上司や同僚の急な誘いをスマートに断る方法は何か。実行管理コンサルタントの佐藤彰太さんは「上司や同僚の誘いを断るためには、気合と根性を持ち出してはいけない。
スマートに断るには、『断る勇気』より『仕組み』が必要だ」という――。
※本稿は、佐藤彰太『絶対に「終わらせる」時間術』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■誘惑に負けないための行動体系のルール化
誘惑の多くは、ふいに自分の内側でわいたり、外側からやってきたりする。
つまり、自分でコントロールできない場合が多い。となると重要なのは、ふいに誘惑が生じたときに、どう対処するかだ。気合と根性ではねのけるのではなく、誘惑に負けないための行動体系をルール化しておくことが基本的な対処法となる。
自分の内側・外側にわきおこる雑念や雑音(ノイズ)を消し去り、「今、やっていること」に集中して完遂までもっていきたい。
そんなとき、僕が取り入れているもののひとつが「瞑想」である。
瞑想とは、雑念を消滅させて精神性を高めるための禅宗の精神修養法。まさに「誘惑というノイズ」を消してタスクを完遂したい僕たちにぴったりだ。
■「今、ここ」と唱えて、意識を引き戻す
瞑想では「今、ここ」に集中する意識を保つことが重視されている。
禅僧のように、山寺に籠もって坐禅を組まなくても、「今、ここ」と唱えれば、日常生活のなかで、絶えず流れ込んでくる周囲の雑音や己の心の雑念を消し去り、精神統一できる。

これは即時快楽の誘惑に対しても、そのまま適用可能だ。
即時快楽の誘惑とは、つまり「今、やっていることよりも楽しそうなこと」が、ふいにやってくるということ。ひとたび意識がそちらに全シフトして、ワクワクと胸躍ってしまったら、もう戻ってこられない。
「タスクは完遂していないけど、ちょっとだけYouTubeを見ようかな」といった内側からの即時快楽の誘惑や、「ランチ、一緒にどう?」といった外側からの即時快楽の誘惑が生じたら、まず「今、ここ」と唱えてみるといい。
それだけで、目の前のタスクから即時快楽へと方向転換しかけている自分の意識を、サッと引き戻すことができるのだ。
■「断る勇気」よりも「断る言葉」を
ここで、外側から聞こえてくる“悪魔のささやき”に効果的な技も紹介しておこう。
オフィスでタスクに取り組んでいると、ふいに上司や同僚から声をかけられることがある。「どう? 今から軽く飲みに行かない?」といったお誘いを受けると、タスクの真っ最中でも一瞬で意識が誘惑へシフトして、「はい、行きます!」と即答してしまう。よくあることではないだろうか。
こうなると、後悔先に立たず。翌日には「誘惑に負けた昨日の自分」を恨みながら、やり残したタスクを終わらせるところから始める羽目になるだろう。前日から持ち越している分、その日の計画は順繰りに後ろ倒しになってしまう。

僕が推奨する「一日3タスクまで」を鉄則に計画を立てていたとしても、暇なわけではない。やり残したことを終わらせるために「余白」を使い果たした挙げ句、その日のタスクを完遂できずに、また翌日に持ち越すことになる危険すらある。
そんな事態を未然に防ぐには、外側からの悪魔のささやきを断たなくてはいけない。
特に上司や同僚の誘いを断るのは勇気がいることだが、ここで気合と根性を持ち出すのは負け戦になる公算大。やはり精神論ではなく、仕組みが必要。すなわち、自分のなかで断る「理由」や「言葉」を決めておくといいだろう。
「めちゃくちゃ行きたいんですけど、今日はこれを終わらせないと……。また今度、誘ってください!」

「今日は、荷物の受け取りがあるんで、○時に家に帰っておかないとマズいんです」

「うわー、残念。今、実家から親が来てまして、夜ご飯を一緒に食べることに……」
など、「断り方のテンプレ」を、いくつかストックしておくのだ。
最初は断った瞬間、少し寂しさや後悔の念がわくかもしれない。「付き合いが悪いやつだと思われるんじゃないだろうか」「仕事は明日に回して誘いに乗ったほうが、自分のためになるんじゃないか?」という考えが浮かぶこともあるだろう。
■「仕事を終わらせること」の喜びと価値を知る
それでも、あえて「仕事を終わらせること」を優先してほしい。

タスクを後回しにして誘いに乗ってしまった挙げ句、「ああ、昨日のやり残しが今日に響いてる……」なんて思いながら、翌日仕事をするのは、最悪だ。楽しかった昨日の思い出まで台無しになる。
それに、その後も仕事人生は続くのだから、チャンスは一度きりではない。
本当に誘いに乗れるときに乗ったほうが心から楽しめるし、翌日も、お互い気持ちよく働けるというもの。即時快楽の誘惑に勝ってタスクを完遂できたら、断った寂しさや後ろめたさを補って余りあるくらいの喜びを感じられるはずだ。
おのずと自己肯定感も爆上がりし、晴れ晴れとした気持ちで翌日を迎えることができるだろう。
こうした真摯でポジティブな精神こそが、あなたの人生を明るく前向きに切り拓く原動力になるのだ。

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佐藤 彰太
実行管理コンサルタント

1991年、北海道旭川市出身。高校卒業後、海上自衛隊に勤務。徹底した時間管理と厳しい規律の洗礼を受け、「先を読んで行動する力」を身につける。その後、衛生兵(准看護師)として自衛隊横須賀病院勤務を経て、2013年研修商材を販売するフルコミッションセールスマンとして独立。3カ月間成約ゼロ、無収入が続くなか、忙しいのに余裕がある人の行動を徹底的に研究し、最短ルートで成果を出す方法を追求。
その頃から徐々に成約件数が増え始め、やがてトップセールスに登りつめる。2017年株式会社シャイニングステージを設立。以降、商品開発やセールスシステムの開発コンサルティングを1万5000件以上実施。その傍ら、1000人以上の経営者に「時間管理術」を指導するように。「計画」「着手」「完遂」の不全に対応した、実践的かつ再現性の高い時間管理術が「時間を味方につけ、人生を充実させる技術」として好評を博している。

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(実行管理コンサルタント 佐藤 彰太)
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