[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1389)
 腰下肢痛(ようかしつう)は、日常診療でよくみられる、身近な症状です。厚生労働省の国民生活基礎調査でも、腰痛は自覚症状として常に上位に挙げられています。
腰から足にかけての痛みやしびれは、立つ、歩く、座る、眠るといった日常生活の基本動作を妨げます。その結果、仕事や家事、外出、趣味などにも影響し、生活の質(QOL)を大きく損なう原因となります。さらに痛みが続くことで不安や気分の落ち込みを招き、活動量の低下から筋力や体力の低下につながることも少なくありません。
 腰下肢痛の原因はさまざまですが、ペインクリニック外来でよくみられるものとして、腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症、腰椎椎間板ヘルニアなどがあります。これらの病気では、腰の痛みだけでなく、お尻から太もも、ふくらはぎ、足先にかけて痛みやしびれが広がることがあり、日常生活に支障をきたします。
 ペインクリニックでは、こうした痛みに対して、原因となっている神経やその周囲に局所麻酔薬などを用いる神経ブロック治療を行います。代表的な方法には、仙骨硬膜外ブロック、硬膜外ブロック、神経根ブロックなどがあります。また、神経根ブロックで効果が一時的な場合には、神経根にパルス高周波治療を行って、痛みを和らげる方法が選ばれることもあります。
 近年は、腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛や下肢痛に対して、経皮的髄核(けいひてきずいかく)摘出術という低侵襲(ていしんしゅう)治療も行われています。これは皮膚から細い器具を椎間板内に挿入し、椎間板の一部を処置することで神経への圧迫を軽減する、いわゆる「切らない手術」です。また、硬膜外ブロックで十分な効果が得られない場合、硬膜外腔の癒着によって薬液が患部まで届きにくくなっている可能性があります。そのような場合には、硬膜外癒着剥離術によって神経周囲の癒着を解除し、痛みの改善を目指します。

 腰下肢痛は、原因や病態によって適した治療法が異なります。症状に合った治療を選ぶことが、回復への近道です。長引く腰や足の痛み、しびれには、ペインクリニック専門医への早めの相談をおすすめします。(木村信康、牧港クリニック集学的痛み治療センター=浦添市)
身近だが生活の質を損なう「腰下肢痛」 さまざまな原因 治療に...の画像はこちら >>
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