全国各地での上映会を経て、この日から劇場公開がスタート。満席となった会場では大きな拍手と「豊さん!」という歓声が飛び交い、水谷はおなじみの「サンキュ!」で応えた。
水谷は「この映画は僕の企画、監督、脚本、プロデュース、主演と肩書きが並んでいますが、決して欲張ったわけではありません。自主制作なので、僕がやらざるを得なかったんです」と説明。「急きょ決まった企画で、短期間で撮り上げなければならない作品でした。しかも劇場公開されるかどうかも分からなかったので、こうして初日を迎えられて本当にうれしく思います」と感慨深げに語った。
出演オファーを受けたキャスト側からは「これは映画ですか? 配信ですか?」と戸惑いの声もあったという。それでも水谷は「ただ撮ります」と宣言。その言葉に賛同したキャストが集まり、「本当によく参加してくださいました。感謝しています」と頭を下げた。
自身の出演については、「珍しく犯人を逮捕しない、普通のおじさんの役」と明かし、「僕は出る予定じゃなかったんです」と意外な裏話も披露。「キャスティングが最後まで決まらず予算表を見た時に、『毎日現場にいて、そこそこ芝居ができるやつが一人いるじゃないか』と思って(笑)。もっと予算があれば別の俳優さんがやっていたと思います」と会場を笑わせた。
水谷は「映画のタイトルは『ピッコラ・フェリチタ』(イタリア語で“小さな幸せ”の意味)ですが、大きな幸せを感じています」と笑顔。最後は「この世界に入って60年ほど経ちますが、皆さんと過ごすこの時間は何ものにも代えがたい。本当にありがとうございました」と感謝を伝えると、会場からは大きな拍手と歓声が送られた。
舞台あいさつには、水谷監督のほかに、キャストの菜葉菜、河相我聞、趣里、橋本淳が登壇した。
■ストーリー
60代、40代、30代の予測不能な男女3組の物語が交錯する。
佐藤は25年間働いたレストランを定年退職する。8年前に離婚し、娘にも会えず独りきりの生活を続けていた彼は、人生はもう終わったと思っていた――だが、小さな奇跡が思いがけない喜びをもたらす。
画家の父の影に苦しむ富士夫は、酒と女に溺れる日々。油絵教室を営みながらも自信を持てず、妻のミキとは別居中。離婚は避けられないと思われたが、富士夫の最後の告白がすべてを変えていく。
ホテル「ピッコラ・フェリチタ」で働く礼央は、カフェで出会った葵に一目惚れ。ふたりはすぐに恋に落ちる――葵を家まで送った礼央は、彼女の秘密を知ってしまい……愛は崩れ去ろうとしていた。
しかし最後には、登場人物たちが心をひとつにし、傷ついた心を希望へと変える奇跡が訪れる。
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