見た目年齢を若返らせ、健康を維持するには何をするといいか。医師の池谷敏郎さんは「猫背で背中が丸まっていることで、見た目年齢に40歳の違いを生む。
無自覚に猫背になっている人は、仕事や家事の合間にちょこちょこやるだけですっきり伸びた背筋をつくる『脱ET体操』を行うといい」という――。
※本稿は、池谷敏郎『血管の専門医が30年間欠かさない すごい習慣』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。
■医師が1日20~30分続ける運動習慣
皆さんの運動習慣定着の参考として、私が日常生活のなかで、どんな形で運動を取り入れているのかをご紹介しましょう。モットーは「長く続ける、楽しく続ける」です。
まず、毎日欠かさない有酸素運動になっているのが、愛犬・ミルクとの散歩です。仕事中は診察室で座りっぱなしの私にとって、毎朝晩の愛犬との散歩は欠かせません。1回に20~30分ほど、歩数にすると約8000歩ほどにもなるので馬鹿にできない運動になります。
犬を飼っているとどんなに気が乗らなくても半強制的に散歩にいくことになるので、「犬の飼い主が週150分の推奨運動ガイドラインを達成する確率は、飼っていない人の約4倍」(『Scientific Reports』2019年)にもなるそうです(笑)。
結果、何が起こるのかというと“血管の若返り”です。アメリカ心臓協会(AHA)は、「犬を飼っている人は飼っていない人と比べて心血管疾患による死亡リスクが31%低下する」と報告しています。
愛犬はその存在自体で飼い主の血管を守り、若さをキープしてくれる最高のパートナーというわけですね。
■中高年から始める筋トレのコツ
また、最近はじめた週2、3回のウエイトトレーニングも、すっかり定着しました。

一度に長時間追い込むと心理的に続けることがストレスになってしまうので、一回に30分程度に抑えて長く続けられるメンタルを保てるようにしています。
日によって上半身と下半身を分け、全身の筋肉をまんべんなく鍛えるようにしていますが、特に力を入れているのがスクワット。
というのも、私の筋トレの目標は「服がかっこよく着られる体形維持」だから。ムキムキになりたいわけではないので、体脂肪が増えないことを一番に考えています。
そのためには、太りづらい体をつくるための「下半身の筋肉」がメインターゲット!
最近は50kgのバーベルをかついで、6~8回上げるのを3セット行うのがルーティンです。これは、「全力で8回が限界の重量でトレーニングすると最も筋肉が発達する」というトレーニングの専門家の言葉に従って設定しました。
このルーティンも、膝や腰を痛めないように2年ぐらいかけてゆっくり負荷を上げていきました。やはり、中高年から始める筋トレは、故障をしないことが第一ですからね。張り切って急に負荷の高いレベルから始めると、体を痛める原因になります。
子どもの運動会の保護者競技で急に全力で走って、ケガをしてしまった……なんて経験がある人も多いのではないでしょうか。
皆さんも、ジムでウエートトレーニングを始めるときには、最初はプロのトレーナーに正しいやり方を教わって、怪我を予防することをおすすめします。
■「長生きしたければ、趣味はゴルフに」
そして、私が一番楽しみにしている運動習慣が、ゴルフです。
一度行くと2、3万歩は歩くので、週のなかで私の最大の有酸素運動にもなっています。
結果、「ゴルファーは非ゴルファーと比較して死亡率が40%低く、平均寿命が約5年長くなることに相当する(カロリンスカ研究所発表・2009年)」といった、体にポジティブな影響があることが確認されています。
さらに具体的には、「ゴルフは中強度(Moderate-intensity)の有酸素運動を提供し、心血管系、呼吸器系、代謝の改善に寄与する」ことで「寿命の延長に貢献する可能性が高い」と、エディンバラ大学(イギリス)の研究でも結論づけられました。
医者の私としては、患者さんたち全員に「長生きしたければ、趣味はゴルフにしなさい」と言いたいくらいです(笑)。たくさん歩いた後は、ちょっとカロリー高めの食事も罪悪感なしで楽しめるし、その日はぐっすり眠れますよ。
■「姿勢」が瞬間的に見た目年齢を決める
ぱっと見で「老けているなあ」と思わせる強烈なサインといえば、「猫背」。下の写真の通り、背筋が伸びている人と猫背の人のシルエットだけを見比べれば、その見た目年齢の差は±40歳の違いがあるでしょう。
姿勢は「勢いが姿している」と書く通り、その人の体と心の健康度を表す指標です。第一印象として、周囲に向けて自分がどんな人間なのかを強烈に伝えますから、猫背で背中が丸まっているとそれだけで「私はとても老けています」と印象づけてしまいます。
丸まった背中のバランスを保つために首が前へ倒れたり、骨盤が後ろに傾いたり、膝が曲がったりするなど、首や腰、膝の痛みの原因になることも。
逆に、背筋がスッと伸びていれば、「私は若々しく元気がありますよ」と印象づける上、筋肉や関節を痛めることもなくなります。
よい姿勢を保つための背中の筋肉(広背筋など)は、体の中でも特に大きな筋肉の一つですから、姿勢を保つだけでもよい刺激になり、基礎代謝が高まって太りにくい体づくりにもつながります。

つまり背筋を伸ばすだけで見た目年齢がグッと若返って健康にもなるので「やらない理由はない!」ですよね。
■猫背が改善し若返る「脱ET体操」
「自分は大丈夫」と思っていても、実は無自覚に猫背になってしまっている人も少なくありません。次の猫背チェックに一つでも当てはまることがあれば、その後の猫背改善法をお試しください。
まずは無意識に猫背になっていないかどうか、以下でチェック。
あなたは大丈夫? 無自覚の猫背チェック
□壁に頭の後ろと肩をつけてまっすぐに立ったとき、肩と壁の間にこぶしが一つ入る

□頭が重い、もしくは頭痛がよくある

□首こり、肩こりがある

□手がしびれる

□胸が重苦しい

□気分が落ち込むことが多い

□おなかがぽっこり出ている

□胃もたれすることがよくある

一つでも当てはまることがあれば姿勢をキープする筋肉を目覚めさせる「脱ET体操」をやってみてください。名作映画『ET』の心優しい宇宙人は見事な猫背でしたよね。
そこから連想して名付けたのが、この体操。広背筋をしっかり動かすことでETのような猫背を解消し、すっきり伸びた背筋をつくっていきましょう。仕事や家事の合間にちょこちょこやるだけでOK! 肩こりもすっきりして気分もリフレッシュされます。

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池谷 敏郎(いけたに・としろう)

池谷医院院長、医学博士

1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。
専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとしてメディアにも多数出演している。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。

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(池谷医院院長、医学博士 池谷 敏郎)
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