沖縄地方最低賃金審議会は2026年度の最低賃金(時給)を1086円とするよう沖縄労働局に答申した。
 現行の1023円から63円の引き上げとなり、過去最高だった昨年度に次ぐ2番目の引き上げ額となった。
厚生労働省の中央審議会が地区ごとに示した目安額も7円上回った。
 協議は物価高などを理由に大幅な引き上げを求めた労働者側に対し、使用者側が賃上げによる経営圧迫を懸念して難航。相次ぐ台風襲来で協議が中断したことも影響し全国で最も遅い決定となった。最終的に公益代表を含む採決で決着した。
 県内の最賃は昨年度初めて千円の大台に乗った。
 ただ、消費者物価の上昇率は22年以降全国平均を上回る水準で推移しており、負担感が強まっている。最賃水準で働く労働者の生活はなお厳しい。
 賃金の全国水準との格差を縮めるためにも、目安額を上回る引き上げの継続は妥当と言える。
 新たな最賃は12月2日から適用される。本来は10月からだが、引き上げに向けた原資確保の準備期間として昨年に引き続き12月の適用となった。
 中央審議会の目安額も昨年同様、大都市より地方が高くなった。それを受け沖縄を含む33府県で目安額を超えて引き上げられた。

 新たな最賃の適用後も最も高いのは東京の1280円で、最も低いのは宮崎の1085円だ。沖縄はそれより1円高くなる。
 それでも大都市との差は依然として大きい。格差を縮める対策はなお求められる。
■    ■
 物価高は事業活動にも影響を及ぼしている。
 賃上げと企業の生産性向上など環境整備は両輪で進めなければならない。
 特に離島県の沖縄では、多くの企業が輸送費や資材費などコスト増の影響を受けており、適正な価格転嫁などの対応が欠かせない。
 答申では国に対し、事業者間や消費者への価格転嫁に対する周知徹底や、賃上げを支援する助成金の申請手続きの簡素化、公契約で労務費上昇分の反映が遅れることのないよう求める意見が付いた。
 中小企業の価格転嫁率は50%台で伸び悩んでいる。
 高市早苗首相は「賃上げを事業者に丸投げしない」と表明した。
 大企業だけでなく、地方の中小・零細企業にも賃上げの勢いが波及するよう、「稼ぐ力」の抜本的強化や支援の徹底が求められる。
■    ■
 最賃は労働者のセーフティーネットである。

 特に小売業やサービス業が多い県内では、雇用者の2人に1人が非正規労働者となっている。最賃水準で働く人は多く、引き上げはことさら重要だ。
 企業側にとっても適切な賃金の確保は、労働者の働く意欲につながるだけでなく、深刻化する人手不足の歯止め策にもなるに違いない。
 労働環境と経済の好循環をつくるため今後も継続した賃上げが必要だ。 
編集部おすすめ