 米軍は24年に全ての在日米軍施設でPFASを含む泡消火剤の廃棄完了を発表した。
 しかし、県内では現在も基地周辺の水源での高濃度検出が続いている。
 真に汚染の原因を究明するためには、県による基地内立ち入り調査を実現するほかない。
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